- Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560097984
作品紹介・あらすじ
「支那通」からチャイナスクールまで、帝国陸軍から自民党・共産党まで、蒋介石や毛沢東と渡り合い、大陸を暗躍した人々の群像
感想・レビュー・書評
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論文集のようにもなっており、大部で読み通すのはかなりの体力が必要。中国の天皇観については網羅的。興味深い点は次のとおり。
・日本政治家(田中・大平)、中国通外交官(橋本)、中国指導部のトライアングルで国交正常化と天皇訪中を実現。しかし日中関係の競合化により崩壊。人脈だけに頼る脆さも。
・天安門事件への対応。外務省は価値観と改革開放は支持すべきかという大局を「二つの相反する側面の調整」とし「大局」を重視。橋本「中国の変貌に協力したい。孤立させるのは危険」
・孫平化「万世一系の元首である天皇の訪中により日中は完全な友好国になれる」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
終戦直後から92年の訪中まで、天皇の存在が中国側(PRCとROC双方)にどう認識されたか、が主題。ただ、国交正常化時の内政から田中隆吉や辻政信、白団に元軍人訪中団と話が広がり本文は500頁超えと、自分にはやや消化不良だった。
蒋介石・毛沢東とも、日本における天皇の存在の重みを認識。更に蒋介石には米国の意向が、毛沢東には野坂参三の影響があった。結果的に天皇の戦犯訴追は回避。またPRCは国交正常化、鄧小平訪日、92年の天皇訪中と天皇に着目していく。
また著者は、国交正常化と天皇訪中については、自民党の大物・少数の中国通外交官・中国の指導部や日本通の「トライアングル構造」が機能したと述べている。しかし著者自身も続いて述べるように、この構造は現在は崩壊しているのだろう。
田中隆吉と東京裁判の関係については、天皇の戦争責任回避のため検察に協力したという彼の「信念」を紹介し、彼の証言で戦争と軍部などの事実が明らかになったとし、一定の評価をしている。 -
東2法経図・6F開架:319.1A/Sh89m//K