- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784535558144
感想・レビュー・書評
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2017.08.03 Newspicksで横山氏のことを知る。有料記事につき読めていないけど、コメント欄を見る限り、横山氏の本を読んでみる価値がありそうだ。
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【書誌情報+誤植訂正】
発刊年月 2016.01
ISBN 978-4-535-55814-4
判型 四六判上製
ページ数 272ページ
ジャンル 経済史
<https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7030.html>
序章 マーケットの進化を捉える意義
1 本書の内容と目的
2 市場経済の源流
3 市場経済に必要な条件
第1章 神仏とマーケット
1 律令制の二側面:指令経済と市場取引
2 荘園制:市場経済の発達
3 座
4 トラブルの解決
第2章 安心とマーケット
1 荘園制の形骸化
2 戦国大名の登場
3 市場法
4 撰銭令
第3章 徳川とマーケット
1 徳川の支配
2 両替商
3 株仲間
第4章 権利とマーケット
1 法、権利そして金融
2 流通における利害対立と調整の失敗
第5章 産地とマーケット
1 開国
2 明治維新
3 産地のコーディネーション
第6章 震災とマーケット
1 金融市場の発達
2 関東大震災
3 電力化
第7章 昭和とマーケット
1 金解禁
2 昭和とマーケット
第8章 面積と土地制度
1 律令政府の条里プラン
2 徳川政権の検地
第9章 交通のイノベーション
1 遠く離れた場所へ
2 道
3 線路
第10章 金利計算と金融教育
1 金利計算
2 昭和金融恐慌
第11章 小学校教育と経済発展
1 教育
2 小学校教育のニーズと成果 -
[商の知恵の跡]日本史を「市場(マーケット)」の成長・変化という観点から考察した作品。楽市・楽座,租庸調といった,教科書のどこかで目にしたことがあるような言葉が新たな意味を持って立ち上ってくる,目からウロコの一冊です。著者は,経済史を専門とする横山和輝。
一味違った角度から眺める日本の歴史という意味だけでも抜群に面白いのですが,「市場」という概念がそもそもかつての日本にはなかったことを考えると,驚きすらも覚えさせてくれる作品です。「日本人は商売下手」と言われることもありますが,本書を読むと,商売をするための素地作りはなかなか上手だったんじゃないかと思わせてくれます。
〜マーケットは,自由放任とすればうまくいくわけではありません。かといって,人々のビジネス慣行を無視したルールを設定するわけにもいかないのです。制度設計あるいは市場設計などと言葉を使うのは簡単なことです。しかしながら実際に政策として遂行する際には,様々な利害関係を調整しなくてはなりません。市場設計の歴史は,いかにして利害調整に成功したか,あるいは失敗したかをめぐる物語でもあります。〜
挿し挟まれる著者の家族のエピソードがほのぼの☆5つ -
日本史における経済的トピックを取り上げたコラムのまとめ。
朝廷が全国を支配し、租庸調を集めその循環を始めたところに取引および市場が活性化してきた。戦国時代は、権力が分散されたため、各戦国大名が富国政策として市場の整備特に信長の楽市楽座政策が生まれることになったが、それぞれは分断されていたため難しい政策課題であった。
年貢の徴収は、太閤検地の際の度量衡の統一が重要な事項であるが、農民たちの計算能力も石高を測る際には重要であった。九九は奈良時代の文献にもあり、藤原家の7歳児の教科書にも記述がある。明治時代には小学生も福利の計算をしていた。
江戸時代には、上方を中心に工芸品が集められ、江戸に下って行った。またその裏側に貨幣経済と米市場が発達して行った。 -
鎌倉、戦国、江戸、明治、そして昭和初期に比べて、現代日本のマーケットは立ち止まっていないのか?
素晴らしい教唆を与えてくれた面白い著書でした。
統一国家が築かれる前まで、日本の中に複数の国家(統治機構)が存在していました。
グローバル環境に置かれなくても、国と国の交易を行っていた歴史を持つのが日本という国の歴史です。
統治に関しても、マーケットの変化が大きな役割を果たしてきました。
失われた20年と言われる現代、マーケットが進化出来ていないことが、もっとも根深い社会的課題なのかもしれません。
他国の動きを観察することも大切ですが、日本の歴史に学ぶことも非常に重要なのではないでしょうか。