敗者のゲーム[原著第8版]

  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532359119

作品紹介・あらすじ

世界100万部の超ロングセラー。
資産運用の常識を変えた伝説の一冊 !

「市場と投資の本質」を伝える投資哲学の名著として、世界中で読み継がれてきたベストセラーを、最新データに基づき全面リニューアル。

変動するマーケットに一喜一憂する。じっくり考えて決めた投資計画を無視して、高値で買い安値で売ってしまう。そんな経験をしたことがある方は少なくないでしょう。では、市場動向に左右されることなく、大切な資産を守り、実り豊かな人生を実現するには、どうすればいいのでしょうか? 本書ではその現実的な対応を教えます。

著者のエリス氏は、投資の成功は、値上がり株を見つけることでも、ベンチマーク以上の成績を上げることでもなく、「自ら取り得るリスクの限界の範囲内で、長期的な投資計画や資産配分方針を入念に策定し、市場の動向に左右されず、徹底的にその方針を守り抜く」ことだと言います。

そのための方法として詳しく紹介するのが、「インデックス・ファンド」への投資です。本書では、個人投資家が押さえるべき運用基本方針のポイント、成功する投資信託や確定拠出年金の選び方、投資の基本原則などについても広く解説。プロ・アマ問わず投資に関わる全ての人に広く役に立つ内容になっています。

改 訂 の ポ イ ン ト
今回の改訂では最新データに基づき全面リニューアル。新たに6章を加え、2020年の新型コロナウイルスの蔓延がもたらした大暴落と急回復期など、最新の市場動向もふまえて内容をアップデートしています。

感想・レビュー・書評

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  • ”「市場に勝つ」ことを目指して「敗者のゲーム」に参加すれば、負けはほぼ見えている。だからといって、悲観することはない。勝つ方法はある。長期投資の明確な目標設定に集中し、その目的を実現するために合理的かつ現実的な投資政策を選択したうえで、その政策を、自己規律を持って、忍耐強く、しっかり貫いていくことである。(p.27)”

     1985年の刊行このかた、世界中で読み継がれてきた投資運用の古典。初版から30年以上たった今でも、その基本的なメッセージは依然として投資家にとって心強い道標であり続けている。

     チャールズ・エリスの主張は、実のところ、きわめてシンプルである。つまり、「投資における成功は、短期的な相場の上昇・下落に一喜一憂せず、長期的な投資計画のもと、その方針をつねに堅持することで達成できる」。

     まず著者は、市場は、かつての「勝者のゲーム」から、今や「敗者のゲーム」へとその内実を変えたと指摘する。二つのゲームの違いを理解するには、テニス・プレーヤーのアナロジーがとても分かりやすい。
    "エキスパートたちのテニスでは、最終結果は勝者の行動によって決まる。(略)アマチュア・プレーヤーは敵をやっつけることなどめったにできず、いつも墓穴を掘って終わる。得点のほとんどは相手のミスによるものだ。(略)二つのゲームは基本的に正反対なのだ。プロのテニスは勝つために行ったプレーで結果が決まる「勝者のゲーム」であるのに対し、アマチュアのテニスは敗者がミスを重ねることによって決まる「敗者のゲーム」なのである。(p.21)"
    すなわち、以前は、市場参加者のほとんどが個人投資家で、少数の機関投資家がその優位性を活かして一人勝ちできたのに対して、現代の市場は、巨額の資金を運用する機関投資家同士の競争が支配する高度に専門化された場となり、彼らが稼ぐことができるのは他の機関投資家の「ミス」につけ込む時だけだが、ミスをいつもタイミングよく利用できるわけでもないし、もちろん自分もミスをおかす。機関投資家は、みな非常に優秀であるというまさにそのために、(取引手数料の分だけ)彼らの総体である市場に負けることになったのだ。
     そして、個人投資家にとってはより一層状況が悪い。持っている情報量も取引に掛けられる時間も機関投資家に劣りながら、彼らをパフォーマンスで上回ろうとすればかなりの才覚と幸運が必要となるのは想像に難くない。
     その上で、筆者はインデックス投資の優位性を説く。機関投資家の多くが市場に勝てないことは上述の通りだが、この「市場」に投資するのがインデックス投資である。
    "インデックス・ファンドは、面白くもおかしくもないが、とにかく結果が出る。運用成果を測定している会社のデータによれば、インデックス・ファンドは、長期的にはほとんどのポートフォリオ・マネジャーを打ち負かしていると言える。(p.26)"
    個人投資家も、「勝者のゲーム」に勝つことはできないとしても、投資で成功することは十分可能なのだ。そして、リターンを最大化するための秘訣として、長期の投資計画を自己規律を持って実行し、そして何より、チャンスを逃さないために市場に居続けることの重要性を強調する。


