- Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560045916
作品紹介・あらすじ
七月は灼熱の昼下がり、幻覚にも似た静寂な光のなか、ひとりの男がリスボンの街をさまよい歩く。この日彼は死んでしまった友人、恋人、そして若き日の父親と出会い、過ぎ去った日々にまいもどる。
感想・レビュー・書評
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うだるような暑さにあの世とこの世の境界線が溶けだす、そんな7月最後の日曜日の話。
なにより「はじめに」が良い。
----七月のとある日曜日、舞台は人けの絶えた猛暑の町リスボン。この物語は、「わたし」を名乗る人物がこの本に託して奏でずにはいられなかった、一曲の「鎮魂歌」である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。猛暑の一日にこんなにご飯食べて酒飲んだら体調崩すだろ、と思ったけど、まあこれは語り手の夢だから。夢落ちというわけじゃなくて、夢に見てしまうほどの郷愁の話。
今回もたいへん気持ちよく読んだのだけれど、では自分には郷愁の念があるのかというとたぶんない。これっきりで会えなくなる人と、これが最後だからと会いたい気持ちはあまりない。もう会えないんだったら今日の一日をその人と過ごしてどうするのかと思う。同窓会に興味を持てないのと同じような理屈で。
ただ自分の人生に欠けている何かが美しく表現されているときにそれに感じ入ることができる場合があって(例:庄野潤三の「家族愛」や『指輪物語』の「フェローシップ」)、本書はそれに当てはまる。共感はない、けれど語り手の郷愁は美しい。 -
イタリア人作家、アントニオ・タブッキがポルトガル語で書いた小説。舞台はリスボン。夏のけだるさにどっぷり浸ることができる。
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リスボンでポーランド人の魂と会話する主人公。亡父の幻影。フェイジョアーダの匂い。