ホワイトハウスのピアニスト:ヴァン・クライバーンと冷戦

  • 白水社
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  • Amazon.co.jp ・本 (554ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560095676

作品紹介・あらすじ

アメリカのピアニストに、モスクワが、ソ連中が熱狂した
 1958年、冷戦の最中に、23歳のヴァン・クライバーンは第1回チャイコフスキー国際コンクールで優勝した。これはソ連側のプロパガンダ計画にとってまったくの予定外であり、アメリカ側にとっては、宇宙開発でおくれをとったことで大きく傷ついた自信を癒す「お守り」となった。だが、そもそもクライバーンの何が、当局が方針を変えざるを得ないほど、ソ連の人々を熱狂させたのだろうか。
 フルシチョフに愛され、オバマ大統領まで歴代の大統領から招待を受け演奏したクライバーン。双方の国で社会現象となった彼は、辻井伸行氏の優勝で知られるコンクールに名を残し、東西冷戦と商業主義に翻弄されつつも音楽への愛でたびたび米ソを動かした。そして人気のさなかに公的な演奏から引退を宣言、長い隠退生活をへて、ホワイトハウスで劇的な復活を遂げたのである。
 膨大な回数のインタビューと米ロ双方のアーカイブから新たに公開された証拠に基づき、本書は、「忠誠心の鑑のような反逆者」ヴァン・クライバーンという人間と、チャイコスフキー国際コンクールの劇的な全貌を、初めて明らかにする。

感想・レビュー・書評

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  • ヴァスコダガマの聖戦が良い本だった記憶があり、購入・読了。フルシチョフ、アイゼンハワーその他冷戦にまつわる歴代米国大統領など、政治とヴァン・クラインバーンとの関わりについて知る上で興味深い内容であった。クラインバーン本人について、特に後半で人物像があまり浮き上がってこない点が残念だが、クラインバーン以外の音楽家についても含めて良く調べられており、一読の価値あり。訳も、原文の文体がシンプルであることにもよると思うが、わかりやすい。

  • ノンフィクション。ヴァン・クライバーンの生涯を記録した本。
    たくさんの有名な作曲家や演奏者の名前が続々出てきました。
    で、私はクライバーンのことを初めて知りました。
    こんなたくさんの有名な音楽家(芸術家)が政治に翻弄され、苦しんでいたとは!
    クライバーンのことよりもそちらに気持ちが動きました。

    しかし、政治の話がたくさん出てきて大変な努力で読み終えました。
    でも知らなかったことがたくさんあったので、読んで良かったと思います。

  • 辻井さんの優勝で知ったヴァン・クライバーン・コンクール。
    その由来となったヴァン・クライバーンは、
    第一回チャイコフスキーコンクールで優勝、ソ連の若者に熱狂を持って迎えられた。

    フルシチョフとヴァンの生涯を軸に、東西冷戦の歴史を織り交ぜた大作。

    現代史とピアノの両方に関心のある私には、とても面白かった。

  • やっと読み終わった.タイトルは原題のモスクワの夜のほうがいいかなと思う.日本のクラシック音楽業界ではあまり話題とならないピアニストだったように思うが,すごい人気だったんだということにまず驚いた.冷戦時代の米ソ関係の視方について,なるほどそういうことだったのかと,よくわかるように書かれている.現代史をクライバーンの人生からながめみるというとてもいい本です.

  • 東2法経図・開架 762.5A/C78c//K

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著者プロフィール

歴史家、伝記作家、批評家。1969年、英国マンチェスター生まれ。オクスフォード大学で英文学を学ぶ。その後、『タイムズ』で演劇批評を、『エコノミスト』で時事問題や書評、映画評の執筆を担当。前著『ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」――宗教対立の潮目を変えた航海』(白水社)が「ニューヨーク・タイムズ」のNotable Books of 2011に選ばれたほか、優れた歴史ノンフィクションに与えられるヘッセル=ティルトマン賞の最終候補となるなど、高く評価された。本書は2017年全米批評家協会賞最終候補となった。

「2017年 『ホワイトハウスのピアニスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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