- Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532322847
作品紹介・あらすじ
人気ビジネス講師が教える「会計×経営戦略」のハイブリッド学習法。会計は、経営戦略と同時に学ぶことで理解できる。トヨタ、ファーストリテイリングなどなど、人気企業の決算書を「経営戦略」とリンクさせて読み解く!
感想・レビュー・書評
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『会計戦略思考』
【A;購読動機】
社会人になってから会計畑を歩むことになったことがきっかけです。その後、会計、マーケティングそして経営が「つながっている」ということを体感しながら実務を行ってきました。
ただし、体感という記載のとおり「感覚」でこなしてきてしまったのがよろしくありません。
そのため、「学」として「理論」を知ることが必要と考えました。なぜならば、実務の「安定」「スピード」がさらに増すと推察できるからです。
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【B;書籍の魅力】
以下のような状況の方へお薦めです。
1)数値・会計には関心がある。
2)ただし、勘定科目、決算処理は難しくて理解が及ばない。
3)会計、経営そしてマーケティングを一気通貫で理解をしたい。
お薦めな理由は3点です。
1)先生・生徒という対話形式での構成。
2)実在の企業決算を引用しての構成。
3)数値から経営・マーケティングへの構成。
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会計系の書籍。それなりに読みました。現時点でベスト3位に入ります。
【C;書籍からの学び】
大きく2点です。
1)その数値から何が読み取れるのか?「だから、それで?」
2)その数値の裏側の「経営戦略」は何か? なぜその経営戦略なのか?
直近、この書籍を読了したあとに、上場企業の決算資料・IRを読み解きました。そのときに、1)2)を行っています。このプロセスをはさむことで、該当企業の未来への進み方を推察できるようになりました。
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【D;書籍の内容】
①会計とはなにか?
経営戦略を理解する、実現する手段のひとつであること。
会計は結果・数値である。
②会計力とはなにか?
企業数値を読み解く力。
③戦略思考力とはなにか?
企業活動から経営戦略(勝ち続ける仕組み・経営資源の配分)を読み解く力である。
④会計戦略思考とはなにか?
会計という結果から、原因の企業活動に思考をとばすこと。
該当企業の競争優位がどこにあるのか?当たりをつけること。
⑤会計数値を読み解く。大事な1ステップめとは?
その企業名を想像して、数値から業種・社名を推察すること。
仮説の企業名と実際の企業名のGAPが数値を読み解くヒントになる。
⑥会計数値を読み解く。最後のステップは?
で、その企業はどこに進むの? なぜなの?と経営戦略を推察すること。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
会計の数値から何を読み取るか、非常に分かりやすく解説してくれる。実際の企業のPLやBSを基に詳しく説明されるのでイメージも湧くし、興味が持ちやすい。自分なりの仮説を持ち、それを検証していく過程は正にスリリングであり、会計の素人でもとっつき易いと思う。
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本書の目的は会計用語の解説や記憶ではなく、会計の数値と企業活動をリンクさせて思考できるようになることです。会計の数値は企業活動の結果として表現されるものなので、会計の数値から企業活動の構造を把握することが出来るはずですし、逆に企業活動から会計数値の構成を推定することも出来るはずです。
本書は著者が会計の企業研修を行なっている内容をベースに構成されています。損益計算書と貸借対照表の二つが主な対象になっており、大まかな構成の説明が最初にあります。その後は「企業名から会計数値を予測する」、「会計数値から企業名を予測する」といったワークを通して会計の読み方を実践的に学べる内容が続きます。研修の場ではグループワークになっているため、実際にあり得そうな受講者の会話も挟みながら進んでいきます。
会計数値は常に疑問や仮説を持って読むことで内容を深く理解できるということが何度も述べられます。学習する際には普遍的に重要な考え方だと思います。「なぜこの会社は販管費が高いのか?」「売上原価は他社や理想と比べてあるべき姿になっているか?」など定量的な会計という世界において、その数値をどのように理解するかという訓練を繰り返すことで、より正確にその企業を理解する助けとなります。自社の会計数値を定性的に理解できれば、より収益を上げるための経営判断も正確に下すことができるようになるように思います。
経営に直接関与する立場ではなくても会計を理解しておくことで、自社を含めて会社という組織や経営陣の判断をより理解できるようになると感じました。 -
会社の研修の課題図書で出された本。これまで会計についてまったく触れてこなかったけど、決算書や貸借対照表の読み方をわかりやすく教えてくれた。
研修でもいろんな企業の決算書を見ていったけど本当に面白い。企業それぞれの戦略が数字に表れている。
決算書は、ある意味企業の健康診断の結果みたいなものかもしれない。決算書からブランドのあり方を見直していけたら、より力になれそう。 -
めちゃめちゃいいと思う
読み返したい
折に触れ読み返したい
ただ、kindle版で買って読んでしまったので画面サイズ調整入っておらず読みづらくてしょうがなかった…そこは失敗 -
具体的なサンプル企業のB/S、P/Lを用いたケーススタディや、インタラクティブな会話形式の中に思考プロセスのエッセンスを盛り込み、思考ロジックが自然と頭にインプットされるように工夫されている。「考えてから読む」ということがKey Word。これまでの知識の再整理にとても役立った。
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決算書は考えてから読む
数字から読み取ることも大事だが、何を読み取るのかの目的、仮説をもって読むのはまた違う -
ビジネススクールで身につける会計×戦略思考
はじめに
1 会計の本質を問う質問は、「WHAT?」ではなく「WHY?」
5万人以上の社会人・学生と面してきて
京セラ創業者・稲盛和夫氏が抱いた会計への疑問
「WHAT?」か「WHY?」か
2 なぜ「会計力」と「戦略思考力」なのか?
