OPTION B: 逆境、レジリエンス、そして喜び
- 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2017年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532321598
作品紹介・あらすじ
すべては、著者シェリル・サンドバーグが
休暇先で最愛の夫を亡くした瞬間から始まった――
生きていればだれだって苦難に遭遇する。
そういうとき、考えるべきは「次にどうするか」である。
完璧な人生なんてあり得ない。
だからみんな、なんらかのかたちの「オプションB」を選ばざるを得ない。
この本は、だれもがオプションBをとことん使い倒せるようにするための本である。
――「はじめに」より
「オプションB」とは、「次善の選択肢」のことだ。
だれであれ、「バラ色」だけの人生はあり得ない。
「最良の選択肢(オプションA)」ではなく、オプションBを選ばざるを得なくなったとき
その逆境からどう回復すればよいのか。
夫を失ったシェリルに、友人で著名心理学者のアダム・グラントが教えてくれたのは、
人生を打ち砕く経験から回復するための、具体的なステップがあるということだった。
回復する力(レジリエンス)の量は、あらかじめ決まっているのではない。
レジリエンスは、自分で鍛えることができるのだ。
人生の喪失や困難への向き合い方、逆境の乗り越え方を、
世界的ベストセラー『LEAN IN』著者と『GIVE & TAKE』著者が説く。
感想・レビュー・書評
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うーん、イマイチ。内容は悪くないんだけど、ダラダラと書き綴っているだけなので、読む気がうせてくる。これはページのデザイン的な問題で、太字などの強調箇所もなく、文字が詰まりすぎているのが一因かもしれない。また、あくまでも著者が個人的に体験したことや、著者の周りの人間に聞いた話を、実際の出来事を交えながら紹介しているだけなので、いまいちエビデンスや説得力に欠ける。なによりも、私自身が著者のような途方もない喪失感に直面した経験がなく、自分ごととして読めないことが原因かもしれない。
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つぐみさん推薦
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最愛の夫をなくしたシェリルサンドバーグ自身の体験をベースにその周りの人、世界で困難な状況にある人たちの話を織り交ぜながら苦難な状況に対するレジリエンスの育み方を紹介している。
失意のどん底ともいえる状況から新たな「普通」の状態にたどり着くまでの姿が10章をかけて描かれている。
彼女ほどの辛い経験はしたことがないけれども、自分の中で辛かった経験から前半の半分にはかなり共感した。一方後半に関しては子どものレジリエンスについての章があることを抜きにしてもなかなかその考え方にはならないなと思う部分もあって、まだ自分は「普通」にたどり着けていないのかもしれないと思った。 -
折れた後の「次の手」
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「オプションAはもう無理なんだ。ならば、オプションBをとことん使い倒そうじゃないか」
完璧な人生なんてありえない。だからみんな、なんらかたちの「オプションB」を選ばざるを得ない
騒音実験が教えてくれるように、「ボタン」は問題を解決しなくても、そこにあるだけでプレッシャーを和らげることができる -
夫を亡くして、あまりにも辛くて、なにかないかと思って検索したらこの本があったので読んだ。
書いてある通りの心境で、「こうするといい」とかの方法論の前に、「同じ心境の人がいる」ことに安心感を覚えて心が癒された。
まだ亡くして1ヶ月なのでまだまだ次のステップとはいきそうにないけど、何かを楽しむことへの罪悪感は少なくなったと思う。
先日夫が生前お世話になった方々へ挨拶周りをしたのだけど、「彼は内緒で○○してたっていつも言ってた」「お小遣いが少ないって愚痴をこぼしてた」「最近ダイエットしてたの、あれが悪かったんじゃない?」と言われ、最悪だった。恐らく彼との思い出として言ってるんだろうけど、私への悪意のように思えてしまって、散々泣いてようやく挨拶に回ったのにまた寝込むハメになった。
落ち込んでいる人に対してなにをしたらダメなのかが分からない人は読んだ方がいいと思う。 -
1ページごとに涙…「リーンイン」を執筆し、女性のリーダーシップやワーキングマザーの印象が強い著者ですが、本著は、”最愛の夫の死”という経験と向き合った「逆境の乗り越え方」=レジリエンスに関する本。心理学者との共著で、様々な研究とともに、彼女のひたすらにプライベートな半径1メートルの世界、そして挫折や困難を実際に跳ね返した人たちの多くのエピソードで構成。圧倒的な自己開示力、親近感、エピソードを語る力量がすごすぎ。ブログはhttps://hana-87.jp/2019/04/11/options/
