天体観測に魅せられた人たち

  • 原書房
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本棚登録 : 131
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (322ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562059034

作品紹介・あらすじ

高山や砂漠の天文台で、サソリやタランチュラと隣り合わせになりながらもたった一夜限りの天体観測にかける情熱とロマン。世界にわずか5万人という天文学者たちの知られざる世界の今と昔を、気鋭の女性天文学者が明かす。

感想・レビュー・書評

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  • 天文学者による天体観測あるあるを、天文学者の著者がまとめている。天体観測というと、なんだか天体望遠鏡担いでって感じだけど、ここで言う天体観測は、あの、ドーム型だったり、パラボナアンテナ型の、山の上や砂漠みたいなところにある可愛げのないガチなやつのこと。そんな異世界で起こるエピソードはやはり突拍子もなかったりするが、とても人間臭くてくすりとさせられる。また、ほどよく天体の知識や世界的発見の裏にあるエピソードが散りばめられているのもお得なかんじでよい。

  • 天文学に秘められた苦労を楽しく学ばせていただいた。どの分野も研究の苦労は一緒。

  • 2020年の TED トークで話題をまいた新進気鋭の天文学者 Emily Levesque による天文学者生態学入門。写真乾板の時代から、CCD素子の時代、空飛ぶ望遠鏡、そして観測からデータ処理までが自動化されたロボット天文台まで観測技術は大きく進化したが、宇宙に魅せられて星に人生を捧げる人達の志に大きく変わるところはない。

    ブラックホールや重力波の観測、カイパーベルトと冥王星の格下げ、そして著者自身の仕事であるソーン・ジトコフ天体の観測まで最新の天文学事情を織り込みつつ、おもしろおかしい天文学者のエピソードを紹介しているが、単なるネタ談義に留まらず、天体望遠鏡建設に伴う様々な社会的問題、研究者コミュニティにおけるジェンダーの問題、そして何より科学研究予算の問題にも踏み込んで考察されていて秀逸。

  • ミニコメント
    世界にわずか5万人という天文学者たちの知られざる世界の今と昔を、気鋭の女性天文学者が明かす。

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1292383

  • MITは、変人大会。でも、エネルギッシュで、遊びも半端無い。頭脳を搾り出して、真剣に楽しむ。なんて素敵な環境!天文台への道。凄まじいらしい。行ってみたい。

  • 天体観測がもっとアナログで、寒さの中で苦労していたり、タランチュラと一緒になったりしていた話。天文学者はそんなふうにサンドイッチ片手に頑張るんだな。

  • ふむ

  • ●すばる望遠鏡。直径8.2メートルの主鏡を持ち、1晩稼働させるのにかかるコストは47,000ドル。50億光年先にある銀河を観測するために1晩借りている。
    ●赤色超巨星とは質量の大きな星で、太陽の8倍以上質量を持つものを言う。ガスとダストから生まれた高温で青く光る赤い星から、たった1000万年と言う短期間で燃えさしのように暗赤色に輝く状態になり、死に際に力を振り絞って元の大きさの何倍にも膨れ上がる。最後に、内部崩壊を起こし、その反動で超新星として知られる爆発を起こしてその一生を終える。超新星は宇宙で最も明るく、膨大なエネルギーを放出する現象で、ブラックホールが形成されることもある。
    ●天文学者は望遠鏡に関わる時間は短い。天文台も少ない。観測が成功すれば、後は研究室でデータ解析となる。
    ●イータカリーナ。太陽の数十倍の質量を持ち、最後が近いと言われている。1800年ごろに一度爆破して、一部が吹き飛び、変わった形をしている。
    ●1970年代からCCDとデジタルデータ。観測中にカメラのそばに居る必要がなくなった。

  • 著者は女性天文学者。
    自身の経験から天文学者の日常、天体観測にまつわるエピソードまで様々な話題を取り上げる。自分のような天文の素人にとって、天文の話題はニュースで取り上げられたものを知る程度だが、その裏では多くの天文学者たちが実際に観測したもの、宇宙望遠鏡から送られたデータを使って仮説を立て、検証し、発表後の合意があって初めてニュースになる。一般人は結果を受け取るだけだが、研究者は必ずそのプロセスを経なければならない。 彼らの日常活動の様子がよくわかって、大変面白いエッセイだった。 天文台を設置するのも、環境や社会的な制約があり、一筋縄ではいかない。 運用始めても日頃のメンテナンスの問題、ジェンダーの差別、動物や虫などの侵入者などなど多くの問題があったりする。 また現代の天文学者は直接肉眼で星を見る機会がなく、自分の専門以外の領域(星座の話など)を聞かれても分からないことがあるそうだ。 パソコンを使ってリモートで望遠鏡を使い、送られたデータを解析するのが現代の天文学者らしい。
    ちなみに、自分も子供の頃、木星の衛星を発見したガリレオや天王星を発見したハーシェルに憧れて、天文学者になりたいと思った事があった。しかしこの本を読むと、天文学者のイメージは大きく違っている。 夢やロマンを求める仕事ではなく、自分の理論を証明することが使命とされているようだ。 星を見るのは、昔と同様依然としてアマチュアの世界であり、この領域には、プロの天文学者があまり関与していないことになんだかホッとした。 もちろんブロには莫大な数の発見はあるのだが。 星の世界には、まだまだアマチュアが活躍できる場がありそうだ。 この本では図版や写真が1枚もない。エッセイを読んでいて、文章だけではイメージしにくい部分も多かった。 エッセイでももう少し図表を活用する等の工夫があっても良かったかなと思う。

  • 天文学にはどこかロマンチックなイメージがある。
    しかし、天文台は人里離れたところにあり、命がけだったり、天候によりキャリアを棒に振ったりすることもある、大変な学問である。

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