異次元緩和の終焉: 金融緩和政策からの出口はあるのか
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2017年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532357481
作品紹介・あらすじ
○異次元金融緩和が導入されてから、4年たった。2018年には黒田総裁の任期も来る。いまこそ、総括と展望が必要な時だ。日銀は、2016年9月に、「総括的な検証」を行っているが、とても十分とは言えない。
○異次元緩和は、日本経済のどこをどのように変えたのか? 基本的には、経済の基本を改善せず、国債市場を歪めただけの結果に終わった。日本銀行が意図したこと、意図の背後にある理論的な枠組みのどこに問題があったのか?そもそも目標や理論が間違っていたのではないか?
○このまま大量の国債購入が続くと、脱却はきわめて困難になる。なぜなら、金融市場の混乱などの問題解決がますます難しくなるからだ。また、仮に目標インフレ率が実現すると、日銀の財務上の問題、財政負担の増加などの問題が深刻になる。
○いま必要なのは、インフレ目標の達成にこだわることなく、できる限り早く異常な政策から脱却することだ。その際に起こりうる経済と市場の混乱を最小限にとどめるために、何が必要かを早急に検討すべきだ、と著者は説く。
感想・レビュー・書評
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20171031野口悠紀夫 異次元緩和の終焉-2
金融市場の異常→持続可能とは思えない
国債市場は管理市場 金利という体温計は機能停止
株式市場はETF(上場投資信託)依存 株価も実態経済と乖離
日銀当座預金 残高の急増 マイナス金利により銀行収益の悪化
金利上昇のリスク
日銀保有国債の損失 +3%で69兆円の損失!
国債の支払金利急増により財政が破綻
コントロール不可能なインフレ ハイパーインフレ (当局は待っている)
20171031野口悠紀夫 異次元緩和の終焉-1 一貫して安部政権の経済政策を否定してきた。根本は、金融政策・財政政策は短期のカンフル剤常態化は麻薬と同じになってしまうそこから脱出するのが難しい本質は「成長戦略」努力によるイノベーションと生産性向上いつの間にか本質に取り込むことを回避安逸なみちを選択するようになってしまった蓄えができたので、食い潰しでもいいやと「三代目」の発想になってしまった名目的な純資産があると気が緩むしかしその純資産はいつの間にか盗まれてなくなっている歴史は同じことの繰り返し 面白いものだ上野千鶴子先生がそこまで見通して、結局、焼け野原に戻るだけというのは至言!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
デフレ脱却、2%インフレ目標の為の異次元金融緩和の誤り
異次元金融緩和による円安、株高でしかない。
金融政策では日本経済の成長は不可能。
規制緩和、構造改革がなされないと経済は成長しない。
異次元金融緩和を止めない限り、今後の金利上昇、ハイパーインフレ、日銀の債務超過、財政破綻は必至。
小生は信条としては愛国者ですが、経済的には非国民(個人の金融資産の外貨建化)にならざる得ないと思量します。 -
賛否両論が渦巻いていた「アベノミクスの評価」に、ようやく経済学的な結論が見えてきたようだと本書を読みながら思った。
経済の論理は冷徹である。やはり「異次元緩和で景気回復」などは実現しなかった。あとは「出口」に向かわざるを得ない。
「黒田劇場」は、入場ははタダだが出口で「木戸銭」を取るらしい。高くつきそうであると暗然たる思いを抱く。
それにしても、わが国の政治経済のエリート達の質の劣化は酷いものである。「今がよければ後はどうでも良い」では一国の政治経済を任せることはできないではないか。
今後のキーワードは「持続性」ではないかと思った。
本書では「円安→輸入物価高→消費減→成長率低下」に対し「円高→輸入物価低→消費増→成長率高」との目指すべき方向性も示唆している。
本書は、一部上場企業と株式を保有する富裕層のみが利益を得る政策の転換を検討するために多くの示唆を与える本である。
2018年5月17日読了。 -
マネタリーベースは増えたが、マネーストックは増えなかった
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黒田総裁の反論が欲しい