炎上しない企業情報発信 ジェンダーはビジネスの新教養である

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532322373

作品紹介・あらすじ

なぜ、ディズニー映画は炎上しないのか? 似たような発信内容でも、女性の反感を買う、ズレてる会社と愛される会社がある。その成否をわけるのは――。ジェンダー(男女の役割)規範に詳しい著者が、ディズニープリンセス映画の変遷や国内外企業による「女性像」の発信の成功・失敗事例から、企業ブランド戦略、マーケ活動に活かせる情報発信の新ルールを指南する。誰もが発信する時代だからこそ、広報や経営企画担当者から企業経営者までが知っておくべき、新しいビジネス知識が学べる一冊。

★CM、SNSでの「女性像」の見せ方は、一歩間違うと大きな炎上リスクに
→ 具体的な炎上CMから炎上ポイントと回避策を解説!
★海外でもジェンダー表現の拙さからの炎上はあり、ジェンダー対応力が世界共通語に
→ ジェンダー対応は、グローバル企業としての存在感と連動することを紹介!
★お手本はディズニー。シンデレラから中性的なプリンセスへの進化
→ 具体的なプリンセス映画の変遷から先進企業のジェンダー対応力をたどる!
★日本企業は女性の役割の変化に配慮せよ!

感想・レビュー・書評

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  • 前半は実際にあった国内企業や自治体の広告を挙げ原因と問題点を説明する。炎上したことは耳にしたが内容まで知らなかったものなどもあり、「そうだったんだ〜」と納得。
    後半は、時に時代に合わせ時に時代を先取りしたディズニー作品のジェンダー観を説明する。ポリコレポリス化の批判もあるディズニー作品を持ち上げすぎだろ…という感はあるが内容はとても分かりやすかった。
    最後に、知識をアップデートすることやマジョリティではない(女性など)も発言できる環境にするなど組織のtodoを説明。知っていて損はない一冊。

  • 「炎上CMでよみとくジェンダー論」関連本。
    「日本のビジネスパーソンに、損益計算書や貸借対照表を読めるのと同じくらい、ジェンダーに関する基礎知識を」という筆者の考えにのっとり、非常にわかりやすく炎上の要因と対応が分析されている。ジェンダーはビジネスの新教養。

    CMを見て不快になることはよくある。ビジネスパーソンとしては、そんなときに不快の理由を突きつめたほうがいい。性差別ではないか、性役割の固定化・強化につながっていないか。自分が不快だからといって、他の人にも不快なわけではないし、逆もまたありうる。
    ディズニー・プリンセスを分析した章も非常に興味深かった。

  • 国内外の多くの企業がジェンダーに関する情報発信で炎上している。情報発信に携わる人は必読の1冊。

  • 企業情報もそうですけど、実際に発信する際に受け手についてどこまで想像できるか。旧来の発信メディアでしか生きてこなかった、それで生きてきてしまった人がついつい気づかないで侵してしまう領域って結構多い。実際、なんで?反応見てから調整しようとしてたにしては、お粗末なってコトが散見する昨今。企業の側にたち、有名なプリンセス商法がいかにしっかりとした背景で展開されているか、ここまで考えて動いてこそな世の中になっているだぞと。気づかないのは旧時代な人間と括られてしまうのが今のご時世なんだろうな。

  • 半分くらいディズニーの話なんだな、コンプラとビジネス、エンタメはみんな両立できる。自治体とかは事実上「倒産」することがないからどうしてもユルいよなあと思う

  • 2021I053 336/Ji
    配架場所:A2 東工大の先生の本

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB27132218

  • 1975-2018までの間にみられた日本の広告PRにおけるジェンダー規範的に問題がある事例を多数確認しながら、それらの広告PRのどこに問題があるのかを整理する。次に、2010年代ではカンヌのグラスライオン賞など、積極的に旧来のジェンダー規範を乗り越える広告PRが奨励され名声を勝ち得ている事例を紹介し、同時代の日本の広告PRが相対的に遅れている現状をさらに鮮明にする(著者は明確に「日本は遅れてる〜」などとは煽らないが、書籍の構成として日本の多くの広告活動がジェンダーの点で遅れている事は明らかだとわかる)。
    途中ではアプローチが変わり、ディズニーが1980年代以降になってからいかにして自社のジェンダー規範を更新して、世界水準の大企業であることと、ジェンダー含む社会的正義に関する信念を発信することとを巧みに両立させられるようになったのかが分析される。議論の主題となるのは、遅れた女性観が保持されているとしばしば揶揄される白雪姫・シンデレラ等の【ディズニープリンセス】の表現史である。治部によれば、ディズニーは1960-80sのアメリカで巻き起こった第一世代フェミニズム運動(ウーマンリブ等)を受けて、『リトルマーメイド』から『アナと雪の女王』に至るまで、プリンセスに託されるジェンダー観が少しずつ、ジェンダー中立的に書き換えられてきたということだ。

    総じて、「ジェンダーに気を遣っていたらビジネスなんてやっていられなくなる」などと溢すビジネスパーソンのいいわけじみた怠惰さを、語り口はソフトに、しかし実質としては手厳しく、掣肘する報告になっていると思われる。また、ジェンダーを世界が重視する時代になったことに対応してゆく必要を痛感しながらも、系統的な手がかりが身近に乏しく困っている各業界の人々にとっても、この本は導きの手となりそうだ。

    ところで広告関連の資料がWebにしかないことが多かったため、調べながら読んだ。内容はこちらに個人的なメモとして残している。https://min.togetter.com/AegfUw0

  • 前半は自分でも覚えているCMなどの炎上事例。
    企画者のメンバー選定や少しの注意で炎上回避できそうな短期解決策。
    後半はディズニーの事例。企業全体で広範な調査、マーケティングをしてプロダクトに活かしていて興味深い。
    ここまでの力を入れられるかは、対象がその企業のメインプロダクトそのものなのか、プロダクトをアピールするための活動なのかで違うと思う。

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著者プロフィール

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。日経BP社にて経済記者を16年間務める。ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て現職。男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、日本ユネスコ国内委員会委員、日本メディア学会ジェンダー研究部会長など。著書に『稼ぐ妻・育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館新書)、『ジェンダーで見るヒットドラマ』(光文社新書)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」』(汐文社)などがある。

「2023年 『いいね! ボタンを押す前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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