- Amazon.co.jp ・本 (557ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532321369
作品紹介・あらすじ
日経記者による本格ノンフィクション!
孫正義と「同志たち」による、熱き冒険譚
巨額買収。後継者との別れ。規制への挑戦。裏切り、内部分裂……
新聞では書ききれなかった「真実」がここにある!!
この男は奥が深い。
とても、深い。だから、面白い。
それだけでなく、孫に導かれるように集まった
名も知れぬ強者たちとのストーリーがまた、面白い。
これまでに光を当てられ続けてきた孫の物語は、
彼らの存在抜きには語れない。
──「はじめに」より
◎本書の主な内容
-孫正義がジョブズに見せた「あるスケッチ」。カリスマ2人が確かめ合ったモバイルの未来
-2016年12月6日。ドナルド・トランプとの電撃会談を仕組んだ人物とは
-持ち時間は10分。サウジアラビアの副皇太子から450億円を引き出した驚異の会談の中身
-3兆円を超すアームの巨額買収。その裏にある10年越しの「戦略」とは
-「そもそもニケシュのことで良い話なんか聞きますか?」──「別れ」の前からあった後継者との亀裂
-「売上高が数千億円規模になりました」「それって1日あたりの話かい?」──ジャック・マーの答えに絶句
-「300年続く企業を作るための条件はなんだと思う?」──たったひと言の入社試験
-「私は『いずれあなたがたも理解する時がくるでしょう。300年以内には』と腹の中で思っております」
-「家もクルマも洋服もいらない。ただただ命だけが欲しい」──大病に苦しむ孫正義を襲う、さらなる危機
-因縁の相手による陰謀と裏切り。「何が何でも、この造反者たちを一掃してやる」
-「人間なら誰でもかまわん」──ブロードバンド参戦、あまりの人手不足でかき集められた者たちの奮闘
-「僕はここでガソリンをかぶって死にます」──総務省への激烈な抗議、巨艦NTTは動くか
-ヤフーBBを広めるパラソル部隊、ずぶの素人集団を束ねた男の「やり方」
-「この中に470万分の情報が入っています」──盗まれた顧客情報、殺到する苦情の嵐
-「これは最後のチャンスです」──M&Aに反対してきたご意見番・柳井正が、携帯参入への背中を押した
-衝撃のアンケート結果。「携帯顧客の3分の1がソフトバンクから流出」
-実質ゼロ円・2年縛りの携帯販売モデル、ヒントは米フォードにあり
-「ヤフーはもったいない」──元社員が繰り広げた名指しの体制批判。「爆速」改革はここから始まった
-幻の上場廃止計画。その知られざる背景
-101歳の「ロケット・ササキ」が語る、孫正義との深い縁
-カリスマに引き寄せられた「ストリートファイター」たち。
感想・レビュー・書評
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【感想】
本書は、はじめの方に書いてあった通り、「孫とその同志たちの波乱万丈の物語」の一文に尽きる。
今でこそ日本有数の大企業であるSOFTBANKが、どのようにして成長・拡大してきたのか?
たった1つ挙げるとすれば、それは孫正義の1番根幹のビジョンがブレていないことだろう。
トヨタが挑んだのが工業化社会の頂点なら、孫が挑むのは「人類史上最大のパラダイムシフト」というシンギュラリティー時代の頂点。
この「人類史上最大のパラダイムシフトを起こす」という根幹が揺ぎ無いからこそ、タフネスに仕事をし続けれるのだなと思った。
(勿論、この男のスペックやバイタリティもさることながら常人とはケタはずれにあるわけで、単純にそこだけを模倣しても孫正義には到底及ばないが・・・・)
正直なところ、よくも悪くも「SOFTBANKも社史」といった本だったので、何か為になったという本ではなかったかな。
途中からは娯楽として、また、経済小説のような感覚で読んでいた気がする。
自分も計画を立てないといけないなぁ。
【内容まとめ】
0.孫が19歳で描いた人生50カ年計画
20代で名乗りを挙げる。
30代で軍資金を貯める。
40代でひと勝負かける。
50代で事業を完成させる。
60代で次の世代に事業継承する。
1.IoT
Internet of Things「あらゆるモノがネットとつながること」
2.「ヤフオクはどんなことをやられたら崩壊するんだ?」
「ヤフオクが負けるシナリオですか?」
「それを考えろ。そして相手より先にそれをやれ。
これをやられたらヤバイ、というアイデアを徹底的に洗い出せ。
一つじゃなく、思いつく限り徹底にだ。
そして、先手を打て!」
3.同志的結合
孫はよく「同志的結合は金銭的結合より強い」と語る。
なぜみんな俺のもとを去っていくんだ?
