- Amazon.co.jp ・本 (335ページ)
- / ISBN・EAN: 9784560030448
作品紹介・あらすじ
禁断の国チベットは、命がけで聖都をめざしたヨーロッパ列強のスパイ、軍人、探検家、宣教師、神秘主義者、登山家たちによって、いかにそのヴェールをはがされていったのか。
感想・レビュー・書評
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ふむ
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これ面白かった。
19世紀後半、鎖国状態にあったチベットに西欧諸国から潜入をはかる人たちの話。
ロシアは中央アジアに南進、イギリスはインドから北へ、北米の宣教師や北欧の探検家など、さまざまな方面からいろんな方法で潜入を図るが、誰もラサにはたどり着けない。
(河口慧海はアジアの仏教僧侶なので、ノーカウントとしている)
最終的に軍を率いたヤングハズバンドがラサに至り、レースは終了となるが、ロシアとの関係悪化を懸念したイギリスの撤退後、中国軍が侵攻、その後革命が起きて撤退するも、1950年に再侵攻し現在に至るのは悲しい幕切れ。
エベレスト登頂レースや、ラサに不時着したアメリカの飛行機の話もちょこっと。
監訳の今枝さんはパリ第七大学をでたチベット文献学者で、ブータンに造詣が深い。チベット関連はとんでも本が多いが、この人の本はちゃんとしているので、いろいろ読んだがどれも間違いがない。 -
禁断の国チベットは、命がけで聖都をめざしたヨーロッパ列強のスパイ、軍人、探検家、宣教師、神秘主義者、登山家たちによって、いかにそのヴェールをはがされていったか?神秘の都ラサを目指した男女の驚くべき物語。
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「地図上の最後の空白地帯」チベットを解明する欧米人たちの試み。
禁断の国・チベットに潜入しようとした探険家・軍人・スパイ・宣教師・登山家たちの挑戦と挫折、そしてついに白日の下に晒されたチベットの姿を描いています。
挑戦者たちも英・米・仏・露・日と多彩です。
とりわけ近代の「グレートゲーム」(ユーラシア大陸全体を舞台とした英露間の勢力拡張争い)を演じていた英国の探検家たちの熱意が凄まじかった!w
彼ら挑戦者たちは皆大きな苦難を味わいましたが、それはチベットの鎖国政策よりも、むしろ彼ら自身のチベットに対する蔑視・無理解が原因ではなかったでしょうか?
キリスト教を絶対視し、チベット仏教を「堕落したキリスト教」と見なした彼らは伝道者気取りだったんでしょうが、当のチベット人たちにしてみれば大きなお世話w
なによりも、「ラサ一番乗り」を目指すこと自体がゲーム感覚や競争意識によるもので、チベット人たちにとっては迷惑でしかなかったでしょうね。
そして最終的に成功したのは、探険家たちの情熱ではなく、戦争による軍隊の進駐であり、その後のチベットの運命を決したのもまた、戦争と冷徹な国際政治上のパワーゲームの結果でした。
ニン、トン♪