「話し方」の心理学 必ず相手を聞く気にさせるテクニック (日経ビジネス人文庫)
- 日本経済新聞出版 (2017年10月3日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784532198183
作品紹介・あらすじ
そもそも、人と人が意思疎通をはかることはむずかしい。
多くの人は自分と関係のあることにしか関心はなく、意外なほど人の話を聞いていません。
では、どのようにすれば、上手に話を伝え、理解してもらうことができるのでしょうか?
本書は、全米で半世紀にわたり読み継がれてきたビジネス&コミュニケーションの古典的名著の文庫化です。
・聞く気のない相手の注意を引きつける
・言いたいことをストレートに伝える
・相手に質問させ、会話に引きずり込む
・本質には関係のない反論を見抜く
・頑迷な人を説得する
・感情的な反応を操作する
・忠告を聞き入れない人に対処する
・飽きさせないスピーチをする
--など、ビジネス現場で実践できる心理テクニックが数多く紹介されています。
感想・レビュー・書評
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「話し方」の心理学
必ず相手を聞く気にさせるテクニック
著:ジェシー・S・ニーレンバーグ
訳:小川 敏子
日経ビジネス人文庫 に14 1
良書。帯に「『究極の対人技法!』全米で読み継がれてきた古典的名著を文庫化」とある
面接、スピーチ、プレゼン、説得。
話すことは、聞くこと。人間は感情の動物であることが今さらながら感じられました。
ちょっと、相手に考えを押し付けているきらいもありますが、まあ、流れはいいかと思います。
オルダス・ハックスリー
書物を読みこなす力を身につけた者は、自分の器を大きくし、さまざまな方面で自分を生かし
有意義でおもしろい人生を堪能するができる
■人とわかりあうことのむずかしさ
・そもそも人間と人間が話すことにいちばんの問題がある
・わたしたちの思考はとても忙しい
・意思疎通をさまたげる5つの性質
①変わることへの抵抗 ~ 習慣を変えることはむずかしい
②自分の考え方を優先させ、相手の意見に耳をかたむけない
③先入観をもった聞き手
④根拠のない推測
⑤根強い秘密主義
・注意力散漫の兆候
①不必要な質問をする
②見当ちがいの発言をする
③解決ずみのことを蒸し返す
■会話に乗ってもらうために
・会話には、意見とともに感情が込められている
・会話の端々に自分の感情をあらわしている
・会話に乗ってもらうための3つの方法
①会話の目的を告げてから会話に入る ⇒前出しする、地図を示す
②相手の気持ちを尊重する
③的外れの質問を受け止め、なぜそのような質問が出るのかを考える
・わたしたちは、必然性のないことは口にしない
・あなたの考え、気持ちに関心があります。自分の思いと同じくらい尊重していますという気持ちを相手に伝えれば、実りある会話となる
■人の考えを引き出す
・黙っていては情報を得られない ⇒ ありがたいという気持ちを表現すること
⇒ すると相手はよいことをしたという深い充実感を味わうことができる
・質問とは、相手に対する要求である
・答えやすい質問からはじめる
・質問を組み立てる
・2つの質問
【抽象的な質問】
①相手の意見をおおまかにつかむことができる
②相手の考えの意外な側面を知ることができる
③イエスかノーで答える質問ではカバーしきれない相手の思いを知ることができる
④相手をもって活発に会話を参加させることができる
【具体的な質問】
①ある特定の事実を確認する
②両者の考えを比較検討し、コンセプトにずれがないことを確認する
③相手の立場を明確にする
・抽象的な質問をするための4つのコツ
①イエスかノーではこたえられない質問をする
②どうおもいますか?、どうやって?という問いかけの言葉をつける
③キーワードを復唱して相手に返す
④要約して返す
■人の感情にどうむきあうか
・会話とは単なる意見の交換ではない。会話とは感情を発散するための最強の手段である
・人の感情にどう対処するか
①感情を表現させる、相手に話しをさせる
②相手に自分自身の感情を自覚させる
③批判せず、相手の感情を受容する
・怒りは決して危険なものではない ⇒ 感情とうまくつきあうこと
■言葉に託されたメッセージを読む
・潜在的なメッセージは発言者の本音である ⇒ つねに相手の真意を推し量る習慣をつける
・話のスピードや、間の取り方も潜在的なメッセージとなる
①間が長い ⇒ あなたの話はよくわかりせん
②間をおかない ⇒ あなたの言ったことについて考えていません
③間を適切におく ⇒ ちゃんと聞いています、間を置くのは礼儀だ
・潜在的メッセージ
①自分をアピールする
②人を攻撃する
③要求を出す
④人をコントロール
⑤愛情を表現する
■思考を伝え、相手からフィードバックをもらう
・言葉で伝えることができるのは、一部なのに、全体を伝えた気になる
・事実と解釈(自分の意見)を混合しない
・実際に、見聞したことだけを伝える
・相手とのイメージがずれないように、まめに確認を繰り返す
・フィードバックするときは、相手の言葉をそのまま返さない
■話を聞いてもらうために
・人に伝えるときは、一度にひとつと決める
