危機と人類(上)

  • 日本経済新聞出版
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532199890

作品紹介・あらすじ

『銃・病原菌・鉄』著者最新作!
『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ大絶賛!
「本書は、地球規模の危機に直面する全人類を救う」

「良い危機をけっして無駄にするな」
――ウィンストン・チャーチル

危機とはその「瞬間」を境に
「はるかに」大きな違いが生じる
転換点のことだ。

遠くない過去の人類史から
何を学び、どう将来の危機に備えるか?
国家的危機に直面した7カ国の事例から
全世界が一致して持つべき認識を明らかにする。


ペリー来航で開国を迫られた日本、ソ連に侵攻されたフィンランド、軍事クーデターとピノチェトの独裁政権に苦しんだチリ、クーデター失敗と大量虐殺を経験したインドネシア、東西分断とナチスの負の遺産に向き合ったドイツ、白豪主義の放棄とナショナル・アイデンティティの危機に直面したオーストラリア、そして現在進行中の危機に直面するアメリカと日本・・・・・・。
国家的危機に直面した各国国民は、いかにして変革を選び取り、繁栄への道を進むことができたのか『銃・病原菌・鉄』『文明崩壊』『昨日までの世界』で知られるジャレド・ダイアモンド博士が、世界7カ国の事例から、次の劇的変化を乗り越えるための叡智を解き明かす! 文庫化にあたり、世界が直面するコロナ危機を分析した序章を新たに追加。

感想・レビュー・書評

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  • 世界が直面するコロナ禍の中、タイトルで気になって読んでみました。

    国家的危機に直面した世界の事例、過去の人類史から学ぶ。フィンランドやチリの事例など知らなかったことも多かった。下巻も読んでみようと思う。

  • 人間が危機に直面し、どう対応し適応するかを踏まえた上で、国家がどう対応し乗り越えてきかたを叙述的な分析で行なっている。

    比較政治分析のように、変数を統制しているわけでもない。
    サンプルケースが筆者の思い入れがある地域といった偏りあり。
    これは一般化できないような気もするけれど、読み物としては面白い。

  • とてもわかりやすい文章。
    ナラティブに基づいた分析法であり限界はあるが(自らもそれを認めているが)、ところどころに定量分析の視点も交えており腹に落ちた。
    国家は個人の集合体であり、危機への対処法には両者に通ずる特徴がある。
    この本を読んだ直後に、フィンランドがNATOへの加入希望を表明したのでたいそう驚いた。おそロシア。

  • 2019発刊の著作ながら十分に今読んでも内容の素晴らしさは疑うべくもない。
    「銃・病原菌・・」で筆者の不安となった私、他作を読んでも間違い、外れがない。して、当作も非常に読み易く、論理展開、叙述の明確さは際立つ。

    問題提起の前に、そうすべき根拠を具象的に例示し、プラス面マイナス面の配置は巧みに述べられて行く。
    フィンランド・日本・チリ・インドネシア5国がまず俎上に。

    教授自ら設定した12の要因による分析は眼が開く想い・・明治維新後の我が国の変化、分析は他国でこのように解析されるのかと逆にウロコが落ちる。
    「その」日本が20世紀初頭から「国家責任の拙い変容」と「お粗末な自国評価」の地獄に陥る。

    上のみ読み終えてみて余りの面白さ~自分の無知も大いに含め~読み手が増える事を期する。

  •  この本が最近文庫化されたので、早速購入して読みました。ジャレド・ダイヤモンドの本は、私にとって当たり外れがあって、「銃・病原菌・鉄」はとても良かったのですが、「文明崩壊」は結構読み辛かった。でもこの本はとても読みやすく一気読みでした。
     
     この本は、国家の危機としてフィンランドのソ連侵攻、日本の黒船来航、チリのクーデターとピノチェトの独裁、インドネシアのスハルトクーデター、ドイツの再建、オーストラリアの白豪主義の克服という過去の危機を取り扱っています。
     そしてそれらの危機に対してどのような選択が行われたのかを12の共通の要因から分析しています。その中でも日本の明治維新については、世界中の近代以降の選択的変化の中で「これ以上ないすばらしい典型例」を示してくれる、と語っています。黒船来航時に日本人は自国が危機であることを国民全体で認識し、外国で起こったことを問題解決の手本とし、富国強兵しなければとても太刀打ちできないと「公正な自国評価」をし、日清戦争や日露戦争を経て危機を乗り越えた。
     明治維新でこれほど選択的な変化に対応できた日本人が、その後の日中戦争や太平洋戦争においては「行動を起こすことへの国家としての責任の受容」に欠け、「公正な自国評価」もできずに、破滅に向かって突き進んでいくのです。

    他の国の危機対応のに関する記述も素晴らしい。そしてなによりも現在の日本が抱えている問題について「日本を待ち受けるもの」という章を設けて語っています。上下2冊の合計11章合計650ページあまりの本ですがそのうち2章で日本のことを取り上げています。

    必読の本ですね。

  • 他国の全く知らない歴史を知り、その危機対応の共通点を考えるのが面白い。また、外の目からみた明治維新の比較は、相対化できてとても視野が広がる。

  • ★★★2021年4月★★★


    読み終わってからだいぶ経つが、当時のメモ書きを参照しつつ書いてみる。
    この本の基本的な構成として、「危機」というものを個人レベルの人生における危機から、国家レベルの危機そして地球レベルへの危機へと分析を広げる。
    国家レベルの危機として、上巻ではフィンランド、チリ、インドネシアの事例をあげる。
    特に興味深かったのはフィンランド。ソ連という強国の影響を強く受け「うまく従属した」といえるだろうか。冬戦争という苦い経験を経て方針を転換。

    ・・・引用
    パーシキヴィ=ケッコネン路線は、ソ連を無視するという、フィンランドに厄災をもたらした1930年代の政策を180度転換した。

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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