両者が分断しているわけ
そこから何が言えるのか?を考える
「はじめに」まとめ
第1部 会計力
第1章 損益計算書(PL)はマトリクスで読む
1 会計用語の記憶に訣別を
2 PLはマトリクスで読む
3 売上原価と販管費をどう分けるのか
4 企業が語る営業利益率10%の目標
5 ニトリホールディングスのPLを読む
第1章のまとめ
第2章 貸借対照表(BS)を読み解く3つの基本法則
1 損益計算書(PL)はビデオテープ、貸借対照表(BS)は写真
2 右側はお金の入りどころの明細、左側はそのお金の投資・運用状態
3 BSを読み解く3つの基本法則
読み方1 「大局観を持つ」BSは固まりで読む
読み方2 「優先順位をつける」BSは大きな数値から読む
読み方3 「仮説思考を貫く」BSは仮説を立ててから読む(考えてから読む)
4 ニトリホールディングスのBSを読む
第2章のまとめ
第3章 企業名のみから決算書を読み解く仮説・検証のプロセス
1 STEP1 企業を想像する
知っていることを言葉にしてみる
QUIZ①
2 STEP2 仮説を立てる(決算書をイメージする)
決算書を見る前に決算書をイメージする
3 STEP3 仮説を検証する(決算書を読む)
QUIZ②
第3章のまとめ
第4章 決算書の数値から企業活動を読み解く仮説・検証のプロセス
QUIZ③
1 再現 グループ討議で貸借対照表(BS)を読み解く
BSは大きな数値から読む
売掛金を読むことで売っている相手を知る
在庫を読むことで業態を知る
複数の仮説を総合して結論に至る
2 再現 全体討議で損益計算書(PL)と資金調達を掘り下げる
第4章のまとめ
第2部 戦略思考力
第5章 「5つの力」で業界の競争環境を理解する(導入編)
ビジネスを考えるスタート地点は経営の外部・内部環境
1 競争環境の厳しい業界の特徴を考える
「勝ち続けるためのしくみ」をつくる
考えておくべき5つの要因
2 既存業者間(業界内)の脅威
3 新規参入の脅威
4 代替品の脅威
5 売り手の脅威
6 買い手の脅威
第5章のまとめ
第6章 「5つの力」で業界の競争環境と会計数値を読み解く(応用編)
1 利益率が下降を続け、大合併に至った鉄鋼業界を5Fで考察する
国内大手2社の業績動向
2 既存業者間(業界内)の脅威 脅威を高める事象ばかり
3 新規参入の脅威 過去10年間の中国での新規参入が、大きな傷跡に
4 代替品の脅威 鉄の利便性は当面変わらず
5 売り手の脅威 売り手主導の販売交渉が継続する
6 買い手の脅威 買い手主導の販売交渉が継続する
2020年のグローバル鉄鋼業界 脅威はさらに増大している
QUIZ④
第6章のまとめ
第7章 バリューチェーンで事業の内部環境を理解する(導入編)
1 経営戦略の相違が生み出すPLの違い
QUIZ⑤
2 バリューチェーンで戦略を分析する
第7章のまとめ
第8章 バリューチェーンで同業2社の経営戦略と会計数値を読み解く(応用編)
1 研究開発戦略の相違がもたらす利益率の違い
QUIZ⑥
2 製造戦略の相違がもたらす利益率の違い
QUIZ⑦
製造する側の収益構造
製造しない側の収益構造
3 プロモーション・販売戦略の相違がもたらす利益率の違い
QUIZ⑧
競争のルールは1つではない
流通システムの違いとプロモーション
4 販売チャンネル戦略の相違がもたらす利益率の違い
QUIZ⑨
チャネルの違いが生む利益率の相違
直接販売の花王と間接販売のライオン
どこに競争優位を築くのか
QUIZ⑩
第8章のまとめ
第9章 4つのPでマーケティング政策を理解する(導入編)
