去られるためにそこにいる 子育てに悩む親との心理臨床

著者 :
  • 日本評論社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784535563919

作品紹介・あらすじ

子どもの「問題」には必ず大切な意味がある。カウンセリングの事例から見えてくる親の役割や子どもへの接し方をやさしく伝える。

親の言うことを聞かない。困ったクセが直らない。学校に行かない……。子どもの「問題」には、必ず大切な意味がある。親はそのこと
をこころに留めて、やがて巣立っていく子どもを、どっしりとした構えで見守りたい。「子どもに去られるためにそこにいる」親の役割、それを支える心理的援助の実際を、多くの事例に基づいてやさしく伝える。

感想・レビュー・書評

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  • わかりやすいし実例つきで、子育て本の中でダントツに良き本かと。
    つい怒ってしまったり、小言が続くことはよくあること。でも子どもの症状、問題が出てきた時は考え直す必要がある。
    態度を変えるのは誰なのか。
    親はどう言う立ち位置なのか。
    ひきこもりにはどう話しかけるのか。


    とても単純で大切なことがある。子育ての時間、家族としての暮らしを親も子も楽しむということ。p.5

    子どもの問題に向き合うときに、「稲むらの火」ただ早く日を消そうと動いてしまっては、何をしているのかわからない。火が知らせるものは何か。表面てきな問題だけをとにかく解決してしまおうとする姿勢は戒められるべき。  p.32

    子どもの「問題」が本人やかぞくに困難な状況をもたらしているとき、問題、という形で大切なメッセージが発進させているのかもしれない。味方を失わずに、問題、やれを取り巻く全体の構図に向き合うことは、とても大切なこと。 p.37

    体の症状をつかったコミュニケーションに頼る子は、しんどさを言葉で伝えることが苦手、弱音を吐かない、吐けない子。
    SOSを発すること、自分を許せる、その部分も幸せに生きていくために子どもが身につけるべきスキル
    p.48

    こどもの自己決定、内なるプロセス、に価値がある。
    寝なさい、起きなさい、親の方はいうことを聞いてくれない。
    自治権の移譲、のような面もある!p.56

    子育てに不安を持っていた親がその不安を置き換えて子どもに接した。負の連鎖、自分の親を守ろうとしているのでは?(くつをそろえなさい!) p.92


    あなたが私の子どもだったという奇跡は、いくら感謝してもしきれないほどだと私は思っている p.98

    もういい歳だから、しんどい時には寝ていようと思えるようになった p.159

    どうすればいいか、どういればいいか、子どもは親から学んでいく。…そばにいて子どもがなにもしなくても、親は機嫌良くしている。
    自分はこのままでいいんだ。ここにいていいんだと安心感を身につける。p.179


  • ・どうやって子どもを笑わせようか、
     何をして一緒にたのしもうか
     それだけに集中する



    9甘えることを繰り返す
    ・赤ちゃん返り、小学校中学年、高学年の退行

    →子どもの健全なSOS
     生まれてくれて、幸せだったよ

     子どもが求めているのは愛情を再確認できる
     言葉かけや関心、スキンシップ

     そのまま受け入れる
     「ありがとう」

     幼かった頃の写真や動画を見る
     
     辛かったね
     これまでよく辛抱してくれたね
     大事に思ってるよ
     あなたのおかげでここまでやってこれたよ

     甘えている子どもは自分自身だと思ってみる


    ・コラムが結構心打たれる

    やさしい夫→本当は妻には優しくない、
          甘える夫

    悩むことと老いること

  • 相変わらず先生、全くブレず一貫して見守りましょう、子供を信じましょうと説いてくださる。
    ADHD持ちのうちの子にも果たしてそれがいいのか?と思うんだけど、子供は自己肯定感を高めることが大事、先回りして苦労しないように障害(物)を取り除いたりするのは本人のためにならないんだよね。毎回すぐには実践できずつい小言を言ってしまうけど、いつも田中先生の言葉を頭の隅にとどめておいておこうと。

