- Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560081976
作品紹介・あらすじ
偉才がたどった「確認の旅」から「発見の旅」へ。そのとき共にした夫人が貼り重ねた、「最後の旅」と「幻の旅」に至るモザイクの片々。
感想・レビュー・書評
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最初、著書の名前が冗談なのかと疑った。澁澤龍彦の夫人の作品。
高校生の頃に愛読していた澁澤龍彦の本を最近買い直して読んでいたが、その絡みで本書を知った。
「少女コレクション序説」などの著作もある澁澤のことだから、どんな奥さんがいるのだろうという下世話な興味もなかった訳でもない。結果、「高岡親王航海記」の舞台裏が知れたという印象。
マンドラゴラやドラゴンなどの西洋の珍奇な植物、動物が出てくるエッセイの著書が澁澤という認識だったから、小説の「高岡〜」は異色という感じがして、実際最初に読んだ時はピンと来なかった。
だが、本書で澁澤の旅の履歴を知ることで、「高岡〜」の由来がなんとなく判った気がした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
旅の本は、読んで旅行に行きたくなるかどうかが肝だと思うが、本書は澁澤龍彦との回顧録でありながら、しっかりと旅の本。
旅に出たくて旅をしたひとの旅行記は面白い。 -
共にヨーロッパや日本国内を旅した夫人が紡ぎ出す思い出。書斎に籠もり旅をしなかった澁澤の、最初は書物などで見た「確認の旅」から次第に旅慣れるようになり「発見の旅」への移行。寺社仏閣を訪ねるのが好きだった澁澤。最期の旅になった山口、次の執筆作品の予定だった『玉虫物語』の舞台になる筈だった高野山への旅は果たされず。旅の予定を組んだり、食事の後お金を払ったり、切符を買う事が出来ない、唯一出来るのは古本屋の支払いだけという、旅先で植物や貝殻を喜んで拾う少年のよう。表紙のボストンバッグはフランスで買った澁澤愛用の物。