- Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562056804
作品紹介・あらすじ
朝日新聞、フジテレビ『Mr.サンデー』ほか、英ガーディアン紙、ドイツテレビ2DFでも報道され、「この日本人女性がすごい! 」と海外でも話題!
孤独死、ごみ屋敷、残されたペットたち――故人の部屋を片づけ、弔いつづける27歳の遺品整理人が、依頼現場をミニチュアで再現。
死と向きあってきたからこそ伝えたい想いを初書籍化。
父親の突然死がきっかけで、若くして遺品整理人になった著者が、現場で目にした孤独死や、ごみ屋敷、ペット、そして部屋に残された「人生」のかけら。
社会問題化するいま、わたしたち一人ひとりにできることは何か。
ミニチュアを通して静かに問う。
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わたしが現場に行くときには、すでに故人の姿はない。
そういう仕事だ。
遺族や大家さんから聞いた話と、ただ、「部屋」と「物」がそこに取り残されているだけ。
でも、それらは雄弁に故人の人生を語っているようでもある。
(本文より)
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感想・レビュー・書評
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この本もブクログで知ったもの。
孤独死の現場を現役遺品整理人の女性がミニチュアで再現。
ミニチュアという一歩引いた表現ながらも、生々しさが存分に残る。
読んでいて一番辛かったのがペットを残して孤独死したケース。
凄惨な現場のミニチュアも目を覆いたくなるが、残されたペットの処遇を考えると、ああ、先に死ねないなと思う。
が、、、こればっかりは分からないですね。
今は家族がいるから安心ですが。
文章は平明で読みやすくすぐ読了できてしまうが重い本です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
辻村深月さんの「家族シアター」の読後に読んだので、色々な思いが去来し、考えさせられた。
ミニチュアなのにとてもリアルに再現されていて、立体だから写真よりもその場に佇む自分を感じられる。
著者の小島美羽さんは、特殊清掃の仕事について6年ほど。「100人中99人はすぐに辞めていく」という仕事。ご本人もこの仕事に就くまでは郵便局員という安定した職に就いていたので、母親には猛反対されたそうだ。
しかし、かつて母と離婚を前提に、別居し始めた父が突然死し、それが状況によっては孤独死になっていたかもしれない…暴力的な父の死にそれでも、尊敬や愛情の念があったことに気付き、生前もっとできたことがあったのではないか…という思いが残った。
友人から特殊清掃という仕事があることを聞き、「2年かけて自分の意志が揺るぎないことを確かめ」『ただ片づけるだけ、ではない』と書いている遺品整理会社に出会い、転職を決意されたそうだ。
「孤独死が悪いことだとは思っていない。病院や施設ではなく住みなれた我が家で逝きたいと思っている人は多い(この場合、「自宅死」や「自然死」という表現の方がしっくりくる)。自宅で一人で死ぬのが悪いのではなく、発見されるまでの期間が問題なのだ。」
という著者が、発見されるまでに一番期間が長かったケースは二年だそうだ。
日本だけ社会問題になるまで多発する孤独死の問題。コロナ禍でコミュニケーションのあり方が変化し、更に増えていくのではないだろうか。
我々の社会のあり方が問われていることを、改めて提示してくれる本だった。2020.8.2 -
孤独死(年間3万人)の中で自殺が死因の11%を占める、それも若い男性が比較的多い、と言う。孤独死となる理由は、家族の事故死、ペットとの別れ、離婚、解雇など鬱状態から無気力になった場合だと言う。驚くべき事は、孤独死の現場で80%あると言う事例だ。それは隣近所含めて「友人」だと名乗って入り込み、遺品等を勝手に持ち去るケースが多い事だ。また、発見が遅れる理由は、遺族とのコミュニケーションが不通となっているケースが多く、発見された時には身体の腐敗状態が最悪になっていると言う。
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私が尊敬する職業の1つ「特殊清掃」。特殊清掃に関する本は今までにも何冊か読んだことがあるけれど、業務内容は特殊で嫌悪感さえ覚える可能性もあるのに、なぜかどの本も温かい。この本の著者もとても優しく温かい。ただ、今まで読んだ本と違っていたのは、この本の著者が若い女の子だということ。それにはとても驚いた。
ブログにて詳しいレビューしています*
https://happybooks.fun/entry/2021/02/19/172758 -
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「“孤独死”を越えて」 - ETV特集 - NHK
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/ep...「“孤独死”を越えて」 - ETV特集 - NHK
https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/5W9XRP6GLN/2021/06/13
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若くして遺品整理に携わるひとりの女性の所感を、孤独死のリアルを伝える自作のミニチュアの写真を紹介しつつ伝えてくれる一冊。
本物だとしたら目を向けるのが辛い状況も、作りものであることでまじまじと眺めたくなる不思議。でも、作りものとは思えないリアルさに、圧倒される。
例えば床に染み込んだ溶けた体液の滲み。ギトギトに放置されたキッチン壁、シンクに溜まったゴミの山。
そこに、一人の人間の生活が、人生があったことを思い出させてくれる。
モノが、ひとを、人生を語る。
どんな風に生き、どんな風に逝くのか。
何を残し、何を遺すのか。
誰もが迎える死を、そして生を、ひととの付き合い方を考えるのに効果的だろう一冊。 -
昨年あたりテレビでチラッとこのミニチュアのことを目にしただけだが、なぜか脳裏にずっと残っていた。
その方の書籍化を知り、本書を拝読した。
書かれている文章もとても良くて、色々なことを教えてもらえた。
これは決して他人事ではない。
いつか誰にでも起こり得る状況を本書から学び、対策や予防をすべきだと思う。
私はブクログ本棚のカテゴリに、「その他」「世の中」「断捨離」を設定してある。
しかし本書は「死生観」のカテゴリに入れた。
私にとっては、それが一番当てはまるような気がした。 -
便座カバーしようとおまった
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非常に興味深かった。
タレントでゴミ屋敷になる理由が、ストーカーで、ゴミを運び出すにも引っ越しを装わねばならないことは衝撃。そして、孤独死の現場に突然表れる「友人」と名乗る人物がズケズケと遺品を貰っていくことも衝撃。故人へのリスペクトもなければ、人としてのどうなの?その行いは?と思わざるを得ない。
孤独死現場を生き抜いたペットたちが、遺族によって保健所行き殺処分されてしまう現実も切なすぎる。特殊清掃を考えると自殺する場所も考えなきゃいけないのだなとか考えたりした。 -
2020.10.09
たまたまネットで知り、たまたま図書館に新刊であったので借りてみた。
遺品整理業者のノンフィクションはウェブでも本でもよく読むけれど、本著は孤独死の現場をミニチュアとは思えないほどリアルに再現していて、ミニチュアとわかっていてもウッとなるところが新鮮だった。そしてすみずみまで写真を見つめてしまった。大きな写真で見てみたい。
壮絶な現場は絵があると状況がよくわかる。
ペットの多頭飼いの孤独死現場は臭いまで臭ってきそうなリアルさだった。糞も餌もなにもかもが混じりあって全てが茶色い…全部汚い…
そして自称友人の登場が本当に胸糞悪い。どこからかぎつけてくるのやら…
このような現場を見ると身に余るモノ、自分で管理しきれないモノはため込まずにその都度手放していかなければと思う。
いつ死ぬのか誰もわからないのだから。