売り方は類人猿が知っている

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532260651

感想・レビュー・書評

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  •  大学院の先生が書いた本。マーケティングと人類の歴史をからめるというなかなかユニークな一冊。チンパンジーのハーレムの話や原始時代の飢えと現代の肥満の関係の話なんかが出てくる。
     いちばん面白いと思ったのは、「消費者の買い控えの遠因は原人の時代の集団生活にあった」という主張。集団生活を送るには、「公平さ」というものが非常に重要になってくる。自分の能力が高いからといって公平さを受け入れられない個体は集団を追われ、厳しい環境をひとりで生きてゆかなくてはならない。ゆえに人は公平さを重視し、お金のある人でも派遣村の様子を見て贅沢品を買わなくなったりしてしまう。だから企業は、そんな消費者の罪悪感を取り除くマーケティングをしなければいけない。
     ちょっと難しいところもあったけど、普通のマーケティングの本からは得られない驚きがある本だと思う。
     

  • ナンシー・エトコフを思わせるほどの出来映えだ。マーケティング本の枠に収まらない広汎(こうはん)な知識がわかりやすい文章で綴られている。
    https://sessendo.blogspot.com/2020/11/99.html

  • 売り方は類人猿が知っている(日経プレミアシリーズ)

  • 不安回避に優先を置く行動習慣は納得。
    今の日本の不景気はこれだ。

  • 「低価格一辺倒のマーケティング戦略は、不況や先行きを恐れる経営者の弱気を示唆するメッセージ」という言葉に同感。動物としての人間の脳みそをケアしながら愛のあるコミュニケーションをすることがどの業界でも大切なのかなと思った。

  • 主に海外の行動経済学、神経学、進化心理学で発表された知見をもとにして、それをしっかりと理解している著者が自分の言葉で編んだ文章でもっておもしろくわかりやすく伝えてくれます。なぜ、現代日本人はセックスから遠ざかるのか。草食系と言われる男たちはどうしてそうなのか。そういった問いにも答えてくれているばかりか、性の意識に対する「なぜ?」に割いているページもなかなか多かったですね。ポイントはやはり、人間と言ったって、狩猟採集時代を経て農耕を始めても1万年くらいしか経っていなくて、それまでの400万年だとかの類人猿の歴史と習慣と生き方が人間の脳の基本をなしているのだ、というところでしょう。生存のために、直感的(ヒューリスティック)に判断をしなければならなかった、だとか、「欲張り」は健全な衝動である、なぜなら食いだめなどをして生存の可能性を高めるから、など現代人に残るそのなごりの説明が的を射ています。ぼくは本書を読んで、進化心理学や行動経済学に興味を持ちました。とても引き込まれますし、こういう学問を名も知らずに待望していたようにさえ思います。高校生だとか大学生だとか、きっと読んでみるとおもしろいですよ。「不合理な人間」っていうものがだんだんあからさまになっていきます。

  • 経済学は 文科系というジャンルだと思ったが
    ダーウィンの進化論が取り入れられて 脳の進化から
    ニンゲンの行動を 研究するというのは、
    意外とおもしろい。

    ルディー和子の著作の特徴は
    雑学のような 脳科学の知識を ちりばめて
    ニンゲンの経済行動の『ちゃらんぽらん』『非合理性』を
    くわしく 分析しようとしている。

    生物の進化、動物の進化、そして 類人猿からニンゲンへ
    その中での 脳がどのように進化してきたのか?

    脳の中心的なスポットは 『報酬系』
    不安を感じる。恐怖を感じる。ということを
    つねに 脳の中の活動としていた。
    ネガティブに対する 瞬間的判断と行動を起こすことで、
    生きのびてきたのだ。

    喜びと楽しみ。嬉しいと幸福。
    いくつかの感情が ニンゲンの 行動を制約しているが
    感情と理性は ダンスを踊るように 協調して判断する。

    食欲や性欲が いつの間にか お金があれば
    食欲も、性欲も満たしてくれる ことがわかり、
    脳の報酬系は、オカネにも反応を示すようになった。

    こうやって、ニンゲンの脳は、報酬系に反応することで
    経済的な行動をすすめ、将来にあることよりも
    現在にあることを 重視するのである。
    やはり、ニンゲンの矛盾した行動は 興味につきない。

    オンナは 森にねむれる王子様をもとめ、
    オトコは 白馬に乗ったお姫様を待っている。

    というようなことが 起こらないのは、
    なぜなのだろう。

    日本人が セックスレスになった原因は
    どこにあるのだろうか?
    それ以外の 刺激、興奮が得られるようになった。

    セックスを 『めんどくさい;面倒で煩わしい』と感じる。
    そして、セックスレスになったことが 
    長寿となった
    と笑えない事実が存在している。

    クジャクのはね
    セクシャルディスプレイとしての クルマ。
    しかし、セックスレスになって 
    クルマも セクシャルディスプレイでなくなった。

    オーガズムを感じるのは、
    相手が お金が多い時の方が感じる。

    ふーむ。
    ニンゲンとは とんでもない 生き物である。
    その バカさ加減が 生き残る手だてだった。

    ルディー和子の本は じつに ニンゲンの欲深さを
    暴いているのが 面白いのだ。

  • 猿人類が知ってる売り方とは?

    →購買を決めるのは快と不快
    消費者は金銭的利得だけでなく、安心感を求めている
    人間は他人の行動、特に自分に類似した他人の行動が非常に気になる社会的動物
    消費者の購買を正当化しやすくなるような仕組みをつくってあげる
    節約してお金を使わないのは将来を慮んばっているのではなく、いまあるものを失いたくないという損失回避性が出ている

  • 発想がユニーク

  • 人間はなぜモノを買うのか

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著者プロフィール

ウィトン・アクトン代表
国際基督教大学卒業、上智大学国際部大学院MBA。エスティ・ローダー社マーケティング・マネジャー、タイム・インクのダイレクト・マーケティング本部長などを経て現職。早稲田大学商学学術院客員教授、立命館大学教授を歴任、現在は、トッパンフォームズ社外取締役、セブン&アイ・ホールディングス社外監査役を兼任。

「2018年 『経済の不都合な話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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