会計の世界史 イタリア、イギリス、アメリカ――500年の物語

著者 :
  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532322038

作品紹介・あらすじ

歴史を知れば、会計は面白くなる。
数字ではなく、「物語」で読む新テキスト!

会計は面白くないし、決算書は難しい。
著者の田中靖浩氏は、そんな「偏見」と戦い続けてきた。
ビジネススクール、企業研修、専門学校、勉強会──
長年にわたってビジネスパーソンに教え続けてきた田中氏は、
聞き手を引きつける2つの「黄金則」を見つけた。

1つは、旬な会社の事例を用いること。
そしてもう1つは、話の中に「歴史軸」を取り入れること。
「減価償却の誕生秘話」「株主と投資家はどうちがうのか」「予算の始まり」……
こうして歴史と物語の軸を入れると、背景やつながりへの理解が深まり、
一気に引き込まれるという。

会計700年の歴史を紐解きつつ、会計の全体像を解説する新しいテキストが本書だ。

物語は3部構成で、時系列で進んでいく。
第1部は14世紀イタリアから18世紀オランダへ、簿記と会社の誕生をめぐる物語。
第2部は産業革命時代のイギリスからアメリカへ、財務会計をめぐる物語。
第3部は20世紀アメリカからグローバルへ、管理会計とファイナンスをめぐる物語を展開する。
単にBS、PLに強くなるだけではなく、実際に「会計を使う」ための視点を得られるのがポイントだ。

会計の歴史を解説したものは、基本的に「会計史」の本しかなく、
それが実際の企業活動とどう結びついてきたかを説明したものはこれまでない。

著者ならではの「楽しい」語り口を生かしながら、
新しい会計テキストのスタンダードを目指す。

感想・レビュー・書評

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  • 世界史、音楽、アート、会計。以上4つの要素に興味関心がある人にとってはたまらなく面白い本だと思う。個人的にはエンタメ的な面白さにおいては歴代の会計関連本の中でもNo.1だ。

    大筋は会計の歴史を複式簿記からファイナンス理論まで、15世紀のイタリアから現代まで、時代の流れに沿って紐解いていく。それだけであればいくつか類書が思い当たるが、この本の素晴らしいところは科学技術、アート、音楽のトリビアを織り交ぜ、その時代の空気感をリアルに感じながら会計の歴史を学べるところだ。

    ともすれば数字と専門用語ばかりで無味乾燥な印象を持たれがちな会計の世界だが、実はそれぞれの時代のニーズを取り込みながら現代まで進歩してきたことはあまり世の中に知られていない。

    その歩みをこれほど臨場感を持って描き切った著者と関係者の皆様の労力と情熱には感動さえ覚える。なにしろダビンチから始まり、ビートルズとマイケルジャクソンで終わるなんて会計本が未だかつてあっただろうか。

    あまりに面白くて、はたしてこれは脚色なしの本当の話なんだろうか、と思いながら最終ページを読み終えたが、そんな野暮な疑問は巻末の6ページに渡る参考文献の山によって粉々に打ち砕かれてしまった。

    これから簿記会計の勉強を始めるにあたって面白さがわからずに苦労している人に是非読んでもらいたい一冊だ。もちろん長く会計にまつわるキャリアを重ねてきた人にとっても、きっと何かしら新しい発見があるだろう。


  • この本は、絵画や音楽等の時代背景とその当時の会計システムについて、わかりやすく書かれた本です。
    ストーリーがあり、会計の知識がない私でも、とても面白く読めました!
    ぜひぜひ読んでみて下さい!

  • 簿記二級の勉強中、モチベーションが上がらず気分を変えてみようと読了。いやぁ、面白かったです。世界史好き、アート好き、音楽好きには特におすすめ。

    私は大学で経営学を勉強しているんですが、経営学の基礎科目に「経営学序説」と「会計学」の二つがあるんですね。
    実は私、恥ずかしながら、この本を読むまで経営学と会計学の関係がいまいちよく分からなかったんです。この本を読んで会計がどれほど経営に重要だったか理解できたし、経営学への理解が深まりました。エンタテイメント性もあって読みやすく、簿記を勉強するモチベーションも上がりました。簿記二級、頑張ろう。
    最近難化してるから、次こそ受かるといいな。

  • 会計の歴史が物語で書かれていて面白かった。
    第一部の簿記の誕生は少し古すぎて無理矢理こじつけて物語にしてる感があったが、第二部、第三部は今の会計にも通ずるところがありとても面白かった。
    特に会計の役割が、自分たちのためから株主、投資家のために遷移していったが今もう一度自分の会社のための会計として管理会計が進化していってるという流れが面白かった。
    会計は会社の資産、負債、価値を適正に数字で表すことが目的であるが、人的資産など数字で表すことのできないものもある。
    完璧な会計などは存在しないのでこの先も会計は時代に応じて進化していくのではないかと思った。

  • 会計というものが全くわかっていなかったけれど、この本を読むことで価値を数値化することの苦労や会計の役割が少しは腑に落ちた気がした。
    これは経済ではない。独立して大学で学ぶべきものだなあと思う。会社の会計にコンサルがつくのも納得。難しいもの。

    会社や情報の価値をいかに会社のキャッシュフローに乗せて、ディスクロージャーするか。ちょっと長いが、物語とセットになっていて想像しやすい設計になっているのがいい。現代の企業に勤める人はみんな読んだ方がいいと思った。

  • 最高に面白い!!

