企業価値向上論講義「社長の器」

制作 : 佐山 展生 
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532314217

作品紹介・あらすじ

「危機こそ最大のチャンス!」カリスマ経営者たちのリーダーシップとその根源にある人間力-。一橋大学大学院国際企業戦略研究科の人気講座を待望の単行本化。

感想・レビュー・書評

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  • まさにそのタイトルに惹かれ、思うところがあり手に取った本。同じ社長・経営に関する話ではありつつも、その視点は財務、ブランド、胆力などさまざまであり面白い

    メモ
    ・ブランドはストーリー、フィロソフィー、ヒストリー
    ・現場現実を理解することの重要性
    ・問題をテーブルの上に載せることの重要性
    ・企業文化の重要性。どう明確にして定着化させていくか

  • 佐山さんが、投資系コンサルタントの立場から数々の経営者の取り組みを評価していて、切り口が他の人間論的な書籍と比べてシャープで、経営者を見る目が変わる。

    取り上げる事象も秀逸で、たとえば吉野家を再建した安部社長の例では、国道16号線から外に出店しないと決めたら、たとえ10メートルはみ出てある優良物件があっても、例外をつくれば一気に再建の手綱が緩む、といった事例から経営者の器を見立てていて、興味深い。(佐々木)

  • ビジネススクールでの講義をまとめたものだが人選も秀逸だし内容もよくまとまっている。ちょっと尖った人が多いのが印象的ではあるものの、彼らの軌跡のエッセンスを学ぶ本としては非常に面白いし、佐山氏がファシリテーターとしてうまく持ち味を引き出している印象。中にはいろんな意味でちょっと物足りない人もいるけれど、まぁそれはそれとして読み応えのある一冊と言えます。

  • 一橋大学大学院MBAコース、講師は冨山和彦氏、永守重信氏ほか事業再生、M&Aでは名だたる方ばかり。

    どの講座も濃い、が中でも冨山氏のコーポレートガバナンス論に惹かれた。

    日本企業のもつ同質性は、強みであると同時に、非効率な事業から撤退するなどの合理的判断に欠く弱みともなる。

    一方、企業価値の源泉となる技術や知識を持つのは、その会社に長くコミットしてきた人たちであり、意思や感情を持った人間だ。

    株主主権による合理性だけでは人はガバナンス出来ず、かと言って日本型経営に浸っていては遅れていくばかり。

    これを合理と情理の相克と捉えるなら、自分が日頃携わっているロワーマネジメントでも頻発する問題。

    だが、この矛盾点に決定的な解消策はない。

  • "社長の「器」で会社は決まる、素晴らしい社長のもとには、素晴らしい人材が集まり、その素晴らしい人材が素晴らしい会社を作る"という考えのもとに、さまざまな経営者の考え方を知ることができ、特に藤巻幸夫氏、澤田貴司氏、富山和彦氏、河原春朗氏、阿部修平氏、永守重信氏、辺見芳弘氏の話は面白い。

  • めっちゃおすすめ!とくに企業再生とか興味ある人々!歴戦のつわもの達の経験から出てくる一言がすごい重くて、20年後、30年後にこうなりたいって思えた。
    少なくと10年以内にはこの中の誰かと何かしらの形で会えるようにはなりたいって思った。
    何度も繰り返して読みたい本です。
    個人的には元産業再生機構の冨山さんがすごく好きです。
    ちなみにあんまり知識なくても読めると思いまーす。

  • 経営者を大学の講義に呼び、そこでの講演内容を取りまとめた本。


    ・経営者が明らかに誤った判断をしているときに、経営者を辞めさせることができる。これが社外取締役の本当の仕事。
    ・指示を受けた人は自分の職位において検討し、自分の言葉に置き換えて部下に次の指示をするというのが業務遂行の正しい姿。
    ・吉野家:各店舗は使用食材全品の棚卸とその集計報告を本部にデータ送信すると、その店の予測売上と品目別の消費高が自動的に算出され、その数値をもとに自動的に発注量が決まるシステムになっている。毎日の食べ残し量を集計している、食べ残し量にはお客様の商品の品質に対する不満度のメッセージが現われていると考えているから。
    ・経営の基本は挫折と判断
    ・経営者の資質は三つのポイントがある
     働くこと、自分のやっていることが好きだということ
     偉くなってほしいと思っている女性が周りにいること
     自分のことをお金で測らない人

