悪いヤツほど出世する (日経ビジネス人文庫)

  • 日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532198558

作品紹介・あらすじ

☆ベストセラー『「権力」を握る人の法則』の著者が、世にはびこる欺瞞に満ちた「リーダーシップ論」を一刀両断。組織を動かす人々の「真実の姿」を赤裸々に明かした話題の書、待望の文庫化。

☆世間に流布しているリーダーの「あるべき姿」は、誠実で、謙虚で、思いやりにあふれ……、というものだ。しかし、そんなリーダーは、実際には組織で指導的立場についていたりはしない。

☆本書は、スタンフォード大学ビジネススクールの人気教授が、成功しているリーダーたちの本性、「自信過剰な人ほど出世しやすい」「状況に応じて、嘘をつく」「社員第一より、自分第一」など、真のリーダーの姿をあぶり出し、我々がそれにどう対処すべきかを教えてくれる。組織で働くひと、必読の一冊である。

感想・レビュー・書評

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  • 著者はスタンフォード大学ビジネススクール教授。『「権力」を握る人の法則』の続篇とのこと。刺激的なタイトルが気になったので、手に取ってみた。

    本書、世に数多あるリーダーシップ研修を痛烈に批判し(「リーダーシップ教育産業がやっていることの反対のことをしたほうが、結果がよいほどである」とまで言っている)、企業エグゼクティブ達のエゴイスティックで黒い面をこれでもか、というくらい赤裸々に描いた本だった。

    信頼を得よ、誠実であれ、謙虚であれ、部下を思いやれ、等々のリーダーに求められる資質(リーダーシップ研修が説いていること)は、絵に描いた餅に過ぎない。実際、このような資質を満たす理想的なリーダーは殆んどいないし、そもそもこのような人物はリーダーになれない。自己利益を最大化すべく権力にすりより、他人を蹴落とし、抜け目なく立ち回らなければ、生き馬の目を抜くビジネス社会でリーダーになれないし、その座を維持できないのが現実。なので世の中、悪いリーダーばかり蔓延っているのが当然なのだ、と著者はいう。

    「先見的なリーダーとは、ある程度のナルシシズム、すなわちうぬぼれや自己陶酔を持ち合わせているリーダーである」、「人間はだいたいにおいて自己利益を追求する生き物だ…。約束を破ることが自己利益に適うなら、たぶんその約束は破られる。しかもそれで罰を受けることはめったにない」、「多くの企業のリーダーは「我が身第一」だ」、「もし自分の功績と忠誠心に対して報奨や地位が約束されるという暗黙の契約が存在すると考えているなら、そういう暗黙の契約は決して守られないと肝に銘じるべきだ」、「職場というのは計算高く、利益優先で、道義心とは無縁であり、さらに言えば通常の行動規範にさえ縛られない」…。いやはや。

    ただ、その多くは、個人主義が徹底されたドライな国、よくも悪くも自由を謳歌できる国アメリカでの話、ということかな。著者も、会社の危機に際し幹部になればなるほど大幅な賃金カットを断行するのが普通の「日本は社員に対する文化的な規範がアメリカとは異なっており、リーダーには名誉あるふるまいが求められる」とか、日本では当たり前の「リーダーに生え抜きの人間や現場の仕事を多く経験してきた人がリーダーになる場合には、社員との共通体験が多いため、社員の幸福に配慮するケースが多いと考えられる」などと書いているからな。こうしてみると、同調圧力の強い窮屈な日本社会も、案外優れているんだな。

    まあ本書からの教訓は、リーダーは綺麗事だけでは務まらない、リーダーには、清濁合わせ飲む二面性が必要、と言うことだろうか。

    読んでいて気持ちが暗くなる本だった。

  • 期待外れであった。
    結局何を言いたいのかよくわからない。リーダーシップ研修は嘘ばっかりなので、信じてはいけない。現実のリーダーには、研修で語らられるような人物はいない、ということを肝に銘じなさい、ということか。
    先日読んだ、ダークサイドスキルのほうが、ミドルマネジメントがどう行動していくのがよいか、ということがめいかくに書いてあった。

  • 今流行りのオーセンティックリーダー、サーバントリーダー、心理的安全性などの理論はどんな外部環境、内部環境を前提としているのか整理しておく必要があると思った。
    現実は上記のリーダーシップ理論が前提とするような綺麗な世界では無いので、思考停止で様々な理想やテクニックに飛び付かずに自分の周囲の環境を冷静に分析して最適な理論を変幻自在に使い分けることが重要であると感じた。ただし、リーダーの表と裏の顔をメンバーに気づかれないように。
    また、会社やメンバーに期待や過渡な依存をせずに自分で判断することも重要だと思った。

    私はリーダーとして自分、メンバー、部署、会社、顧客、社会の全てにメリットとなる戦略を描き、それを実現するために必要なリーダーシップを状況に応じて選択、発揮して行きたいと思う。 

  • 大事なことは下記3つ。
    ・自分らしさなんていらない。勝つことだけを考える。
    ・勝つためには、当初は不快なことであっても、反感を買うようなことであっても、行う。
    ・怨恨や復讐心を抱き続けるのは、相手よりも当人にとって不幸である。