  • 深い…

    不登校で悩んで凝り固まった頭に、漢方薬のように効いてくる。

    即効性のある「こういう時はこう!」といった問題解決アプローチでは無く、極めてカウンセリング的な内容。はーーーなるほどーーー、気づきが沢山ある。

  • 子育て、介護での親子の関係、そのまま学校での教師と子との関係に至るまで考えさせられる本だった。問題の意味を考え、ゆっくり直す。したことより、感じていることを聞いてみる。

  • なんか癒された

  • そうか、子どもはいつか親元から飛び立っていくのか。
    今は毎日こんなに必死なのに、そうなの?居なくなっちゃうの???
    数十年後の別れをほんのりと感じさせるタイトルを見ただけで、オドオド取り乱してしまったのはわたしです。

    不登校など子どもの問題について、親にカウンセリングを行っている臨床心理士が著者。
    「親は子どもを笑わせられればいい」(意訳)という言葉が本書にあり、とても励まされました。
    「手なんて全然洗ってないんじゃ!」という力強い独立宣言のエピソードが好きです。

    紹介者:アルパカ
    企画開催日:2022/12/04
    企画名:「2022年に読んでよかった私の1冊」

    • workmaさん
      自分軸手帳部さん
      はじめまして。

      本書をまだよんだことがないのですが、自分軸さんのコメントを読んで読みたくなりましたm(。-ω-。)m...
      自分軸手帳部さん
      はじめまして。

      本書をまだよんだことがないのですが、自分軸さんのコメントを読んで読みたくなりましたm(。-ω-。)m
      2023/02/18
  • 親は子供の幸せを願うあまり、自分が思う「よい」方へ子供を導こうとしたり、問題だと「自分が」考える点を改善しようとする。
    「よいとはどういう状態?」「本当に問題?」を一時停止して考えたい。導こうとせず一緒に楽しむ。難しいけどやりたい。

  • 子どもが親の言う事を聞かないことへの答えを求めて読んだ本。小言は言わずに、リラックスして過ごせるようにすると言う。見捨てるのではなく、関心を持って見守るのだと言う。やりたくないことでもやる必要のあることはあって、それを共有していくにはどうすれば良いのだろう。小言ではなく、伝えられる方法が知りたい。

  • 読むのを楽しみにしていた本。
    医師であり臨床心理士であり、4人のお子さんの父である著者。以前の著書"こどもを信じるということ"は、そのとき大きな支えとなり気づきをくれた、子育ての大切な一冊。

    このタイトル!苦しいときに読もうと決めて、若干わくわくしていた本。
    論文、臨床の場での出会いや体験、ご自身の子育て経験と反省、そしてたくさんの方を診ているから言える、老年期までを見据えた視点。
    盛りだくさんで贅沢な本。

    カウンセリングを受ける側も、カウンセラー側の視点も、子育てをする上で大変参考になった。
    子育ては、苦しいことも寂しいこともある。幸せなこともある。ひっくるめて受け入れて、冒険していきたいなと思った。
    そしてこんな先生がいてくれると思うと、心強いなぁと思う。
    こどもを信じる…できるとき、難しいとき、あるけれど、自分次第。そしてこどもが去っていくとき、しっかりとそこにいてあげたい。

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著者プロフィール

1965 年、東京都生まれ。4歳から高校卒業まで徳島県で育つ。京都大学医学部卒業。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(心理学専攻)修了。文学博士。2010 年 3 月まで仁愛大学人間学部心理学科教授、同大学附属心理臨床センター主任。現在は、医師・臨床心理士として、地域医療、カウンセリングに従事している。2012 年 3 月より佐保川診療所所長(TEL 0742-22-3201)。著書に、『認知科学の新展開 4 イメージと認知』(共著、2001年、岩波書店)、『子どもが幸せになることば』(単著、2019 年、ダイヤモンド社)などがある。

「2019年 『子どもを信じること』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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