- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784562048557
作品紹介・あらすじ
18世紀から19世紀の英国では、全労働人口の約15%が家事使用人として働いていたという。
本書はヴィクトリア/エドワード朝時代の英国カントリーハウスで働くメイドや執事を中心に、無名の人々の暮らしぶりを、残された手紙や日記、帳簿、料理帳、ワインセラー帳、薬の調合ノート、あるいは「使用人規則」など膨大な資料から読み解き、「階下」の知られざる生活を今に示す。
ディケンズやクリスティ、ドイルの小説に描かれた背景世界に興味のある読者も、マナーハウスやカントリーハウスのインテリアに関心のある読者も楽しめる一冊。
感想・レビュー・書評
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ヴィクトリア朝~エドワード朝の貴族の館を支える執事やメイドといったいわゆる「階下の住人」を解説した本。
当時の使用人の言葉や実在する館の写真が引用されていてわかりやすいです。
残業当たり前、プライベートもなし、恋人さえ規制されるという何重苦にも思えて読んでいるだけでキツそうでした。
手なんてこすりすぎて血がでるほどみたいだし。
当時は膝への負担もすごくて職業病だったみたいです。
それを受け入れられていたのは労働者階級の特に女性にとっては一番手堅い職業だと文化的に受け入れられていたんでしょうね。
同じことをしても女性は男性のほぼ半分程度しか賃金がもらえなかったそうですし。
世界大戦以後は女性は活躍の場を増やしていきます。
それでも貴族は前時代的な考えを捨てないというところに頭の固さというか柔軟性のなさを感じたというか。
でも一度はイギリスの貴族の館は行ってみたいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イギリスでのメイド・執事文化について書かれた本。主にメイドと執事がどのような仕事、生活をしていたのかがわかる。煌びやかな世界では無いなぁと感じた。メイドや執事について知りたい人に。
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第一次世界大戦後までのイギリスのメイドや執事について、あらゆる角度から解説されています。
肩書ごとの仕事の違いや複雑な人間関係、テクノロジーの発展に従って変わる仕事、大戦がもたらした意識の変化など、読み応えがあり、とても勉強になりました。
現在ナショナルトラストによって管理されている、昔の貴族のお屋敷の写真などもあり、当時の暮らしがイメージしやすくなっています。
◇おすすめポイント
・当時の暮らしぶりをイメージさせる写真や資料
・細かな項目ごとの詳細な解説
・翻訳がとても読みやすい
◇こんな方におすすめ!
・20世紀初頭までの貴族の暮らしに興味がある
・執事やメイドの仕事や暮らしに興味がある
・当時を舞台にした物語の背景を知りたい -
逗子図書館
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ヴィクトリア/エドワード朝時代の英国カントリーハウスで働くメイドや執事を中心に、無名の人々の暮らしぶりを、残された手紙や日記、帳簿、料理帳、ワインセラー帳、薬の調合ノート、あるいは「使用人規則」など膨大な資料から読み解き、「階下」の知られざる生活を今に示す。
元々執事とか大好きで、かつてのイギリスの貴族の生活には興味があったのですが、華やかな表の面だけに注目していて詳しい知識は何もなかったので、使用人の生活がどんな風だったのかとても勉強になりました。廃れていったわけも、時代の流れとリンクしてなるほどなと。使用人というと単に嫌々つく仕事というイメージだったけど、当初は自分の生活を保障してもらえて出世するチャンスでもあったのね。写真がカラーで面白かったです。ただ結構単調で長いので、もうちょいあっさりでも良かった。 -
図書館にて。ヴィクトリア朝〜エドワード朝の、使用人の毎日の生活ぶりが詳しくわかる。小説じゃないけど、具体的な仕事の様子が書かれているので、各部署の使用人たちが働く風景が目に浮かんで楽しめる読み物。
第一次大戦後の人材不足や、労働者の意識の変化など、興味があったことも解説されていて、理解できてよかった。
気になる所を読み返したいけど、買うには高くてちょっと迷う。 -
現在はもうファンタジー世界の住人になりつつある家事使用人が多く存在した時代を、写真と資料、当時の建造物から振り返り紹介する本。当時の面白いエピソードを紹介する新書っぽい軽いつくりの本なので、面白いんだけど、創作の資料としてはちょっとものたりない感じ。(いや、これに出てくる一次資料をあたればいいんでしょうけどね)
しかし現代にも通じる「便利なものがあるんだから使えばいいじゃん!」「設備投資より人件費の方が安いし!」の攻防が面白い。(働く方はたまったもんじゃないだろうけど)
ここに登場する細分化された各職が成立しなくなったのが、第一次大戦で多くの男性使用人が軍隊に志願し(させられ)たせいというのが作者の考えらしいが、近代戦争で職業軍人以外の市民が戦争参加するきっかけとなったのが大量生産できるようになった近代兵器であることを考えると、いろいろなことがつながっているんだなぁと思ったことだった。 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。
通常の配架場所は、3階開架 請求記号:366.8//E88