  • 途中まで何が言いたいのかわからなかった。
    1章から6章までひたすら、今のリーダーシップ教育はダメだ!と言い続ける。「ダメなのは分かったけど、結局どうすればいいの?」は最後の最後7章と8章に書かれているのみ。よっぽど暇な人以外は、6章までは飛ばし読み(太字の箇所だけ読めば、大体の内容はわかる)、7章8章だけゆっくり読めばいいと思う。
    内容をまとめると、「理想と現実は全く違うから、自分の頭で考えて自分の利益を守って生きていこう」と言ったところか。
    ただ、「どうすればいいの?」に答えてくれる本ではないので、時間をかけて読むのはお勧めしない。「会社ってこういう仕組みなんだ」と事実を見るための本だと思う。

  • 信頼しすぎると損をする。
    ほとんどの状況で、そして大方の人間関係のおいては、あまり信頼しすぎず、ほどほどに疑ってかかるほうが賢明である。
    金銭的損害を被ったり出世競争で出し抜かれたりしたことのあるだまされやすい人は、なおさらだ。

    過去に注目しなさい。
    その人の将来の行動を最もよく表しているのは、過去の行動である。
    契約違反を犯した人、知的財産権を侵害した人、パートナーを訴えたり会社から追放したりした人、約束を破った人、
    あっさり転職したことのある人は、またやる可能性が高い。

    自分の身は自分で守れ

  • 自分もなんだかんだリーダーシップが求められる立ち位置だな、立ち振る舞いを考えないとなーと。

    リーダーシップとは!
    自己啓発本!
    わくわく!
    期待!

    いや、薄々気づいてたんだけどこういうのって無駄なのね…

    半分気づきながら、絶望を感じながら社会を生きてるけど
    この著者の考えでいうとそれはそれで考え方として正しかったんだなーと。

    100%本当のことを言っている上司はいないし、その話し方はたまに嘘を織り交ぜながら、現時点で言えないことは言えないとはっきりいうのではなく論点をずらすって人が多くて。
    というか知らないから答えられない、
    自信と確証がないので自分の言葉に責任がとれない。
    多分そんなとこだろうなーと冷めた目でみつつ。
    人の親としてどーなの?て思うような行動もたくさん見てきたけど
    まぁそんな人もいるんだよね結局。
    働きアリの法則をリアルに目の前で見たりとか。

    もうどうにもならんから自分でやるしかないんだろなーて思ってる。
    というわけで読んでも全く励まされない本だった。笑
    萎え〜
    でもリアルがここにあります。


    仕事は仕事の人格でがんばることにいたします。
    熱くなれ。しかし熱くなりすぎるな。


    ※※※


    以下文章引用してます

    世界は往々にして公正ではないのであり、そうわきまえることだ。そして、自分の身は自分で守り、自分の利益は自分で確保するほうがよい。(中略)リーダーシップ神話に頼るのをやめたら、あなたはもっとずっとうまくやれるはずだ。同時に、信頼に値しない人間を信頼して裏切られたり、失望したり、キャリアを台無しにしたりする危険性も大幅に減るはずである。p262

    これがすべてだと思う

  • リーダーシップの理想と現実のギャップを知るため、読みました。最も印象的だったのは、自分のことは自分で考え、リーダーシップ神話に頼るのはやめる。いかに優れたリーダーも、人間である以上は完璧ではない。自分の利益は自分で守り、自分の幸福は自分で責任を持つ。です。思考停止に陥らず、事実を見て、自分の頭で考えて行動することの重要性を再認識しました。

  • 自分が持っていた「公平世界仮説」を粉々に打ち砕いてくれた一冊。注意したいのは、「嫌なヤツ」とは嫌味ばかりだったり性格に難がある者を指すのではなく、ズル賢く、自分をよく見せるためにうまく嘘をつく者を指す。サッカーの監督においても、名称と呼ばれる人は押し並べて嘘つきである。非力な自分にできることは、そういった嘘からいかに自分を守るか、周囲の人間を守るかを考えることだけである。社内政治や他の活動で権力を持つことは、これに役立つだろう。出世するぞ。
    ただ、注意すべきはこの本はアメリカの企業文化に基づき執筆された者であり、日本ではあまり当てはまらない場合も多くあるだろう。企業にも依る。だからあまり悲観しすぎるのもよろしくない。

  • 事実に基づくリーダー論。
    謙虚さ/自分らしさ/誠実さ/信頼/思いやりを持ったまま出世は出来ない。
    現代の君主論。

    リーダーシップ教育産業は現実的ではなく、根拠のない感動や高揚感を一時的に与えるだけ。
    自分の身は自分で守り、リーダー論の真実に耐える事が大事。

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著者プロフィール

スタンフォード大学ビジネススクール教授(トーマス・D・ディー2世記念講座)。
専門は組織行動学。資源依存理論の提唱者として知られる。スタンフォード大学でPhDを取得後、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、カリフォルニア大学バークレー校で教鞭を執り、1979年にスタンフォード大学の正教授に就任。これまで16冊の著作を持ち、150本以上の論文を発表。オランダのティルブルフ大学から授与された名誉博士号のほか、数多くの受賞歴がある。スタンフォード大学で教える傍ら、ハーバード・ビジネススクール、ロンドン・ビジネススクール、シンガポール経営大学、IESEなどで客員教授や講師も務める。主な著書に『「権力」を握る人の法則』『悪いヤツほど出世する』『社員が病む職場、幸せになる職場』などがある。カリフォルニア州ヒルズボロー在住。

「2023年 『出世 7つの法則』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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