     僕は、投資歴がまだ数カ月の初心者で、本書に登場する専門用語で知らないものも多かったのだけれど、要点は、上にまとめた通りで大きく外していないと思う。また、本書の後半で説明されている運用基本方針の立て方も参考になる内容であった。
     今のところ、インデックス投資と国内個別株をごく少額で試してみているが、ふと気を抜けば呑み込まれそうになる、投資の恐ろしい「魔力」は既にまざまざと感じた(大した額を投資しているわけでもないし、すぐに売るつもりもないのに、チャートの動きが気になって仕方がなくなるのだ)。本書の内容も踏まえ、まずはインデックス投資をポートフォリオの中心に据えて自動で積み立てながら、長い間その存在を忘れているぐらいでいるのが、僕にとっては最も賢明な方針だろうと考えている。とはいえ、インデックス投資の唯一つの欠点は地味で退屈なことであるし、インデックス投資をいろいろ弄りたくなる誘惑から目を逸らすためにも国内株の取引を並行して少額で行っていくつもりだ。

    序文
    まえがき
    第1部 資産運用でまず押さえるべきこと
    第1章 運用は「敗者のゲーム」になった
    第2章 運用機関の本当の役割
    第3章 それでも市場に勝ちたいなら
    第4章 「ミスター・マーケット」と「ミスター・バリュー」
    第5章 インデックス・ファンドは投資のドリーム・チーム
    第6章 運用につきまとう矛盾
    第2部 運用を少し理論的に見てみよう
    第7章 「時間」が教える投資の魅力
    第8章 収益率の特徴となかっみ
    第9章 リスクが収益を生み出す
    第10章 効率的ポートフォリオとは
    第11章 なぜ運用基本方針が必要なのか
    第12章 成功する運用基本方針策定のポイント
    第13章 運用成果測定の狙いは何か
    第14章 市場予測の難しさ
    第3部 個人投資家への助言
    第15章 個人投資家にとっての課題
    第16章 投資信託、どう選ぶ
    第17章 手数料は高い!
    第18章 生涯を通じた投資プランを立てよう
    第19章 2008年の大暴落
    第20章 401(k)投資家へのアドバイス
    第21章 人生の終盤で成功するために
    第22章 資産家のためのアドバイス
    終章 敗者のゲームに勝つために
    おわりに
    付録A 運用機関との上手な付き合い方
    付録B オリエント急行の殺人事件
    付録C 推薦図書
    訳者あとがき
    原注

  • 新NISAなどで投資に興味を持ったらまず読んだ方がいい一冊です。とてめ大事なことが書いてあります
    ミスターマーケットより

  • 2024/02/25読破 

    一言 
    …インデックス投資の有用性について

    感想 
    …インデックス投資の有用性について、有効性のある論文や、個人投資家におけるアクティブ投資の成果について非効率的な論文が多く載っておりました。時間を味方にすることに感銘を受けました。個人投資について否定的ではないですが、自分の投資スタイルを決める一助になるのではないかと思います。

    下記は印象に残った点
    p98 普通株の評価の2要素
    ①将来のある時点で起業収益と配当金額がどうなるかのコンセンサス
    ②将来の予想利益から現在価値を逆算する割引き率についてのコンセンサス

    ・長期投資において大切なこと
    …現時点で大多数の人が遠い将来を「どう予想するか」ではなく、将来の時点で大多数の人が「どう考えるか」ということである。

    p109 アクティブ投資においての4タイプ
    ①価格リスク…株価が高いと思うと価格リスクを背負ってる。
    ②金利リスク…金利がインフレ率に対して、変動するための金利リスク。
    ③事業リスク…会社の業績に伴い株価の変動があり、事業リスク。
    ④倒産リスク…分散投資をすること

    p134
    株を買うときは、買い物のようにバーゲンの時に買い、高い時に売る

    197
    引退を考えたあとの資産運用は 引退前の収入75〜80%に、インフレによる目減り2〜3%の増加分を加えたもの。

    p208
    支出のルール・割合を決めること。
    運用について考える日を作ること。

    人が一生で使う医療費の8割は、人生の最後の6ヶ月に支出される

    p230
    『幸福への道』は、
    自分自身を知るという「内面の旅」と
    社会の役に立つという「外面の旅」からなる

  • 至極真っ当なことが書いてあった。
    前半はインデックスファンドが最強という話。
    後半は投資と人生設計の話。
    面白かったのは、株はあなたが持っていることを知らない、投資期間はあなたの寿命より長いという観点。
    次の世代への贈与や寄付についても触れていて、この点も投資の本ではちょっと珍しいかも。

