- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784535559554
作品紹介・あらすじ
東京大学で、毎回教室が超満員になる大人気講義を書籍化! 世界で活躍するトップランナーたちが、最新の経済学の世界へナビゲート。
理論分析、データ分析の進化でますますパワーアップする現代の経済学が、どんな問題に挑み、どのように考え、答えを出していくのか。
感想・レビュー・書評
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入門編のような感じで、後半は難解。
東大生でないとスンナリ理解できない例示があったのが少し残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
独占禁止法のリニエンシー制度=囚人のジレンマを利用した。問題点もある。
マッチング理論=受け入れ保留システム。問題点もある。
収穫逓増の財では自然と独占になる。
完全競争が働かない=情報の非対称性、公共財、外部効果、非外部効果など。
政府の失敗=パレード最適を作り出せない。
租税競争=法人税を下げることで企業を引き寄せる。EU統合のころから。ふるさと納税と同じカラクリ。
3つの市場と3つのアクター
財・サービス市場、労働市場、金融市場。家計、企業、政府。
GDPの三面等価=総生産、所得の分配(雇用者、企業の余剰、税)、支出面(民間消費、民間投資、政府支出)
消費と余暇にはトレードオフがある。その比率の改善で家計の効用は増える。究極的な制約は時間。その交換比率が高まることも効用が増える。「厚生経済学の基本定理」=競争的な市場では、パレード最適な資源配分w実現する。自由市場の理想。
金融政策=ベビーシッター券を配る。あらかじめ呼び水のように配っておく。インフレの心配もある。合成の誤謬。
全体で見ると、誰かの消費は誰かの所得。財市場の部分均衡が、労働市場へ副次的に影響を与える=一般均衡効果。政府支出を減らすだけでは財市場にも影響を与える=財政政策の困難がある。
現代の物的資本は、人的資本に代わられている。
マイクロソフトなどIT企業では経済学博士がたくさんいる。amazonでは150人以上。データと因果関係を見出す技術、市場とインセンティブを設計できる。
ランダム化比較試験(RCT)社会実験を行うか、実社会でそのようになっている実例を探し出して研究する(自然実験)。ルーカス批判=介入によって結果も変わるのではないか。
統計学と計量経済学の違い=統計学は確率モデルを前提にそのパラメータを問題とする。計量経済学はどのような確率モデルで分析するか、を問題にする。
貿易の重力モデル=国際貿易の物理法則=GDPの世界の中に占める割合が大きいほど、距離が短いほど貿易が盛んになる。全体の係数は増えている=グローバリゼーションの効果。
輸入の効果=イングラムの寓話(クルーグマン)。
知識集約産業は勝者総取りの傾向から所得格差が増える。
幼稚産業保護論=先進国に市場を席捲されないため。
東南アジアや中国では、積極的に市場を開放=生産工程の細分化と輸送費用の低減で、資本集約的産業も立地した。
都市化の功罪=集約の経済と不経済の狭間。最適な都市規模があるが、都市規模は大きくなりすぎる傾向がある。
外部経済不経済は、ピグー税や補助金によって調整できる。都市の規模は地代とピグー補助金を比べることで最適かを計れる(ヘンリー=ジョージの定理)。東京や大阪は過大な都市になっている可能性がある。
産業組織論
再エネ買取制度の是非など。
「デジタルツイン」AIを用いて現実の世界を再現する。信号機の配置などシミュレーションできる。
構造推定という評価手法によって政策を評価できる。
経済発展のメカニズム
最初に緑の革命があって、農業従事者の所得上昇、教育水準の改善、工業化が可能になった。グローバルバリューチェーンで工業化。最近では、東アフリカで見られる。さらに第三次産業化=金融サービス、マイクロファイナンスなどに進化。
ラテンアメリカなどの輸入代替工業化は失敗。市場志向型の東アジアが発展=ワシントンコンセンサス(IMFによる)につながった。新古典派ミクロ経済学の基本定理に基づくもの。今は、開発経済学は下火。RCTを含めてフィールド実験を行うようになり、新たな知見が得られている。=RCT革命ともいえる変化。公文式学習法によって途上国の算数能力が2倍に向上。
経済史
歴史から自然実験を探す。朝鮮の植民地化など。
経路依存性を解明する。アフリカの奴隷輸出と貧困の相関関係。計量経済学の操作変数法によって因果関係を識別。
会計学
なぜ企業は会計情報を開示するのか=情報の非対称性による問題を緩和するため。逆選択とモラルハザードを防止する。
ブラックショールズ式はヨーロピアンオプションモデルの価格を計算する道具。これだけでは不十分。運用手法の開発やプロジェクト評価などで重要となる。 -
桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1272384 -
2階集密 : 331/ICH : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410167759
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思ったより難しい。これを初見で理解できる東大生はスゴイ
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大学時代の現代経済の授業を思い出した。当時も複数の先生によるオムニバス形式だったと思う。ただし1人の先生が3コマ程度を分担していたような気がする。
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東大の経済学者たちによる一般教養の講義「現代経済理論」を書籍化。
各分野、少し駆け足な感じはしたが、経済学の様々な分野の考え方や最新のトピックに触れられて、興味深かった。どの分野でもランダム化比較実験が重視されてるというのが印象的だった。
特に、首藤昭信准教授による会計学に関する章が面白かった。紹介されてる「利益発表後の株価のドリフト」、「会計発生高アノマリー」、「ファンダメンタル分析」、「残余利益モデル」などの研究成果は、個人的な株式投資にも役立ちそうである。 -
経済学のいろは。さらっと全体感を掴むのに良いし、どの分野を深く知るべきか、インデックスとして確認するにも良い。ビッグデータ、デジタルデータ化が進む事で、経済学は更に発展できるのではないかと可能性を感じた。
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久しぶりの硬派本。生産と消費、お金だけでなく、現代社会の人間の暮らしすべてを経済学が解き明かす。消費と余暇のトレードオフの関係から幸福の在処まで。経済学者はIT企業などあちこちで引っ張りだこ。フンフン読み進むも確率モデル辺りから思考停止に。