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「配偶者の死」は、人生最大のストレスと言われている。その悲劇を経験した著者と彼女をサポートした心理学者による一冊。強くしなやかな心を作るための実感のこもったアドバイスだけでなく、困難に遭った人を支えるためのヒントが詰まっている。
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過去のトラウマから抜け出せない人、もしくはこれから起こるであろう心の傷の対処の仕方を学びたい人には必読書です。
そうでない人も、読めば一瞬でも優しくなれる本です。
またこの本を、経済的に恵まれた家族のある喪失物語として読んではいけません。
どんなにリッチであろうが、心の傷は万人に平等だからです。
もちろん、周りの環境や交友関係の違いから、彼女の体験が万人向けではないことは確かですが、それを考慮してもなお、他人には隠しておきたいようなプライベートな話をせざるを得ないにもかかわらずこうした本を書いた彼女の勇気と頭の良さに敬意を表します。
そして今もなお、こうした悲しみに打ちひしがれている人たちのために社会活動を継続していることも含めて。
本書で印象的なエピソードがありました。
夫が亡くなって1年後、彼女の会社で大手クライアントを招いた夕食会の主催者としてふるまわなければならないのに、その前に参加した息子の音楽会で感じた寂寥感(自分の息子には父親がいない)が抜けず、涙が止まらなかったとき、息子が彼女に言った言葉。
「そのまま行けばいいよ。泣いたっていいじゃない。僕らに何が起こったかみんな知っているんだから。ママ、みんなにも多分泣きたいことがあるはずだよ。だからそのままでいいんだよ」(P178)
そう、何の慰めにもならないかもしれないけど、不幸を背負っているのは自分だけじゃないという現実に気づくだけでも自分だけが悲劇のヒロインだと思っていた心が軽くなるはずです。
もう1点、我々も参考にできるルーティンがありました。
夕食のテーブルで、その日のベストとワーストの瞬間をひとりづつ順に発表するという儀式です。(P35)
その後、「感謝できること」も付け加えたようですが、家族が今何を思っているのか、何を悩んでいるのか、どういうことに興味があるのかなど把握できるチャンスですが、忙しければ週1でもやることに意義がありそうです。
転ばぬ先の杖、家族のことをいつも気にかけていることを知らせることで、一人で問題を抱え込まず疎外感から解放される、それは子供の為だけの問題ではなく、夕食会のエピソードのような親が子供から勇気をもらえることだって可能です。
読む人によって、こうした様々な気づきが発見できる良書です。 -
OptionBとは、大切な人の喪失により選べなくなった人生の代わりに選択できる別の素晴らしい人生。オープンでコミュニケーション力の高い極めて聡明な人が当事者として語っている内容になるほどと思うことが多い。グリーフケアの一つのあり方を学ぶことができる。
[more]<blockquote>P44 誰かがギプス姿で現れたらみんな目を丸くして「どうしたの?」と質問攻めにするだろう。足首がくだけたら何が起こったのか根掘り葉掘り聞かれるだろう。でも人生が打ち砕かれたら何も聞かれない。
【中略】気にかけていなかったのではない。つらいことを思い出させて落ち込ませたくなかったのだ。デーブを失った今、それがどんなに小賢しい考えだったかがわかる。(その人に病気のことを)「思い出させる」なんてことができるはずがない。だってそのことは一瞬たりとも彼の頭を離れないのだから。
P47 オープナー(相手の心を開き自己開示を引き出しやすい人)「尋ねない友人」とちがって、オープナーはたくさん質問をし、評価や判断を加えることなく、返答にただ耳を傾ける。
P64 騒音を止めたからストレスが減ったのではない。騒音を止められるという意識が違いをもたらしたのだ。参加者はボタンを与えられたことで「自分で状況をコントロールできる」という意識を持ち、その結果としてストレスに耐える力が強まったのである。
P71 問題そのものを解決しようとせず、問題が引き起こしたダメージに対処するからだ。「人生には解決できない問題もあります。そういう問題は抱えて生きていくしかないのです」手を握るなどのちょっとしたことでも、助けになる。
P81 自己への思いやりはとても大切な割に話題に上ることが少ない。自分を思いやることをによって、自己批判や恥の意識から解放され、気遣いと理解を持って自分の過ちに向き合えるのだという。
P83 自分の人格ではなく言動を責めるよう心がけると、「恥」ではなく「罪」の意識を持てるようになる。【中略】恥の意識を持つと自分はちっぽけて取るにたらない存在と感じ、怒りに任せて人を攻撃したり自己憐憫に溺れて自分の世界にひきこもったりする。
P94 感謝できることを数えても自信ややる気は高まらないが、「役に立てたこと」を数えることには効果がある。なぜなら感謝は受身だからだそうだ。
P95 いざ言われる立場になってみると、思いやりの言葉は却って自信を失わせることがわかった。一番心強かったのは、「そうかい?あの会議で君はなかなかいいことを言ったじゃない」といった声かけである。
P186 「誰も所属したがらないクラブ」は信じがたいほど結束が固い。
P244 充実した人生を送るために必要な愛情は、他人から与えられるだけでなく、自分の内面からも湧き出なくてはならない。</blockquote>