チャイナ・エコノミー: 複雑で不透明な超大国 その見取り図と地政学へのインパクト
- 白桃書房 (2018年3月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
- / ISBN・EAN: 9784561911395
作品紹介・あらすじ
オリジナル版刊行から起きた地政学的な変動も踏まえつつ日本への示唆をまとめた「日本語版へのあとがき」と、著名エコノミスト吉崎達彦氏の解説も収録!
GDPで世界第2位となり、国際的なプレゼンスも強大となりつつある中国。GDPでアメリカを抜くという予測もなされている。
日本とは外交的な軋轢も多く、いわゆる「嫌中」的な本も売れる一方で、進出した工場や支社・子会社などの運営や種々の工業製品・農産物の輸入は続き、さらにインバウンド観光や、越境ECに代表されるような消費財の輸出も注目されるようになってきており、密接な経済関係は今も維持され、新たな関心も呼んでいる。
本書は、解説の吉崎氏が、「中国経済を破綻なく総合的に描くことに成功」「これから中国経済と向き合わねばならないビジネスパーソンや学生たちが本書を入門書としてスタートできることを正直、羨ましく感じる」と語るように、さまざまな側面から中国経済について簡潔に歴史を振り返りながら、その現状と仕組みを、特段の専門知識を前提とせず、分かりやすく説き起こす。
翻訳書ながら読みやすい仕上がりで、また、日本語版のあとがきでは、オリジナル版刊行後の「一帯一路」やトランプ政権誕生などの地政学的な変動も踏まえ、日本への示唆をまとめている。
加えて、吉崎達彦氏による、日本の事情を踏まえたこの本の意義と読み方を指南する解説も収録。
断片的な報道が氾濫する中で中国の全体像やメカニズムを把握し、正しく畏れながらビジネスの機会を見つけていく手引きとしておすすめ。
感想・レビュー・書評
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中国という身近にあって、意外と知らない国の実情を書いた本。
情報はすこし古いが、中国という国を知る良書だと考える。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
東2法経図・6F指定:332.22A/Kr6c/N.Wang
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- 中国の労働力は不足傾向にあり賃金上昇が予想されるという点は気にしておくべき。
- 中国のことが様々な観点で書かれており辞書的な使い方もできそう。
- そんな本書ですらトランプ大統領が出てきてからの世界の動きは予測しきれておらず、変化の激しさを改めて感じた。 -
おそらく現時点で一番中立的で客観的でかよくまとまっている中国経済入門。
中国が一段高い経済を目指すには自らイノベーションを生み出す力が必要。 -
「目から鱗」の中国本を久しぶりに読んだ。興奮する本である。
個別の経済政策のみではなく、国内政治をも視野に入れて包括的に考察する、なかなかできるものではない。
しかもデータを多用しつつも、一般の読者にも飽きさせずに全体像を提示できるとは感嘆の一言である。
まさに「楽観にも悲観にも与しない」凄い本であると思った。 -
中国の経済発展プロセスの全体像がわかる。おもしろくはないけどよかった。マクロ目線。この本を読むと、中国経済はそうそう簡単には壊れないなと思う。
香港在住欧州人の目線。中国で活動してるから中国批判は書きにくいというバイアスはあるかも。 -
中国経済を語る上で必要。良著。
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中国は経済と政治がそれぞれ、またひとつになって大きな転機にあり、その状況を結果として踏まえることになったような記述で「中国を知る」なかなか他にはない一冊である。
ただし、気を付けなければいけないのは、この本で中国に対する認識が深まったとしても、それを理解することとはまた別物であろう。その線引きを読者が意識して読むことによって、またさらに関心が深まろう。
実に全体を俯瞰し、また巻末に示されている参考文献にも手を伸ばすことで、終わらない探求が続くことになる入口になっている一冊である。中国の経済と政治に関心ある諸兄諸姉にぜひともオススメしたい。 -
兼ねてから中国経済崩壊を皆信じていた。
日本企業からの技術移転による世界の工場と
なり韓国から製造業を奪った。
しかし中国経済が多く抱えていた問題が逆に
ハンデから発展に繋がる。
社会主義国であるが、統制経済がより成長に
繋がる可能性がある。
偽札が多く出回る事から、逆に電子マネーが
広がる。
ビジネスチャンスは理想と現実のギャップの
中にあるが、中国が理想より大きく乖離して
いるが故にビジネスチャンスが無限にあるの
ではないのか?
若者に不満が多いが故に、熱いものがある。
一度読んだが何度も読み返してみたい。 -
中国経済についての概説書。豊富な論点を丁寧に解説している。学問上の論文ではないため数式や凝った分析テクニックは使っていないが、基礎統計を丹念に調べており、中国経済の入門書としても良書。