Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532324483

作品紹介・あらすじ

『サイロ・エフェクト』著者最新作!

◆なぜ経済学やビッグデータ分析は、問題解決に失敗するのか?

◆社会科学とデータサイエンスの融合で、人類学的知見が果たすべき役割とは? 

◆FTのトップジャーナリストが、広い視野から事象を分析する人類学の思考フレームワークを解説。

◆「見えていないもの」を正しく「見える」ようにする。
現代社会に必須の知的ツール、人類学的思考法の使い方。

◆現代社会の知的ツールが、機能不全に陥っている。経済予測、選挙の世論調査、金融モデルは外れてばかりだ。こうしたツールは、世界はごくわずかな変数で分類・把握できるという前提に基づいて設計されている。視野が狭いのだ。

◆世界が安定していて、過去が未来の参考になる時代なら、それでもうまくいくかもしれない。だが変化の激しい時代、「ブラックスワン」「極端な不確実性」「未知の未来」に直面しているときは、狭い視野は危険だ。

◆ビッグデータをAI(人工知能)がどれだけ処理しようとも、そこから導き出されるのは「WHAT」だけである。事象の原因、「WHY」にはたどり着けない。

◆いま求められるのは、広い視野と「WHY」を突き詰める視点である。「未知なるものを身近なものに」「身近なものを未知なるものに」変化させ、隠れたパターンを見いだすツールである。

◆本書では人類学者のように「虫の目」で世界を視て、「鳥の目」で集めた情報と組み合わせることで「社会的沈黙」に耳を澄ます技術「アンソロ・ビジョン(人類学的視野)」を紹介する。

◆フィナンシャル・タイムズ紙(FT)のトップジャーナリストが執筆した話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 人類学、すごいな。無縁と思い込んでいたビジネスに役立てているなんてさ。それにしても人類学者を採用するグローバル企業、すごいな。同質を尊しとする古色蒼然たる我が勤務先と大違いだわ。というのが、本書についてのストレートな感想で、、、


    それよりも自分ならではの気づきとしては、
    人類学といえば上橋菜穂子先生のバックボーンなのです。大好きな上橋菜穂子先生が学んだ学問「人類学」の
    アプローチが本書を読むことで分かってよかったし、
    とりわけ「虫の視点」と「鳥の視点」の両方を
    駆使する人類学の態度および世界の見え方は
    決してひとつではない、というテーマは、
    まさに上橋先生の作品の核じゃないですか!
    自分の中の上橋先生像の輪郭を
    ちょっと書き足せたように
    感じます。

    いい読書でした。

  • 『アンソロ・ビジョン 人類学的思考で視るビジネスと世界』好奇心の使い方で、大きなリスクを未然に防ぐ - HONZ
    https://honz.jp/articles/-/51068

    『ANTHRO VISION Anthro-Vision 人類学的思考で視るビジネスと世界』ジリアン・テット著 (日本経済新聞出版社) 2420円 : 読売新聞オンライン
    https://www.yomiuri.co.jp/culture/book/review/20220509-OYT8T50093/

    Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界 | 日経BOOKプラス
    https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/2022/9784532324483/

  • 筆者のジリアン・テットはFTの看板記者、アメリカ版編集長。ジャーナリストはヒストリアン(歴史家)の視座が必要ということは言われますが、アンソロポロジー(人類学)の素養、視座もとても重要とのこと。かつアメリカ中心に企業からのニーズも増えているというのがよくわかりました。素直におもしろい!
    しかも彼女はこんど母校ケンブリッジ大のキングスカレッジの学長になるとか。

    記者の取材テーマが人の人生はわかりやすいですが、クルマやスマホなどの可視的なもの、哲学という概念的なもの、AIのような最新テクノロジー、のどれをとっても動かすのは人間ですね。テック全盛と思われがちな現代だからこそ、人類理解はスクープや深い解説記事につながるのかと。英語のこの本の解説を見ても、ブラインダーを取り除くなど評価されてました。

    さらにアンソロポロジーとひとことで言っても、調べると霊長類学、人間古生物学、有史前の考古学、人類の進化、人類学的言語学、民俗学、民族歴史学、社会文化人類学など広範に含まれるようです。うーん、今回はジャーナリストの本だが、また別の本も読んでみたい。

  • 集団の中での常識や慣習は その中にいると空気のようにみえなくなつてしまう。世の中は多様性でできている。他者の視点で見てみることで今までみえていなかった死角が見えてくる。

    世の中をメタで見直すための大切な考え方を学べました。

  • ■書名

    書名:Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界
    著者:ジリアン・テット (著), 土方 奈美 (翻訳)

    ■感想

    TOPPOINTで読了。
    人類学的視点からビジネスの世界を考える一冊。

    題名詐欺という感じ。
    何を今さらという事がひたすら繰り返されているとしか感じない本でした。

    要は「お互いの人種が違えば考え方が違う。その視点で考えればビジネスも
    上手くいく」ということ。
    これは難しい言葉で学論として記載しているだけという感じ。

    しかも原因を全部人類学に求めているから、こじつけ感もある。
    そもそも何かの原因が一つだけという考え方自体ナンセンス。
    なので、ここに記載されていることは原因の一つかもしれないけど、
    絶対ではない。
    なのに、人類学が全てというよくわからない論調なので、読むに堪えない。

    ビジネスでは、次から次へ単語だけ作って主張するけど不要な単語って多いな・・・・

  • 異なる民族や文化のことを深く理解する人類学の手法が、今日の企業の商品開発や社会問題の解決にも活かせることを、著者自身の経験や多くの実証的な事例を元に明らかにした一冊。