    会計をやったことがある人なら100%、そうでない人でも音楽か絵画のどちらかが好きだったら95%以上確実に楽しめる、素晴らしい本だった。

    こういう本に偶然邂逅することができるのが、読書の醍醐味だ。(なんでこの本を読むことになったのか、記憶が曖昧だけど、図書館の貸出回数ランキングを見て、タイトルが琴線に触れたからだったか。。)

    アメリカの〇〇王を始めとしてユダヤ人登場率が非常に高いのはさすが。

    高名なデュポン公式(ROE=利益/売上 X 売上/資本)が100年以上前のものだとは知らなんだ。

  • 新年あけましておめでとうございます(今更)ことしもどうぞよろしくお願いします。
    そして、今年もたくさんの本を読んでいきたいと思ってます。

    *    *    *    *

    今、政治の世界では緊縮財政派と積極財政派の2局に別れていて、水面下での戦いが起こっていますね。前者は国を家計にたとえ、借金が増えるからだめだといい、後者は国を会社にたとえ、資産とのバランスで見ることの重要性を説きます。会計学の知識は後者が正しいことを示していますが、会計学という学問を教養として学ぶ機会は少ないです。本書は公認会計士である著者がセミナーで話した「歴史の小ネタ」の評判が良かったことから、会計学の歴史を、一つの本にまとめた本です。有名な絵画や音楽の発展を通じて各時代の歴史的な背景が語られ、そのときの経済状況を説明する、という流れで進行し、面白く読めるように工夫されています。
    本書を読むと、銀行のはじまりであるイタリアから出発して、ビジネスの形態に応じて、いわば、「そうする必要性にかられて」会計のやり方がアップデートされてきたことが伺えます。
    ある企業がうまくいっているかどうかは企業の財務状況を把握しなければ判断できず、それゆえ、財務状況の公開という流れが生まれました。国もそういう意味では粉飾なく広く公開、周知する必要があるかと思いますが、なかなか一筋縄では行かないみたいです。
    最後に、著者は、「のれん」の重要性について説きます。企業価値は単純に健全性のみでは語れない部分もあり、どのように次世代に「価値」がのこせるか?と問いかけています。
    わたしが考えるところ、その価値は多様な考え方の中から生まれてくるものかと思います。つまり、自由な発想を生み出せる土壌、またこれを制限しないような仕組みが大事かと思います。

  • 久々に手に取った会計本。
    会計って苦手意識のある人が多いと思いますが、
    会計の歴史のを通じて、会計を学びましょうという、
    歴史好きにはたまらないコンテンツ(本の企画)。

    自分は世界史にはとても疎いのですが、
    著者がちょうどいい具合いに分かりやすく書いてくれているので、
    世界史初心者でも十分楽しんで読み進めることができます。

    というより、タイトル「会計の世界史」とあったように、
    どちらかというと会計の本じゃなくて、(会計にまつわる)世界史の本。
    ですので、会計に関係のないストーリーもたくさん出てきますし、
    特に著者はアートや音楽が好きだったのではなないかと思うくらい、
    世界史(歴史)にアートや音楽が絡んできます。
    (著者曰く、若干の歴史的な正確性には欠いているそうです。
    つまり、エンターテインメント重視。)

    全く会計を知らない人でも理解はできると思いますが、
    やっぱり基礎は押さえた上で、この本を読むとより楽しめて読めるのではないかと思います。

    著者によるあとがきの世界史と会計は、
    教える側がつまらないと全然頭に入ってこないという意見に爆笑してしまいました。
    全くその通り!

  • 簿記を学ぶ前にその歴史を学ぼうと思って手に取ってみたが、案外深くてびっくりした。あまり会計のことを知らないが、読んでて凄く面白かった。

    以下雑な要約
    銀行が15世期イタリアで生まれそこで簿記が発達し、17世期オランダで株式会社が生まれたのは驚きだった。19世期イギリスでは産業革命とともに鉄道会社が生まれ、それに伴って減価償却・利益計算が生まれた。この時期から、会計は「自分のため」ではなく「他人のため」に行われるようになる。そして20世紀アメリカでは欧州からの移民による会社の立ち上げが進む中、会計士による監査が行われるようになり、デロイトやPWCなど世界的な監査法人が出来上がる。アメリカの鉄道会社を起点に経営分析ブームや証券取引所、クリーンな会計制度も生まれた。そこから会計基準の国際化やバランスシート・損益計算書・キャッシュフロー計算書の3本立てで決算書が構成されるようになり、現代に至る。

  • 簿記を勉強する前に、なぜ会計を学ぶのか、身に付けるのか、どういう経緯で生まれてきたか知りたくて読んだ。見事にその疑問に答えてくれる本だったし、あっと驚く世界史の事実がたくさんあって読むのが楽しかった。

    簿記、財務会計、管理会計、ファイナンス。この辺勉強する人にはおすすめすぎる。

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著者プロフィール

1963年、三重県生まれ。作家、公認会計士。田中靖浩公認会計士事務所所長。早稲田大学卒業後、外資系コンサルティング会社などを経て現職。中小企業向け経営コンサルティング、経営・会計セミナー講師、執筆、連載を行う。著書に『会計の世界史』(日本経済新聞出版社)、共著に『お金にふりまわされず生きようぜ!レストランたてなおし大作戦』(岩崎書店)など多数。

「2022年 『会計と経営の七〇〇年史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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