  • 古典的な名著なので少し構えて読み始めたけど、分かりやすく書かれており、1章も短くリズムよく、読みやすかった。 相場の変動を天気と気候に例えられていて、なるほどと思った。 インデックス投資に対する考えや投資法は最近のSNSインフルエンサーが言っていることがほとんど(むしろインフルエンサーがこの内容パクってるんだなという印象)だったので、知っていることも多かったけど、個人的にはオオモトの知識で深められたのはよかった。 まだまだ理解しきれてない部分あるし、一度この本の内容でリストアップして自分の投資を見直したい

  • 投資をしている会社の先輩からのおすすめされて読んだ。
    投資がいかに勝つことが難しい敗者のゲームで、インデックスファンドが長期的に勝つことができる手段ということが書かれている。
    インデックスファンドはしているので、次の投資手段を悩んでいるが、債券について考えてみようと思った。
    目先の利益ではなく、長期的な計画を立てて辛抱強く実行することが大事だと分かった。

  • お金って貯めるだけじゃダメなのねと思い読んでみました。
    増やすって、一部の人だけの考えだと思っていました。

  • 1回読んだだけで、全て理解するのは難しいですね。ただ、インデックスでの長期投資がおすすめの理由が明確に述べられており、新NISAなどで投資を始めたばかりの人の教科書になると思います。
    また、時期を見て読み返してみたいと思います。

  • 「敗者のゲーム」は、2003年に発行された原著第4版の「敗者のゲーム(新版)」を読んだことがある。それに比べて、この原著第8版は、非常に読みやすくなったというのが一番の印象だ。

    本版から訳者が2人になった効果であろう、訳し方がずいぶんと現代的になった。文章の固さがなくなり、かなり読みやすくなったおかげで、スラスラと読むことができた(2015年発行の原著第6版も立ち読みしたことがあるが、文体は原著第4版と変わらなかった)。

    また、文章以外の点でも、読みやすさは上がっている。主に認知容易性の向上に関することだが、まず、文字サイズが大きくなった(今日の標準的なビジネス書と同じ文字サイズ)。その他では、数字が漢数字から一般的な算用数字に変更になったこと。本書は資産運用の本なので、数字がたくさん出てくるが、原著第4版では以下のような漢数字表記だった。

    ”一九八二年から二〇〇〇年の十八年間におけるベストの上昇日一〇日を逃すだけで、リターンの平均水準は一八%から一五%へと、実に一七%も低下する”


    本書、原著第8版の帯に書かれている「最新データに基づき全面リニューアル」というコピーが気になり、目次を見たところ、内容の8割以上は過去の版と同じなので、要らないのではないかとも思ったが、この最新版は買って正解だった。


    「資産運用の成功の秘訣は、コストの安いインデックスファンドを買って、長期間保有し続けること」というメッセージは、過去の版から一貫しており、本質的な部分は改訂を重ねても変わっていない。

    「市場と投資についての基本」が学べる良書なので、投資の入門者が実際に投資をする前に読むべき本の筆頭である。しかし、原著第4版は、初心者にとってはとっつきにくい部分もあると感じていたので、自信を持ってはお勧めできなかった。この原著第8版は、前述したように、読みやすさが上がったので、初心者へのお勧め度が格段にアップした。何の懸念もなく、自信を持って、投資の入門者の方にお勧めできる。

    また、長年に渡って資産運用をしている人も(私もその内の1人だが)、繰り返し読むのに値する内容である。よって、資産運用に関心があれば、万人にお勧めできる本であると言えるだろう。

  • この本が、長く読み継がれている理由が理解できる。一貫して、インデックス投資の辛抱強いホールドを説いている。

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著者プロフィール

1937年生まれ。イェール大学卒業後、ハーバード・ビジネス・スクールで最優秀のMBA、ニューヨーク大学でPh.D.取得。ロックフェラー基金、ドナルドソン・ラフキン・ジェンレットを経て、1972年グリニッジ・アソシエイツを設立。以後、30年にわたり代表パートナーとして、投資顧問会社や投資銀行などの経営・マーケティング戦略に関する調査、コンサルティングに腕を振るう。2001年6月代表パートナーを退任。現在、ホワイトヘッド財団理事長。この間、イェール大学財団基金投資委員会委員長、米国公認証券アナリスト協会会長、バンガード取締役などを歴任。『キャピタル』『チャールズ・エリスが選ぶ大投資家の名言』『イノベーターは死なず』『ゴールドマン・サックス(上・下)』『投資の大原則』(共著)など多数の著作がある。

「2022年 『敗者のゲーム[原著第8版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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