    人類学者が異なる文化を持つ民族が暮らす実生活の場に身を置き、その文化に自ら「浸る」ことで本質を理解しようとする「エスノグラフィー」という研究手法は、企業の顧客ニーズの分析や、エボラ対策といった医療現場でも成果を上げている。著者はこのような人類学者の思考法は、文化の多様性を偏見なく受容することにつながるとともに、翻って自らの特異性に気づく機会にもなり、そのためには集団において誰もが当たり前すぎて口にしないこと(社会的沈黙)に気づくことが重要であると説く。

    VUCAの時代においては、データでは捉えきれない人間の本質的な部分の理解が必要があり、啓蒙主義による合理的・客観的・直線的な「鳥の目」の思考の対極にある「虫の目」としての人類学的思考の重要性が高まっている。タジキスタンでの少数民族研究から一転、金融ジャーナリストとして活躍した著者により、様々な場面で語られる多様性受容という概念が人類学という「縦糸」を通すことですっきりと整理されるとともに、読者は自らが所属する社会を相対的な存在として再認識する良い機会となる。

  • 今の世の中、経済抜きには語れない。
    豊かさの指標も、成長も進歩も、力関係も、経済で測られている。
    でも、何か、納得がいかない。
    このモヤモヤを言葉にして、突破口を開いてくれるのは、、、、ひょっとして、、、人類学かもしれない⁉︎?

    あとがきP323「人類学者には、自分たちの意見を社会の主流派の議論に反映させる力を、高めてほしい」

    経済、権力の側は、自分たちの世界は、特殊専門用語を理解するエリートの世界で、自分たちのことばや慣習を解さない下々から、観察され、分析対象として客観化相対化されることなど想定していない。
    そこに切り込んでいけるのは、人類学なのかもしれない、と感じることができる、面白い本でした。

  • 人の動きや考え方に焦点を当てるのは大賛成
    どんな素晴らしい計画や理論も実行されてなんぼ
    自分のレンズがバイアスで汚れているということは意識していたい、経験が邪魔をすることがあることに注意したい

  • 社会を理解しようとすると、ビッグデータでマクロの兆候を分析をする「鳥の目」だけでなく、対象に入り込み、文化的なコンテキストを理解する「虫の目」が欠かせない。特に変化の激しい現代では、自らも環境の産物であると心得て自分の所属集団も客観視して全体を理解する視点が死活的に重要になっている。
    後進国の部族から金融市場やハイテク部門の技術者、Amazonの倉庫労働者、トランプ支持者、コロナの蔓延を止められなかった先進国、サスティナビリティを叫ぶ企業や投資家などを理解するうえで、先入観を廃して観察する人類学的アプローチが必要であるということ。
    データサイエンスを否定するものではなく、補完し合うものと認識した。

  • 人類学の観点から、真っ直ぐに事実を見る。キットカットの日本版のストーリーに結構な説明を加えている。キットカットの発音がきっとかっとーという方言に似ていることから、合格のお守りになるというマーケティングをひっそりと行った高岡さんは、本社のネーミングHave a break を使わずにサクラを使って合格イメージを作るという戦略に出た。スイス本社のマーケティングに抜擢されたのは、普通とは違う視点でものを見るということにあったと。これが、人類学と同関連していくのか、、、という点は後付けなのでなんとも言えないが、「あなた方がの世界観は万人のものではない」という点が最も大事なところだろう。アメリカ人から見たら、子供が自分の部屋を持って、自分で寝るのが当たり前だが、マレーシア人からすればそんなの子供が寂しくてかわいそうだと考える。その考えにびっくりしているアメリカ人に、マレーシア人にびっくりするということが起きる。
    これが、エボラ、そしてコロナへと展開してゆく。寄り添うことが大事だったにも関わらず、アフリカの文化を無視し、見下した。中国の衛生を批判していた。アメリカ来てみて、この汚さと臭いをとしてなんたるかと。ニューヨークは、マスクの概念を覆し、コロナ対策の武器だと訴えた。こんなにマスクするニューヨーカー、信じられない。
    自分が普通で、それ以外は変だ、これが人類学では多様性こそが普通と見る。当たり前で見落としていることに、焦点をあてることだ。
    基本に戻ると、人類学の見方をビジネスにも導入することで、相手のことを考える、つまり自分自身が正しいという思い込みを捨てて、相手の考えを理解しようとすることができる。自分の考えを全ての人が同じように持っているのではないということ。すなわちダイバーシティの意識を持つということに尽きる。

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著者プロフィール

ジリアン・テット(Gillian Tett)
FT米国版編集委員会委員長、米国版エディター・アット・ラージ。
ケンブリッジ大学にて博士号(社会人類学)取得。フィナンシャル・タイムズ紙(FT)入社後、ソ連崩壊時の中央アジア諸国を取材。その後、東京支局長もつとめる。イギリスに戻り「Lexコラム」担当。金融ジャーナリストの最高の栄誉ウィンコット賞を受賞したほか、ブリティッシュ・ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー賞、コラムニスト・オブ・ザ・イヤー賞、ビジネス・ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー賞などを受賞。米国版編集長を経て現職。著書に『セイビング・ザ・サン』、『愚者の黄金』(フィナンシャル・ブック・オブ・ザ・イヤー賞受賞作)、『サイロ・エフェクト』がある。

「2022年 『Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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