絶滅危惧種ビジネス:量産される高級観賞魚「アロワナ」の闇

  • 原書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784562054664

作品紹介・あらすじ

■■■■■■「量産される絶滅危惧種」の実態に命がけで迫ったノンフィクション!■■■■■■

ワシントン条約の附随書Ⅰで「絶滅危惧種」と認定され、
国際取引が禁止されているアジアアロワナ、別名「龍魚(ドラゴンフィッシュ)」――。
禁じられるほど欲しくなるのはなぜか?
価値のパラドックスと自然保護の深い闇を暴く、衝撃のルポルタージュ!

アジアアロワナの希少種は重装備の警備車両で輸送され、3000万円もの高値で取引される。日本を抜いて最大市場となった中国では、上昇志向のシンボルとなり、幸運のアロワナを信じる富裕層が購入。なかでも好まれる赤いアロワナ「スーパーレッド」は魚のフェラーリとも言われる。いっぽうで「石油やダイヤはもう古い、アロワナはいま最も効率の良い取引」とされ、フィッシュ・マフィアによる誘拐や殺人事件も後を絶たない。日本人バイヤーを誘拐し身代金を要求する事件も発生した。なぜアロワナは、これほどにまで人々を熱狂させるのか。はたして、絶滅危惧種アロワナは、貴重な伝説の魚か、大量生産された商品か、それとも危険な外来種なのか?

★2017年度 米国科学ライター協会 社会科学ジャーナリズム賞 受賞作
★2017年度 ペン/E・O・ウィルソン科学出版賞 最終候補作 
★アンドリュー・カーネギー優秀賞候補作
★ライブラリー・ジャーナル誌が選ぶ2016年ベストサイエンスブック

著者は3年半かけて世界15カ国の「現場」をめぐり、この矛盾に満ちた魚の謎を追いかける。熱狂的なコレクターや新種ハンター、そして世界屈指の探検家ハイコ・ブレハや日本の観賞魚トップシェア会社の創業者との出会いも。その目で野生のアロワナの実態を確かめるべく、ボルネオ奥地や立ち入り制限されたミャンマーの交戦地帯、そして武装した麻薬密売者が跋扈するゲリラの拠点コロンビア領アマゾンへ、ハイコ・ブレハとともに足を踏み入れる。ワシントン条約の杜撰さをも暴き、命がけで確かめた真実とは。

石炭王が作ったアルビノだけの私設動物園や、オリーブの代わりに子羊の目玉を入れたマティーニやタランチュラのてんぷらが供される「探検家クラブ」のパーティなど、知られざる世界も覗き見ることができるスリリングな弩級ノンフィクション!

感想・レビュー・書評

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  • アロワナという魚がいる。受け口に特徴的な髭。体は細長く太刀のよう。
    サイズの大きなものは90センチほどにもなり、ゆったりと水槽を泳ぐ姿はなかなかの圧巻である。
    古代魚でマニアの間では人気の淡水魚だ。
    飼いやすい小型のものは数千円で購入可能だが、人気の高いアジアアロワナは数十万から数百万円するものもある。
    本書はそのアジアアロワナが主題である。

    アジアアロワナ、別名、龍魚。中国では縁起が良いとされる赤や金の体色を持つものの人気が特に高い。
    だがこの魚は2006年以降、絶滅危惧種に指定されている。
    それでもなお売買が盛んにされているのはなぜか? 絶滅が危惧されつつも、アロワナが相当な数、生存しているためだ。だがそれは野生ではない。養殖され、飼育された多くのアロワナが高額のカネと引き換えに世界各地に運ばれているのである。
    本書の著者、ボイトはアメリカ人。実は、アメリカにアジアアロワナを持ち込むのは、絶滅危惧種保護法によって禁止されている(日本では規制はされてない)。ところが、熱心なマニアは法の網をかいくぐり、そのうえ、高値であっても入手しようとする。
    こうして日陰で売買される高額な品物には、キナ臭い話が絡みがちだ。バイヤーは匿名、ディーラーは怪しげ、動くカネは相当となれば、陰で犯罪があっても不思議はない。育てたアロワナが盗まれることもそうは珍しくなく、時には強盗殺人も起こる。

    著者は、はじめは、危ない橋を渡りながらもアロワナを入手しようとする人がいるのはなぜか、解き明かそうとしていた。だが徐々に、深みにはまり、アロワナのあれやこれやを調べ始める。そうこうするうちに、野生で生きるアロワナを何としても目にしたいとやや偏執的に追いかけ始める。

    そもそもが絶滅危惧種絡みのビジネスというのはある種、業が深い。
    その種が絶滅に近づけば近づくほど「市場価値」が上がる。
    こうした種を販売する業者は、よく、養殖し、数を増やすことで種の保存に協力していると主張する。しかし、飼育下で何世代も交配が重ねられ、あまりにも飼いならされたものは、そもそも野生のものと同じものなのか?

    著者の当初の目論見はおそらく、こうした絶滅危惧種をめぐる人々の「闇」をまとめることだったのだろう。
    だが後半は、こうした視点を持ちつつも、著者自身が野生のアロワナを一目見ようと異様な熱意を示して発散気味だ。この魚をさほど美しいとも感じていないのに、首狩り族のいる地帯や、紛争地区、ピラニアのうようよ泳ぐ川にまで出かけていく。
    その一種、尋常でない状態の著者の「探検記」はそれはそれで読ませる迫力がある。
    タイトル通りのものを期待するといささか期待外れの部分はある。だが、著者の執念が牽引力となり、なまじ整ったものより、妙に心に残る読み物になっている。

  • スーパーレッドが野生の種である事がびっくり。
    希少になると乱獲され数が少なくなるのは良くないと思った。ペットを飼う心理として、予測不能な自然を支配したいという欲求というところにも腑に落ちるところがあった

  • 怪しいので原書で読むことに。

  • ふむ

  • 東2法経図・6F開架 666A/V87z//K

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