ユニオンジャックの政治パワー: 官僚依存脱却への七つのカギ

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  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532354060

作品紹介・あらすじ

政治主導、マニフェスト、副大臣制など話題の政治キーワードのもとはすべて民主主義の先達・英国にある。その「本家」の制度の、ディテールとエッセンスを、元駐英大使館員が平易に解説。

感想・レビュー・書評

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  • <目次>
    第1章 頻繁に起こる政権交代ー下野するリスクがあるから政治は活性化する
     1 政権交代を演出する小選挙区制―わずかな得票率差で大きな議席差
     2 政党本位の選挙
       マニフェストを判断材料に政党本位で投票/政策重視の投票行動―通行人が運動員に質問/×印をつけるだけの投票用紙/似たような政党名を騙り選挙妨害
     3 政権交代を決定づけるのはマスコミの大御所
       支持政党を明確にする新聞/ビジネスマン必須のBBCラジオ/24時間テレビ報道で政治家もルックスが要求される時代に/各政党に向けられる厳しい眼
    第2章 地盤・カバン・看板不要ー誰にでも門戸が開かれている政治家への道
     1 実力のある者だけが生き残る候補者選定
       公募による実力本位の候補者選定/少ない下院議員の世襲/誰でも気軽に立候補/厳しく制限される選挙費用
     2 有権者との対話を大事にする選挙活動
       戸別訪問が中心の選挙活動/コストがかからない位インターネットでの選挙活動は当たり前/和気藹々とした選挙事務所/淡々とした候補者の一日/党首の応援/国会議員がボランティア参加/有権者を車で投票所に送迎
    第3章 官僚の出る幕なしー政治主導を可能にする統治機構
     1 首相
       任期のない首相/長い任期で中長期的視点からの政権運営が可能/首相は女王が指名
     2 閣内大臣・閣外大臣・政務次官
       23名の国会議員で構成される内閣/内閣改造のたびに行われる省庁再編/強大な権限を持つ閣僚/閣僚委員会で各省調整/100名弱のジュニア・ミニスター/大臣等の人数は法律で制限/若手議員の登竜門としての議会秘書官
     3 労働党の組織
       最高意思決定機関としての党大会/両院議員で構成される議会労働党/執行部と党をつなぐ全国執行委員会と全国政策フォーラム/減少する党員数
     4 保守党の組織
       野党も影の内閣を組織/党首の権限が絶大な組織構造
     5 政官関係
       政治家と官僚とは接触禁止/政治任用としての政策室と特別補佐官/政治任用拡大の弊害も認識されつつある
    第4章 議会前日は閣僚が徹夜で猛勉強―活発に論戦が展開される議会
     1 英国議会の概要
       下院:全議席が小選挙区制で選出される公選の第一院/上院:世襲や任命制の貴族で構成される非公選の第二院
     2 議会運営
       法律や慣行によって保証される下院の優越/毎週行われる首相質疑/各省大臣への一般質疑は月に1回/書面質問/法律審議は逐条審査/議会は11月頃開会の通年国会
    第5章 やると決めたら誰にも文句は言わせない―スピード感を持った改革の推進
     1 ブレア政権による第1次上院改革
       一夜にして世襲貴族400人が失職/最高裁判所機能を上院から分離
     2 スコットランドとウェールズの独立に向けた一歩?―デボリューション
       名ばかりの連合王国/国が留保する事項を除く広汎な権限を有するスコットランドの議会創設/SNPが少数与党政権/権限が大幅に限定されているウェールズ議会の創設/労働党とPCとが大連立
     3 GLA(大ロンドン都)の創設
       サッチャー政権により問答無用でGLCと大都市圏カウンティが廃止に/ブレア政権により大ロンドン都が復活/住民投票による設置と公選首長/小選挙区比例代表併用制で選出されるわずか25名の都議会
     4 地方自治体の再編