1 ネット通販の魅力をイメージする
QUIZ⑪
2 マーケティングを定義する
3 マーケティング・ミックスを考察する4つのP
4 Product(商品)戦略
5 Price(価格)戦略
6 Place(流通)戦略
7 Promotion(プロモーション)戦略
8 Product→Customer Value(顧客価値)が生み出す利益
9 Price→Cost(コスト)を認めた顧客がもたらす利益
10 Place→Convenience(利便性)が惹き起こす利益
11 Promotion→Communication(コミュニケーション)が呼び込む利益
第9章のまとめ
第10章 STPとマーケティングの4Pで同業2社のマーケティング戦略と会計数値を読み解く(応用編)
1 R-STP-MM-I-Cでマーケティングのプロセスを俯かんする
2 セグメンテーション(市場細分化)
3 ターゲティング
4 ポジショニング
5 フィットネスジム市場をSTPで考察する
6 ジム業界2社のProduct戦略は、顧客の求める目的の違い
7 ジム業界2社のPrice戦略は、最も顕著な両者の違い
8 ジム業界2社のPlace戦略は、Product戦略に通ずる違い
9 ジム業界2社のPromotion戦略は、収益回収モデルの違い
10 ジム業界2社の決算書を考察する ゲームチェンジしたサービス業・RIZAPの原価と販管費
第10章のまとめ
第3部 発展編
コーヒーブレイク 企業内教育研修における「会計×戦略思考」の強化のために
第11章 分析の有効なツールとなる会計指標の活用
1 総合力
2 収益性
3 資産効率性
4 安全性
5 成長性
QUIZ⑫
第12章 トヨタ自動車の連結決算書と単体決算書を対比する
1 トヨタ自動車の連結損益計算書(PL)
2 トヨタ自動車の連結貸借対照表(BS)
第13章 キヤノンの連結キャッシュ・フロー計算書を読む
1 キヤノンの営業活動によるキャッシュ・フローが、安定成長している理由
2 キヤノンの投資活動によるキャッシュ・フローは、安定推移と見る理由
3 キヤノンの財務活動によるキャッシュ・フローは、多額のマイナスと評価する理由
4 キヤノンの現金及び現金同等物の期末残高が、急速に減少している理由
第14章 損益分岐点分析により、利益を生み出す仕組みを作る
1 損益分岐点分析と、計算に必要な管理会計の用語
2 損益分岐点比率は、赤字に陥るバッファー(余裕度合い)を評価する
3 オペレーティング・レバレッジは、売上の変動に対する利益のブレ度合いを評価する
第15章 IFRS決算書を分析するための9つの着眼点
1 段階利益の表示の強制規定はなし
2 特別損益の区分は禁止
3 自社オリジナルの利益を語る企業が増大
4 非継続事業に係る損益を別建てにして表記
5 のれんは非償却、固定資産の減損は2ステップ
6 株式売却益を損益計算書に計上しない選択肢
7 収益(売上高)の認識基準が変化
8 貸借対照表の呼び名と見え方が変わる
9 すべてのリースは資産計上が原則
エピローグ 会計に向き合っていくために
会計スキルを身につけるために
身の回りのことに応用する
身の回りの会計数値に問いかける
フレームワークを活用する
キーとなる質問は「WHY?」と「SO WHAT?」
間違いを恐れずに結論思考を貫く
あとがき
日本経済新聞出版「ビジネススクールで身につける 会計×戦略思考」 2021年1月 -
様々な会計本を読んできたが、目的を持って一つ一つ構造を読み解くことでかなり実践に近い会計力を身につけることができた。大局を見ることの重要性を改めて実感した。