  • 1).目次
    第1講 会社にも自分にもプロデュース思考を 藤巻幸夫
    第2講 現場主義で会社を芯から元気にする 澤田貴司
    第3講 経営者には修羅場をくぐった経験と胆力が必要 富山和彦
    第4講 成熟産業はビジネスチャンス 河原義郎
    第5講 日本企業もグローバル資本主義の波に乗れ 阿部修平
    第6講 経営者の資質と責任 米正剛(弁護士)
    第7講 110年間蓄積したナレッジで乗り切った危機 安部修仁
    第8講 経営力は挫折と判断で決まる 永守重信
    第9講 日本とグローバルを融合、ブランド価値の本質を見極める 辺    見芳弘(インベストメントバンカー)
    第10講 イデオロギーではなくテクノロジーが社会を変革する 藤原洋

    2).筆者の主張
    ・社長の器で会社は決まる。素晴らしい会社には素晴らしい人材が集まる。一橋大学で開講している企業価値向上論で読んだ社長の講義録である。

    3).個人的感想
    ・1講
     売れないものには4つのポイントがある。マーチャンダイジング、ストーリー(誰がどのような気持ちで作ったか)、フィロソフィー(商品の存在意義)、ヒストリー(商品の歴史)。後半3つは、ブランドビジネスに欠かせないもの。
    ・日本人は、後半3つを大事にしない。そこで、顧客を大事にする思考を重視し、デザイナーに指示するディレクションが生まれた。
     マーチャンダイジングは、6つの掛け算。色柄、素材、デザイン、機能、用途、価格。

    ・2講
     伊藤忠の後半で学んだのは社内調整のやり方。セブンイレブンとの仕事で、一番フレッシュなものは一番前に出して売るということを学んだ。とくに経営トップが自ら現場主義を徹底している点に。
     その後、ユニクロの柳井氏に感銘を受けて、ユニクロに入社。その際は、店長候補で入社し、伊藤忠時代の給料を1年間だけ保証してもらった。そこで、現場で起こっていることと柳井氏の理想の違いを知った。
     ユニクロで学んだのは、?現場・現実主義、?問題をテーブルに乗せること、また議論するときには、だれが正しいかではなく、何が正しいかを議論する。?企業文化の重要性
     会社は問題を解決することで前に進める場合もあるが、問題を解決すれば必ず成長するわけではなく、チャンスをとらえることが重要である。ユニクロのフリースキャンペーンがその例である。
     コンサルティングは、第三者的に事業にかかわるため日常業務の理解ができないこと、収益の結果責任がないことから限界がある。

    ・3講
     倒産は経済学的にいえば、価格調整を行うことであ、IRCJの本質はそこにある。
     IRCJの経験でいえば、経営の悪化は、経営者が適切なリーダーシップを発揮できなかったことであり、経営者の問題である。カネボウの粉飾決算は、特定の犯人が犯した罪ではなく、共同体を守るためにあうんの呼吸で実行したものである。アグレッシブアカウンティングと粉飾は紙一重である。
     カネボウが繊維部門から撤退できなかったのは、当時のマネジメントが繊維中心で、情理に動かされたからである。これはガバナンスの問題であり、ガバナンス構造に欠陥がある。カネボウに限らず日本企業は、同質性の高い人が集まって、すり合わせ的・集団的な協業を通じてデリケートな製品を作るのが強みである。そのことは単純な強みではなく、ガバナンスの欠陥をもっている。
     倒産してもカネボウのブランドは棄損しなかった。カネボウの美容部員のリーダーは、職場に対して強い執着心を持っている。

  • 主に事業再生に関わった社長もしくは社長を間近で見ていた人たちの講演録。明治〜昭和時代の経営者の話とは違って、自分がリアルタイムで(記憶にはないかもしれないが)見てきた時代の経営者が語っている点が大きくこれまでの社長本とは違い、リアリティがある。平時ではなく戦時(危機だったり再生局面だったり)の社長が何を備えているべきかよく分かった。そして社長と一口にいってもレベルには違いがあることも。個人的には挫折と判断の大切さを説いていた永守社長の話が印象に残った。折に触れて読み返したい本。[2009/2/10]

  • H21.1.23
    佐山氏の講演会に参加した際に購入。
    会社というのは、社長で9割がた決まるのだという。たしかにそうだと思う。
    スポーツの世界でも、監督の影響力は絶大。高校野球でも指導力のある監督のいる高校は継続して強い。
    いかに社員のモチベーションを高められるかが決めてなのだと思う。

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