同志的結合。それは、志を共にするということだ。
志を十分に共有出来なかったということ。
去られた方も十分な魅力や引力を持っていなかったということ。
反省を踏まえて、志を研ぎ澄ませて純粋なものにして、それに共有できる人たちを集めないといけない。
4.リーダーとして志をともにする仲間をどう引き付けるか。
孫は本田宗一郎とのやり取りを今でも鮮明に覚えている。
「もう、目をらんらんと輝かせて、本当に真剣に聞いてくれるんだよ。そして次々と本質的な質問が飛んでくるんだ。」
孫はその時の感動をこう表現する。
「あ、ホンダが伸びた理由はこれだ。あの人の飽くなき興味や探究心や、感動する心なんだよ。
だって、あんな姿を見せられたら誰だって『このオヤジを喜ばせたい』って思うじゃない。あの情念がホンダのエンジニア連中を熱くさせたんだよ。」
【引用】
孫正義 300年王国への野望
p5
孫正義とは、いったい何者なのか?
一代で売上高が10兆円に迫る巨大企業を築いた孫正義とは、果たしてどんな経営者なのか。
そして今、何を目指そうとしているのか。
孫とその同志たちの波乱万丈の物語を描きたい。
p32
・IoT
Internet of Things「あらゆるモノがネットとつながること」
スマホで天下を取ったアームは、来るべきIoTの時代でも半導体を支配するための戦略を練り始めていた。
孫正義はそこに目をつけ買収し、アームが築いた独特のビジネスモデルをそのままの形で伸ばそうとしているらしい。
p38
・Yahooで一番うまくいっている事業「ヤフオク」について
「ヤフオクはどんなことをやられたら崩壊するんだ?」
「えっ、ヤフオクが負けるシナリオですか?」
「そうだ。それを考えろ。そして相手より先にそれをやれ。これをやられたらヤバイ、というアイデアを徹底的に洗い出せ。一つじゃなく、思いつく限り徹底にだ。そして、先手を打て!」
p84
・300年続く企業を作るための条件は何だと思う?
これは間違いなく孫の「入社試験」だ。
だが、何故300年なのか?
全く想定外の質問に、しばらく考え込んだ三木は一言だけ答えた。
「それは、多様性です。」
全く異なる事業を手がける企業群が、時代の変遷に合わせて中核事業を入れ替えながら生き残っていく。
その多様性こそが、企業生態系のキーワードになると三木は考えていた。
p112
・理解されない戦略
最も孫が乗ってきたのは他でもなく、「群戦略」について聞いた時だった。
孫が言うには、300年も続くテクノロジーは存在しない。
だから一つのテクノロジーに依存する組織は永続しない。
問題は、次に世界を変えるテクノロジーをどう見つけるかだ。
そのための仕組が、投資を通じた群戦略というわけだ。
p222
・同志的結合
孫はよく「同志的結合は金銭的結合より強い」と語る。
派閥抗争が誰の目にも明らかになっていた大森時代、そして西が行なったソフトウイング事件で経験した「裏切り」。
なぜみんな俺のもとを去っていくんだ?
