- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532358013
作品紹介・あらすじ
◆政策混迷が招いた熱狂、転落、苦闘――「経済白書」でバブル崩壊を分析、未曾有の事態に向き合い続けたエコノミストによる同時代史と次代への教訓。
◆1989年1月から始まった平成経済は、試練の連続となった。バブルの崩壊と不良債権問題、アジア通貨危機と金融危機、デフレの進行、人口減少社会への突入など、我々がこれまで経験したことのない難しい課題が次々に現れた。
これら課題への政策的対応については評価が分かれるが、著者は、必ずしも満足すべきものではなかったと考える。お手本のないこれら諸課題に対しては、どうしても実験的、試行錯誤的な対応にならざるを得なかった。こうした実験・試行錯誤は成功したとは言えず、デフレ問題、人口問題、財政・社会保障問題などについては、現在においても引き続き政策的対応が必要な状況となっている。
平成時代に直面してきた多くの課題は、未解決のまま平成後の時代に引き継がれる。その意味で、平成時代において日本の経済社会が直面してきた諸課題と政策的対応を振り返ってみることは、これからの政策的対応の道を開くという意味からも重要なことだと言える。
◆本書の特色はまず第1に、マクロ経済を中心に解説していることである。平成経済は、企業経営、産業・技術などの面でも大きな変転を遂げてきたことは明らかであるが、著者はこれまでほぼ一貫してマクロ経済の動きをフォローしてきたので、そこに集中することが比較優位と考えたからである。
第2は、単に事実を述べるだけではなく、多くの出来事の相互関係を明らかにし、できるだけストーリー性を持たせるようにしたことである。平成時代の経済に起きたことは意外な展開に満ち満ちており、実にドラマチックだ。そうしたエキサイティングな歴史の動きを描こうとした。
第3は、できるだけ政策的教訓を導き、後世の参考にしてもらおうとしている。そのためには、どうしても政策的評価が必要となる。評価を下すとなると、著者の価値判断が含まれることは避けがたい。このため、中立的な書き方にさほどこだわらず、率直に著者の考えを前面に出している。
※日本が、そして世界が激変した30年間を、知の巨人たちが検証し、未来を語る。『平成の政治』(御厨貴・芹川洋一編著)、『平成の経営』(伊丹敬之著)と併せた「平成三部作」の一冊。
感想・レビュー・書評
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東2法経図・6F開架:332.107A/Ko64h//K
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今話題の緊急経済対策。
その経済対策に関して平成の時代を全部網羅してる。
若い方にこそお勧めしたい。 -
バブルから始まり、アジア経済危機・小泉政権・民主党政権・リーマンショック・東日本大震災・アベノミクスまで平成31年間の経済をダイジェストで振り返ります。小泉政権から始まるアベノミクスの伏線など「流れ」が理解できて面白かったです。バブル崩壊や経済危機は起こるまで誰も気づかないことが多いようなので、特有の予兆を理解しておくと一獲千金のチャンスかもしれません。賢者は歴史から学ぶのです!
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内需拡大円高恐怖説が問題。円高対策は行き過ぎたもの。
内需拡大で貿易黒字が解消される効果は迂遠で少ない。
バブル崩壊で3つの過剰の始まり=債務、設備、雇用。
アジア通貨危機の発生。マクロ経済指標が良好だったが、ドルペッグのため、ドル高になると、実力以上に増価した。短期資本流入が多かった。金融システムの脆弱性。
デフレ前史=実質所得倍増論、内外価格差是正論、ディスインフレの議論。
法律で縛っても、次の法律でリライトされれば終わり。
地域振興券は貯蓄できないはずが、実際は代替のため貯蓄が増えた。
小泉政権時代に3つの過剰が解消。雇用は非正規が増えた。
3つの過剰が解消し、不良債権処理も終わった。にもかかわらずデフレが止まらない。そこで金融緩和しかない=アベノミクスの異次元緩和。 -
国家の命運を左右する経済対策が
感情論に振り回されているのが印象的。
(景気回復より、バブル復活を恐れていたメディアの論調など)
負担先送り型の経済政策に
コロナ対策と災害が追い打ち。
歴史を踏まえた理詰めな議論が必要だと痛感した。 -
所持:○→20/6/28 amazonで売却
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官庁エコノミストの第一人者である著者が、バブルとその崩壊から始まり、金融危機とデフレの発生、小泉構造改革、リーマンショック、民主党政権の誕生等を経て、アベノミクスに至る平成経済史をマクロ経済という視点で振り返っている。
単に事実を述べるだけではなく、多くの出来事の相互関係を明らかにし、できるだけストーリー性を持たせるようにしてあるとのことで、バブルはなぜ生まれたのか、バブル崩壊による経済への影響がなぜ深刻なものとなったのか、デフレの何が問題か、小泉構造改革は経済にどのような影響をもたらしたのか、民主党政権のマクロ経済運営の問題点は何だったのか、異次元金融緩和をはじめとするアベノミクスの成果と限界は何か、といったことについて明快に解説されており、それらについて理解が深まる内容となっている。
また、地域振興券の経済学的ナンセンスさの解説や国際収支赤字悪玉論の否定など、これまでのおかしな経済政策や日本経済に対する俗論を一刀両断する内容も随所にみられ、痛快である。
バブルなど経済には現れる前例のない大きな課題を我々の社会が全体としてその課題を認識するには非常に長いタイムラグがあるこということや、標準的な経済学的な議論を踏まえて政策的対応を考える必要があることの指摘など、平成経済史から導かれる政策的教訓も多く指摘されており、今後の経済政策を考える上でも参考になろう。
本書は、経済面での平成の歴史を掴み、今後の政策形成に活かすのに、最適な名著といえる。 -
平成にキック
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書評で紹介されていた本。タイトル通り、平成の経済の流れがよくわかる本。経済の学び直しに、一度読んでおいても損はない本。