ブレトンウッズの闘い: ケインズ、ホワイトと新世界秩序の創造

  • 日経BPM(日本経済新聞出版本部)
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  • Amazon.co.jp ・本 (567ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532356026

作品紹介・あらすじ

波乱の時代は歴史に立ち返れ!傑出した頭脳を誇る型破りの経済学者、ケインズ。実はソ連のスパイでもあった切れ者官僚、ホワイト。英米それぞれの国益を背負って衝突する知的構想力。中国台頭後の世界への洞察に富む世紀の激闘をヒューマン・ドキュメントとして描いた金字塔!

感想・レビュー・書評

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  • p.567の大著でありながら、なかなか刺激的な作品であった。アメリカの財務官僚ホワイトと誰もが知るイギリスの経済学者ケインズ。両者はそれぞれの国益のためブレトンウッズで激突する。
    ケインズは大英帝国のスターリングブロックと英連邦の経済権益を手放したくないし、一方でアメリカは圧倒的な経済力を背景に経済権益を打破したい思惑がある。財務官僚ホワイトはその一方でソビエトのスパイとして、アメリカの情報をソビエト側に提供したし、何より日米開戦のきっかけとなったハル・ノートの直接的な影響をもたらしていた(というより、対日強硬論の原因となった)事実は日本人は重々理解する必要があると思う。

  • ソ連のスパイと言われたハリー・ホワイトという米国官僚と、英国の経済学者メイナード・ケインズが、第二次世界大戦後の世界経済の安定を目指して、IMFや世銀の設立について闘った話。

    元々米英で話し合っていたが、ハリーがケインズの反対を押し切って他国を巻き込み、ブレトンウッズでは小委員会に分割して議論を掌握し、ケインズを舞台に立たせずして勝利した。

    ハリーがソ連のスパイであった話も詳述されており、日本が真珠湾攻撃をするきっかけとなったハル・ノートに関わっていたことも記載されている。

    長くて難しいけど、楽しく読めました。

  • P204まで読了。一旦返却

  • ブレトンウッズ体制が生まれた背景、舞台裏がこれほどリアルに語られている本はないのではないだろうか。
    それ以上に、わたしたち日本人にとって、この会議の主役のアメリカ財務長官補佐のホワイトが、アメリカとの開戦を決断させたハルノートの起案者であったこと。そしてなぜ彼がそこまで日本を追い詰めたかという理由が書かれていて非常に興味深かった。
    ケインズとホワイトの闘いも面白かったが、ケインズは私の中では経済学者としてのイメージが強かったが、この本を読むと政治家であり、外交官の側面が良くわかった。
    非常に骨太の歴史書として、人間ドラマとして第一級の作品。読みおえるのに時間がかかったが素晴らしい出来の作品。ぜひ多くの人に読んでいただきたい。

  • 150131 中央図書館
    第二次世界大戦の終結が迫る頃、ニューハンプシャーのブレトンウッズで、英国の立場を代表するケインズと、アメリカを中心とした新秩序の構築を目指すホワイトは、新たな国際通貨体制の構想を巡る協議の場で、知力のしのぎを削った。結果、稀代の経済学者ケインズをもってしても、戦費のため財政危機を抱えた英国は、戦後世界が基軸ドルで覆われることをついに阻止できなかった。
    アメリカ=ドルのドミナントを希求するか、それに反を唱えるかの違いはあっても、ホワイトもケインズも、世界の安定のためには自由貿易の下で各国の経済が安定すること、通貨の安定が重要であって、そのために国際通貨が適切に運用されることを目指した。しかしブレトンウッズ体制もまた、国際ルールと国家の自由裁量権の矛盾を解決する魔法の仕掛けでなかったことも、また確かである。
    21世紀の信用危機でも、各国首脳はブレトンウッズを思い起こし、新世代の国際通貨のあり方に思いを凝らしたに違いない。

    サイドストーリーとして、ホワイトがソ連の協力者であったとの話がヨコ糸で描かれているが、そのことはあくまで余話であろう。

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著者プロフィール

米外交問題評議会シニア・フェロー、国際経済学ディレクター。学術誌『International Finance』創刊者兼編集者。オックスフォード大学ナッフィールド・カレッジのロイズ保険組合300周年研究基金の特別研究員の後、1992年より英王立国際問題研究所国際経済プログラムのディレクターを務め、1999年から上記評議会で現職。邦訳『ブレトンウッズの闘い』(小坂恵理訳、日本経済新聞出版社、2014)『マーシャル・プラン』(小坂恵理訳、みすず書房、2020)。

「2020年 『マーシャル・プラン 新世界秩序の誕生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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