同志的結合。それは、志を共にするということだ。
「志を十分に共有出来ないったということです。去られた方も十分な魅力や引力を持っていなかったということだと思うんです。反省ですよ、その反省を踏まえて志を研ぎ澄ませて純粋なものにして共有できる人たちを集めないといけない。それが、僕が学んだことだな」
p234
・転んでもタダで起きないのがこの男だ。
p235
ヤフー。
アイルランドの作家、ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」に出てくる謎の民族の名で、汚く毛深い野蛮な種族として描かれている。
他の民族からすると価値の分からない輝く石を巡ってケンカばかりしている。
無益な争いをやめることがない人間の暗黒面を風刺したものだ。
そんな、アウトサイダーの名を名乗るベンチャー企業だった。
p526
孫は本田宗一郎とのやり取りを今でも鮮明に覚えている。
「もう、目をらんらんと輝かせて、本当に真剣に聞いてくれるんだよ。そして次々と本質的な質問が飛んでくるんだ。」
孫はその時の感動をこう表現する。
「その時に思ったんだよ。あ、ホンダが伸びた理由はこれだなって。それは、あの人の飽くなき興味や探究心や、感動する心なんだよ。だって、あんな姿を見せられたら誰だって『このオヤジを喜ばせたい』って思うじゃない。あの情念がホンダのエンジニア連中を熱くさせたんだよ。」
リーダーとして志をともにする仲間をどう引き付けるか。
「賢いだけでは人は動かせない」という将としての心構えは、本田宗一郎との邂逅からも学んでいたのだ。
p537
・孫が19歳で描いた人生50カ年計画
トヨタが挑んだのが工業化社会の頂点なら、孫が挑むのは「人類史上最大のパラダイムシフト」というシンギュラリティー時代の頂点だ。
20代で名乗りを挙げる。
30代で軍資金を貯める。
40代でひと勝負かける。
50代で事業を完成させる。
60代で次の世代に事業継承する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日経記者が孫正義についてまとめた。特に孫正義を支えた周りの人にも明かりを当てたことがこの本の特長でもある。
にこれまでに孫正義の伝記に類する書籍は数多く、本書の中のエピソードもすでに公になっているものも多い。
『孫正義の焦燥』(大西孝弘)、『あんぽん 孫正義伝』(佐野眞一)、『志高く 孫正義正伝』(井上篤夫)、『幻想曲 孫正義とソフトバンクの過去・今・未来』(児玉博)などである。
確かにそれらの本よりも参謀の存在に力点が置かれているようにも思う。青野氏、立石氏、宮川氏、藤原氏、宮内氏、榛葉氏、今井氏、後藤氏、藤原氏、といった面々の役割や引き込まれていった経緯などは詳しく書かれているところも多い。それでも孫さんの存在感が強く、霞んでしまうようなところもやはりある。逆に相当に大変だったのだろうなというのと、著者も言われるようにそれがソフトバンクの強みになっているというのも分かる。
「目の前の2~3年の小銭を稼ぐようなことに僕は興味がないんだ。10年後のや20年後に花を咲かせるものを、タネの段階で嗅ぎ分ける能力と、それに対してリスクを取りにいく覚悟が、僕は人より強いのだと思う」- 後の方の「覚悟」がより大事であるように思う。
「群戦略」というのが将来どういう形になるのだろう。 -
心震わせながら一気に読み上げました。男のロマンやねぇ。
-
孫正義は人物が面白い
現在進行系で好き、嫌いや経営評価が分かれる経営者も稀だろう。
評伝をかかせたら存命の中ではナンバーワンだろう。
従って時系列で書くだけでも形になるし、筆力がなくてもある程度形になる。
当然孫正義賛辞の書籍も多くなる。
本書は「同士的結合」を元にした孫正義を基軸にした群像劇
ということが一番の特徴である。
意志、決定は孫正義が行うが、実行、形にするのはストリートファイターと呼ばれる
幹部、社員である。
意思決定がむちゃぶりと思われる形で降りてきて、それを実行する姿は心を打つ。
ビジネス上の関係で20年ほど前、孫正義関係の評伝は一通り読んだがアップデートも多かった。
アスキーの総裁天才 西和彦と神童 孫正義の軋轢は一昔前の主要トピックであったが、それさえも些末な事象として扱われる。孫正義の物語は高速の勢いで膨張している証拠であろう。
祖業のソフトウェア流通のソフトウィング問題が比較的大きく扱っているのが個人的には興味を引いた。
あまり西和彦側からの評伝が出てこないが、アスキー、マイクロソフト、ソフトバンクの関係性はIT業界で大きなキーファクターなのでどこかで見てみたい気がする。
いずれにしても、500ページ超でもまだ人物像の一面しか捉えられていない。WeWorkのIPO評価損、法人税未納の問題などネガティブな話題も出てきている。
10年後、20年後、この評伝の続きがどうなるか楽しみでもある。
個人的に興味を引いたのは以下の点。
・ペッパーに笑いの要素を入れるためかつてルパードマードックと買収を仕掛けたテレビ朝日のプロデューサを引き込む。
・プラットフォームを独占する。安価で独占し、独占した後は徐々に価格を引き上げる。
・携帯2年縛り割賦のアイデアはマツダーフォード藤原和彦のアイデア
・リーマンショック時に自社株買いをして上場廃止も考えた -
素晴らしい一冊。
自分のビジョンや夢に向かって尋常ではない熱量で動いている人。とてもカッコいい!
