- Amazon.co.jp ・本 (405ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532357870
作品紹介・あらすじ
新フォワード・ガイダンス導入! 日銀の長期戦に勝算はあるか?
◆黒田東彦総裁が再任され、2期目5年が始まった。米国、EUが緩和縮小に舵をきり、日銀は7月末に緩和継続のための枠組み強化を発表した。日銀による大量の国債・ETF保有、銀行の業績への影響、景気の過熱感など、様々な影響が現れてくるなかで、日銀は出口までの道筋を示せるのか。
◆本書は、的確な経済予測と機動的な政策提言を行ってきた日本経済研究センターにおける金融研究をベースに、日銀の異次元緩和の実態や、銀行経営・財政への影響、将来想定される国民負担などを明らかにし、これからを展望する。
感想・レビュー・書評
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/713029詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカは、量的緩和を利子に換算した影の利子率によると、2014年からすでに引き締めだった。
期待インフレ率が2%で長期金利を0%にできるのは、実質均衡利子率(自然利子率)が―2%の場合だけ。
スイスは1%でもデフレを防げると考えていたが、その後十分でなかったことがわかった。1%のインフレ目標は常にデフレ圧力にさらされることになる。
日本はフィリップス曲線の傾きが小さい=失業率と物価賃金の相関性が低い。バブル時代も物価は安定していた。
日銀は、銀行が保有する株をマクロプルーデンス政策のために購入した経験がある。現在のように巨額のETFを買うことを宣言しているのは異例。
長期国債の買い入れは、YCCによって、ステルステーパリングが可能だった。ETFは出口がない。
今はTOPIX連動型のほうが多い。
株式全体に対しては日銀保有は3%程度。しかし浮動株に占める割合は70%以上になる株もある。
JREATは、都市部の地価上昇の原因になっている可能性がある。
日銀の買い入れは、後場の価格維持になっている。
物価上昇率が安定的に2%になった場合、実質金利を高めに誘導する必要がある。
金融正常化の過程で、日銀は債務超過になる可能性がある。新興国の実績では、中央銀行の債務超過は高インフレを引き起こす。チェコ、イスラエル、チリでは、緊縮財政が組まれたため大きな問題が起きなかった。
日銀相手に信用リスクは心配しないから、債務超過でも問題ないとする説もある。
日銀と政府を合わせた統合政府でみると、政府が日銀に国債金利を払い、それを納付金で還元している。
自然利子率は潜在成長率に一致する。潜在成長率は労働人口に影響されるから自然利子率は上がらないのではないか。とすると日銀は実質金利を上げなくてもいいが、物価は上昇しないのではないか。円安による輸入物価、原油の上昇以外の要因はなにか。
人口減少は、負の資本希釈化効果により、自然利子率を低下させる。労働者一人当たりの資本量が増加するので、追加資本による利益は減る=負の資本希釈化効果。 -
日銀の金融政策の副作用を分析した書。
具体的には、財政ファイナンス、上がらない物価、リスク性資産の購入、金融仲介機能の低下、将来の国民負担など。
専門的な分析を踏まえながらも、噛み砕いて書かれており、頭の整理とともに理解が進む。
著者は2名なのか、日経センターで分担して書かれたのか、重複や繰り返しが多いのが、やや残念。
それにしても、もはや効果がない、あるとしても副作用の方が遙かに大きいと思われる政策をあと何年続けるのだろうか。読み進めば読み進むほど、焦りと怒りと絶望を感じる。 -
東2法経図・6F開架 338.3A/I97k//K