       メージャー政権による1層自治体の創設/労働党政権による9ユニタリーの創設/ベットフォード市がユニタリー移行を申請した理由/カウンティとディストリクトとの生き残りをかけた壮絶な闘い
    第6章 地域主権の推進ー自分たちの地域のことは自分たちの手で
     1 地域特性を踏まえたイングランドでの分権施策
       イングランド北東部での失敗/イングランドでの地方議会構想が失敗した5つの要因/新たな改革の方向性―シティ・リージョン構想
     2 自由度と自己責任を高めつつある地方財政―補助金の一般財源化
       地方税額がサービス水準とリンク/使途が限定された補助金と使途制限のない補助金/財務省と地域社会・自治省がOKしない限り使途限定補助金にはできない/財務省と自治体との同床異夢の一般財源化/英国の一般財源化が示唆するもの
    第7章 子供が増える英国社会―ワークライフバランスの重視
     1 下院議員の地元活動
       選挙区のために汗をかく下院議員/地元での活動は金曜日と土曜日/下院議員といえども家族との絆を重視
     2 子育てに配慮した社会システム
       英国の少子化対策/パートタイムが多い地方公務員
    第8章 英国政治システム・6つの泣き所
     1 英国人も政治に嫌気?―低迷する投票率
       低迷する投票率/政権選択選挙と煽られ異様に有権者の関心を集めた補欠選挙
     2 選挙権不要の人は登録しなくて決行
       1割が登録漏れとされる有権者登録制度/有権者登録促進にも政治的思惑
     3 郵便投票は不正の温床
       投票日に投票できない人は原則として郵便投票/郵便投票が不正の温床に/不在者投票の一類型としての在外投票
     4 そんなに勝たせるつもりじゃなかったのに―小選挙区制の歪み
       小選挙区制は二大政党にメリット/全体のわずか1割強の有権者が政局を左右/保守党政権になれば定数大幅削減/小選挙区制から比例代表制に移行しつつある地方選挙
     5 国政の動向に翻弄される地方政治
       地方選挙も政党本位/中央政界の動向に翻弄される地方選挙
     6 上院は既得権益の塊―上院改革
       第2次上院改革に向けた動き/妥協の産物としての上院改革白書/白書案は公選議員・任命議員それぞれ270議席に/上院議員の待遇・身分は下院議員並みに/下院の優越は維持/下院では公選80%及び100%が可決/上院では全員任命のみが可決/今後の改革の見通し/任命制のメリットをどう考えるか
    第9章 英国政治システムの基礎知識
     1 英国の主な政党
       ①労働党
       選挙権拡大に伴い二大政党の一翼に/1997年以来3期連続政権を維持する政権与党に/労働党内の伝統路線と改革路線との綱引き
       ②保守党
       英国政党政治の本流を歩み続けサッチャー首相を生み出した右派政党/キャメロン党首登場で政権交代が視野に
       ③自由民主党
       躍進著しい第三政党/埋没する自由民主党
       ④その他の政党
       民族主義の台頭で勢力を増す地域政党/小さくてもキラリと光る小政党
     2 選挙制度の概要
       任期は5年でも解散は首相の意のまま/投票日はなぜか木曜日/選挙期間は3~4週間/選挙も休暇の季節を避けないと世間の反発を買う?/18歳以上で外国人にも与えられる選挙権・被選挙権/「通称リンゴ・スタ」で立候補可能/投票用紙の改善
     3 下院議員選挙区画の改定
       改定のルール/スコットランド政府への分権を受けスコットランドの議席減を先行実施/次期総選挙から650選挙区に/選挙区間の不均衡は大幅に改善/ウェールズ及びアイルランドへの傾斜配分は温存/ドラスティックな選挙区間の変動/今回の改定は保守党にやや有利/政治的に中立で透明性の高い改訂作業/ブラウン首相側近の選挙区が消滅
     4 世論調査
       保守党のリードが続く世論調査/過信できない世論調査/選挙区画は労働党に有利なバイアス/得票率との逆転が起こる要因
     5 地方自治体の構造
       2層制地域と1層制地域とが混在する複雑な自治体構造/パリッシュなど3層目の自治体が存在/ウェールズのコミュニティ・カウンシルを訪問
    参考文献

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