パンダが来た道: 人と歩んだ150年

  • 白水社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784560083437

感想・レビュー・書評

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  • パンダが大好きなので読んでみました☆
    いろいろ興味深かったのだけど、かわいくてマイペースな外見に似合わず、パンダちゃんの双肩には様々な重責がのしかかっていました。

    まずはパンダと人の歴史、からまとめておきます。

    西洋人宣教師が19世紀後半にパンダを発見し西洋科学界に紹介したことが、人間とパンダの歴史の始まりです。
    当初パンダは狩られ毛皮に。その後は博物館に展示するために、はく製にされます。
    それがだんだん捕獲して動物園に展示するように。
    また、WWFの設立に一役買い、広告塔としても活躍しはじめます。
    その時期から中国がパンダを「自分たちのもの」と主張しはじめ、パンダ外交がスタートします。
    パンダを知ることで、中国が世界の大国として台頭するまでの歴史も見えてきます。
    そして今はパンダは学術研究の対象となり、野生の生息地で保護するための真剣な努力がなされています。

    「どういう動物が自然界にいるか知らなければ、野生動物を守ろうという発想は生まれない。
    自然界に対する理解が深まり、目に見える標本が博物館や動物園に展示されて初めて、野生動物を保護すべきだという倫理観が生まれるのだ。」
    という意見を聞いて納得☆
    人間って愚か(涙)
    そういう意味でもパンダについて考えることで、二十世紀を通じて動物や自然に対する人間の態度がどのように変わっていったのかが見えてきて、とても興味深かったです。

    また、パンダの生態の中で驚いたのは、
    母は子を一人だけ育てる。双子が生まれた場合は強い方を残して弱い方は切り捨てる。このやり方で子パンダの1年後生存率は50%を超えている。(野生動物としては高い確率である。)
    ということ。
    パンダって、交尾はうまくいかないし、子育てもあまりしないしで、繁殖能力が低いとばかり思っていました。
    そして、野生のパンダはどんくさそうな外見にもかかわらず、(人間を含め)敵に見つからないように逃げるのが得意で、罠にもなかなかかからないそうです。
    絶滅危惧種に指定されているとはいえ、いろんな面で結構自分たちだけで頑張れてるじゃん!となんとなく未来が明るく感じました。

    あと面白かったのは、発見当初、パンダはクマ系かレッサーパンダ系かで長く論争が巻き起こったくだり。
    骨格や歯並びによる鑑定や血清鑑定、DNA配列鑑定などからさまざまな主張が出てきて面白かったです。

    それと最後に、パンダとは直接関係ないですが、飼育下の個体の野生への再導入の3つの条件も覚えておきたくなったので書き留めておきます。
    ・施設で育った個体に獲物を捕らえるための敏捷性を身に着けさせるのは困難。よって草食動物の方が再導入はしやすい。
    ・草食動物であっても、天敵となる捕食者が自然界にたくさんいると難しい。
    ・社会構造を持つ動物は再導入が困難。施設で育った個体が自然界の社会に溶け込むのは特に難しい。よって、単独行動動物の方が再導入はしやすい。

    いつか、中国のパンダ幼稚園に行きたい!

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/61728

  • 思っていたより面白かった。パンダを巡る人間の話というのが本当のところでは?

  • 《教員オススメ本》
    通常の配架場所:教員おすすめ図書コーナー(1階)
    請求記号:489.57//N71
    【選書理由・おすすめコメント】
    2017年6月12日、上野動物園でパンダが誕生しました。パンダの誕生は人々に大きな喜びをもたらしました。パンダの誕生による経済効果は200億以上との試算も出されています。人はなぜこれほどまで、パンダに魅せられるのでしょうか。本書を通じて、パンダの不思議を解明してみませんか?(現代政策・真殿仁美先生)

  • 毎日書評、2014-03-23

  • 10月新着

  • 副題「人と歩んだ150年」。監修は東大出の博士で遠藤秀紀~Ⅰ未知の動物1極上の白黒のクマ2皮と骨3狩りの始まり4生け捕り作戦Ⅱ象徴としての動物5共産主義国の「商品」6野生動物保護の顔7お見合いの政治学8第二の生涯Ⅲ保護される動物9大統領のパンダ10野生のパンダたち11飼育下での研究12未来へ~面白い視点で書いているんだけど,ツッコミ過ぎていて少し引いてしまうところもあり,気がつくと寝ている。野生動物保護の団体として知っているのがWWFだけだと気がついて愕然とした。そう,世の中にはたくさんのNGOがあるんだよね。中国は友好の証としてパンダを贈っていたが,気がつくとレンタルに! 手の形状と糞の類似性からレッサーパンダ・・アライグマの仲間に入れられたけど,勿論クマの仲間だよなあ。欧米の研究者の話は多いのだけど,中国の研究者の話が少ないのはなぜだろう。夕べ,スパイとして臥竜研究センターに入れられたけど,スパイらしい活動をしていないと詰られる夢を見た・・雑用に追われていたのだよ! そうそう,親父の商売が左前になったのは,パンダブームからだったなぁ。白水社は半学術書で良いものを出すね

  • 私も狂おしいほどパンダが好きです。
    この本はパンダが人と歩んだ150年について書かれています。19世紀半ばにフランスの宣教師が中国で見つけたパンダは、誰が最初に撃ち殺すかといった狩猟の対象にされていたというところがショッキングでした。その後パンダを外交手段として使うようになり、政治利用のために生態や繁殖の研究がはじまりました。1961年に設立されたWWFがロゴマークにパンダを使ってから商業利用もされるようになり、1990年代にはパンダ貸出のルールが決まります。かわいいがゆえにパンダが辿ってきた道は平穏ではなかったのです。

  • ヒトのパンダに対する「罪と贖罪の寓話」

  • パンダが発見されてから今日まで、その生態を含めどれほどのことがわかってきたのか、本書を読めば一目瞭然です。やや中国近現代史的な記述の部分もあり、中国史に不案内な人にはまだるっこしい感じもするでしょうが、人間に発見されてからのパンダが中国政治と共に歩んできたということを理解する上では当然の記述だと思います。当初は欧米人の趣味、興味から、そして中国も国の宝と認識するようになり、東西冷戦という障害はありつつも、本書を読むかぎり国際的な協力体制はかなりしっかり構築されていると思われます。パンダ・モデルが他の絶滅危惧種にも活かせればと思います。

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