今、日中のつながりがますます深くなってくる。本書は「日本や海外と関わりのあるエリート」を対象として、インタビューされた彼らの日本観、日本人観をもとに筆者の考えを加え、構成されている。
この本について一番印象深い部分は「日本人は人に迷惑をかけないことを気にし過ぎていませんか」とインタビューされた中国人がそう言った。ここで二つのエピソードが言及された。一つは日本のホームレス調査をしていた趙さんから聞いた話である。研究のために趙はホームレスをする日本人のSさんと知り合った。Sさんは失業、離婚一連の事故を経験した後、ホームレースになってしまった。娘と孫に会いたくても、娘の家に迷惑をかけないようにずっと我慢し、年末年始も川辺で猫とともに過ごすそうだ。もう一つは東京に留学に来たことがある胡さんの見聞である。「胡さんが電車に乗っていた時、隣の3歳くらいの女の子がギャーギャーと泣きました。お母さんがすぐに子供の頭を小突き、泣く理由を聞かなく、厳しい表情で『周りの人に迷惑でしょ、泣き止みなさい!』と怒鳴った」という。
日本はマナー良い国とよく海外に知られている。「人に迷惑をかけない」との代表的な日本精神に私はいつも心から尊敬している。ただ、「マナー良い」の裏側にこんな辛い気持ちがあるとは思わなかった。この二つのエピソードを読んで、少し気持ちが重くなってしまった。
筆者にインタビューされたのは「驚くほど優秀で、GDPでの『日中逆転』現象を喜ぶどころか、冷静な目で自国の発展を見ている」若者だ。この本をきっかけとして、一方的に中国人エリートの日本観・日本人観を受け入れるというより、むしろ両面的に日中相互の考えを了解しできた。
しかし、本書に出てくる中国人は、すべて日本に留学したことあるかあるいは日本で就職経験ある中国人エリートだ。筆者があとがきで言及した「中国内陸部に住む中国人や欧米との関わりを持つ中国人などを取材対象とする」続編にとっても楽しみにしている。