大学時代の物理的な勉強量では誰にも負けないというエピソード、などなど孫さんや坂本龍馬などに共通することは、寝る時間もないくらいに圧倒的な量をこなしていること。 -
孫さんという人をベンチャー投資の成功者と捉える一方で、節操なしだという印象を今までずっと抱いていた。
よく知りもせず孫さんのことを悪く思っていた自分が恥ずかしい。
決して成功続きではなく、多くの失敗があっての今なんだということがよく分かった。
特にブロードバンド参入の時のエピソードは日本のIT環境を本当に良いものにしようと尽力していたことが伺えた。それだけに今のソフトバンクの料金体系は些か残念に思う。
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ニワトリ小屋といわれる泊まり込みの部屋があるらしい‥。その住人には絶対なりたくない!
300年続くことの何がいいのかが、いまいち理解しきれなかった‥。300年価値を生み出し続ける仕組みを作るってことかな?でも別に、個々の企業が栄枯盛衰すればよくって、特定の企業グループにまとめなくてもいいような気がするんだけど‥ -
日経新聞の記者である著者が稀代の経営者であるソフトバンクの孫正義氏の企業家としての足跡と氏の野望について何年にも渡る取材を通して書いた渾身の一冊。
在日韓国人として生まれ、反骨心から企業家を夢見てアメリカへ渡り、そこから電子翻訳機を開発し、コンピューター、ネット、通信と様々な事業を行いその都度時代の先端を走り続ける同社にて類稀なる手腕を奮ってきた氏の足跡を辿ることができて大変勉強になり、刺激も受けました。
危機や転換点を迎える度に手を差し伸べてくれる存在がいたことや氏に仕えて共に闘った人の存在も本書で知ることができました。
また、ビルゲイツ氏やスティーブ・ジョブズ氏といった海外の著名人から柳井正氏や稲盛和夫氏といった国内の経営者などとのエピソードも興味深いものでした。
ロボットへの想いからニケシュアローラとの真実や稲盛氏との対立など紆余曲折を経ながら現在に至ることを強く感じました。
その中でも東日本大震災時に社長を退任する覚悟を決めていたことは驚きであり、それを柳井氏や他の方が必死に止めたエピソードは強く印象に残りました。
300年先まで見据えるその目には常人には見えない風景が広がっていることや尽きない野望がますます社会を変革させていくであろうとも感じました。
孫氏が今後どのようにして自身の功績を次代に継承していくのか、そして同社がどのような未来を描いていくのか読後楽しみになる一冊でした。 -
ソフトバンクの孫正義の会社を興して以降の自伝。
557ページと分厚いが、ぐいぐい読める。
まるで漫画を読んでいるような感覚。
行動力、判断力が規格外で、ほとんどサラリーマン金太郎とか読んでる気分。
特に、企業するころ(アメリカから帰ってきて企業)が、わくわくする。
企業したての頃は、資本もないし、色々な協力者を見つけ、補助してもらう(孫さんのオヤジ殺しスキル)が大きくものをいう。
それは会社としての志。ビジョンがいかにしっかり、熱意をもっているか。が重要なのだろう。
大きなビジョンを共に目指すための連携である「同志的結合」が重要というのは、こんな動き方をする孫さんがいうからこそ説得力があるんですね。 -
300年続く企業を作り出すのに、様々なジャンルから参考になる研究・アイデアからヒントを得ている。これは多様性こそ、継続として生き残る武器である。
これは読書にもいえて、自分の殻や固定観念から抜け出すためには多様な書籍を読む習慣が必要。変化に対応でき、先を見越せる人間が生き残る。
ビジョンと目標にたどり着くまでとことん考える姿勢は自分には欠けているものだと実感する本となった。