バンヴァードの阿房宮: 世界を変えなかった十三人

  • 白水社
4.00
  • (11)
  • (13)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 188
感想 : 17
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560083857

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ノンフィクション

  • 一世を風靡したものの今は忘れられた13人についてのドキュメンタリー。言い換えればスケールの大きい『あの人は今?』とも言えるのか(みんな死んでるけど)。
    しかし一世を風靡しただけあって、取り上げられている人物は皆、それなりにユニークで、情熱があって、行動力もあった(ディーリア・ベーコンなんて、あの時代で、更に女性という立場を加味すると、相当なものだろう)。結果が伴わなかっただけで、人間としてはけっこう魅力的なんじゃないだろうか。

  • 頑張った、けど、うまく行かなかった人々の話

  • 世界を変えなかった13人について、これほどまでに分厚い本を書ける著者に脱帽 (_"_)
    個人的に、伝記ものって最近読まないので、タイトル以外にあまり興味持てなくてすいません。

  • 生まれた時代が悪かったのか、運が悪かったのか、一世を風靡しながらも世界を変えることができず、歴史に埋もれてしまった13人のポートレート集。地球空洞説、音楽言語、空圧式地下鉄………etc、珍説、奇説や贋作、詐欺師のオンパレード。紹介される彼らの人生は奇想天外で、滑稽であり、哀しくもある。まさに事実は小説より奇なり。

  • 今の科学知識から見るとトンデモだったり、早すぎる時代に生まれてしまったり。 信念の行動すごいなあ。 NY公共図書館の空送システムは知ってたけど、1980年代に、人間をチューブ内のカプセルに乗せて、空圧で駅間を運ぶ手段があったなんて!

  • シェイクスピア人気。贋作を書いたアイアランド、奇天烈なロミオを演じたコーツ、実在しないと思い込んで狂ってしまったベーコンと、関連の人が3人も登場。オルコットの父、ホーソン、エマソン(私どうもこの人いんちきな気がする)など、南北戦争の頃の米国の文人たちがそこここに登場するのも面白かった。この時代のアメリカってそういう怪しげな空気に満ちてたのかもしれない。コンコード種を作ったブル、ソレソ語を作ったシュドルが印象深い。

  • この手の「失敗者列伝」とも言うべきジャンルにも、一定の需要と供給がある。わりと好きなほうで、目に付くたび手に取ってきたものは片手に余るくらいはあるだろうが、本書の労作ぶりは群を抜いているように思えた。
    まず、題材がめちゃマニアック。訳者の方が13人中5人しか知らなかったと書いておられたが、私など、この中では「超有名人」であろうウィリアム・ヘンリー・アイアランド以外はまったくの初耳だった。
    それでいて——ここが本当に凄いのだが——あくまでメジャー・ストリームを逸脱してはいない。メジャー中のメジャーたるシェイクスピアを筆頭に、ウェルチのグレープ・ジュースとか、「誤謬の科学」系なら論争の舞台は「ネイチャー」「ランセット」。トンデモはトンデモでも、箸にも棒にもかからぬようなそれではなく、当代一流の専門家たちが世を挙げて侃々諤々の議論を戦わせたものばかりなのだ。その結果、「各章の主役より、脇役たちのほうがよほど多士済々」といったことが起こっている。この点、きわめて良質の「トンデモ本」である。
    また、本書の最大の特徴として、古書マニアである著者の「原典主義」が挙げられる。家庭環境が功を奏し、幼い頃から有象無象(ここが肝心)の「いにしえの本」に埋もれてきた著者ならではの迫真性は、「すばらしい!」のひとことだ。

    大部な本で、内容のレベルも高いが、読みやすい。「愉快な古書の虫」とも言うべき、著者の人柄がしのばれた。

    2015/2/11〜2/13読了

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=4602

  •  サブタイトルの通り、この本に出てくる13人は、今の時代から見ると「世界を変えなかった13人」である。13! キリスト教圏で言うところの不吉な数字の彼らは、だいたいの場合「えっ何言ってるの、バカなのあなたたち」と言いたくなるようなことを大言壮語している人である。
     なんだろうなぁ。地動説だったりフロギストンだったり錬金術だったりエーテル的な。

     最初は、このネタで13人読むのは辛い、と思っていたのだけれど、読み進むうちに感じるのは「あれ? でも私がいま正しいと思っていることは、後世にどれだけ正しいとされるのだろうか」と言うこと。
     それくらい、彼らは当時の人々に熱狂的に受け入れられている。

     解説でSTAP細胞について触れられていたが、私はむしろベストセラー作家を思い浮かべた。誰もが「新しい、革新的だ」ともてはやし、買い求め、しかしながら、1年も過ぎる頃にはブックオフの100円コーナーですら売られない。10年過ぎる頃にその作家を読んでいると言えば「え? あの○○の?(失笑)」と言われる始末。
     世の中の流行り廃りや正しさっていうのに、絶対はないなぁと感じたいしだいです。

     私が一番惹かれたのは、一生涯ニセモノの台湾人として生きた「ジョージ・サルマナザール」がどうしようもなく魅力的である。本名が分からないと言うところがまた、ミステリ的にはたまらない。

全17件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

アメリカの作家。19世紀アメリカ文学を研究。 
古書蒐集家。ニューヨーク市民大学などで講師をつとめ、マックスィーニー書店で「コリンズ・ライブラリー」を編集。雑誌などで執筆活動をしている。著書にアメリカでベストセラーになった『古書の聖地』(晶文社)ほか。

「2007年 『自閉症の君は世界一の息子だ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ポール・コリンズの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×