・同時に2つのことを話さない
・無関係な無駄をそぎ落とす
・同じ話しを繰り返すときは、新しいことを付け加えて、相手を飽きさせない、理由を付け加える
・相手の注意を引きつけておくために
①本題からそれない
②一度の発言を短くし、伝えたいことを1つづつ間隔を置いて伝える
③相手がすでにしっていることは話さない
④できるだけ具体的に話す
■頭をはたらかせる
・伝わらないものは、伝わらない
・相手の状態は3つ
①話をきいていない
②聞き流している
③聞いて考えている
・質問とは、言ったことを相手に理解してもらうことが目的であり、相手の考えをあきらかにすることではない
・人の気持ちは理屈ではうごかない
・会話で質問する習慣をつける
■相手の抵抗にどう対処するか
・反論は、脈あり
・あっさり同意は、念押しする必要がある
・反発するサイン
①猛烈である
②聞く耳をもたない
③一貫性がない
④正当化する
⑤反論がころころ変わる
・反発に対処するには
①相手に理解を示す
②反発していることを自覚してもらう
③反論を相手とともに検証する
■発言の意図をつかむ
・言葉は真実ではなく、反応である
・自分の経験なのに、あたかも事実であるかのように語る傾向がある
・思考をゆがめないためには
①なにを前提に判断しようとしているのを知る
②数字になおす
③白黒ではなく、グレーゾーンに位置をもとめる
④頭から決めてかからず、1つ1つについて柔軟に考え、正確に判断する
⑤意見を述べるとき、他人の意見を聞いたとき、裏をとる
・個々の発言が何を意味しているのかを吟味する習慣をつける
■会話におけるギブ・アンド・テイク
・話すことで与える
①教育する
②楽しませる
③感情面の欲求を満たす
・聞くことで与える
①思考が整理できる
②感情が解放できる
・話すことで得る
⇒聞くことで与えるの逆
・聞くことで得る
⇒話すことで与えるの逆
・会話の時間を共有する
①会話は宝の山
②相手に資源を提供するつもりで会話する
・話したいという欲求があると、聞く力はガクンと落ちる
■複数の聞き手に意思を伝える
・6つの障害
①関心が多様である
②注意力散漫
③見当ちがいの発言
④消極的な態度
⑤感情が抑圧されている
⑥欲求や衝動の表現が極端
・3つのテクニック
①聞き手の思考を正しい方向に誘導する
②例をあげる
③話の内容を確認する
・確認をするための方法
①質問をする
②質問を促す
③質問の意図を良く確かめる
・内容を反復しながら進める ⇒ 最後に要約する
■説得の手法
・説得とは相手が新しい反応をするように導くことである
・説得するためには
①こちらのはたらきかけを受け入れてもらう下地をつくる
②相手からの質問や疑問は新しい考えを受け入れる下地があるというサイン
③相手が説得を受け入れられる状態になるまで、反論しない
④相手の考えをしり、弱点をみつける(?)
・求められていないアドバイスとは、説得であると自覚する
目次
第1章 人とわかりあうことのむずかしさ
第2章 会話に乗ってもらうために
第3章 人の考えを引き出す
第4章 人の感情にどうむきあうか
第5章 言葉に託されたメッセージを読む
第6章 思考を伝え、相手からフィードバックをもらう
第7章 話を聞いてもらうために
第8章 頭をはたらかせる
第9章 相手の抵抗にどう対処するか
第10章 発言の意図をつかむ
第11章 会話におけるギブ・アンド・テイク
第12章 複数の聞き手に意思を伝える
第13章 説得の手法
訳者あとがき
ISBN:9784532198183
出版社:日本経済新聞出版社
判型:文庫
ページ数:336ページ
定価:780円(本体)
2017年10月02日第1刷
2017年10月27日第2刷
参考:オルダス・ハックスリー著書(抄)アマゾンより
すばらしい新世界
知覚の扉
多次元に生きる―人間の可能性を求めて
ルーダンの悪魔
ハクスリーの教育論
思想の遍歴詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
何となく頭の中では考えていた内容が言葉にして説明されている。
言葉で理解できたことで、会話している時に意識して気をつけることができるようになった。
この本を読んだことで人と会話することかより楽しくなったように感じる。 -
本書は、全米で半世紀にわたり読み継がれてきたビジネス&コミュニケーションの古典的名著の文庫版。どうすれば上手に話を伝え、理解してもらうことができるのか、具体例を挙げながらわかりやすく紹介する。
人とわかりあうことのむずかしさ
会話に乗ってもらうために
人の考えを引き出す
人の感情にどうむきあうか
言葉に託されたメッセージを読む
思考を伝え、相手からフィードバックをもらう
話を聞いてもらうために
頭をはたらかせる
相手の抵抗にどう対処するか
発言の意図をつかむ
会話におけるギブ・アンド・テイク
複数の聞き手に意志を伝える
説得の手法 -
普段、無意識に行っている「説得の仕方」を明文化してくれている。
ぼんやりと直感で起こしていた言動を、文章で再確認すると、さらにその先が見えてくる。
私にとっては、今出会うべき本だった。同じタイミングで読んだ主人はまったく響かなかったらしく、たぶん、実際に誰かを説得する必要性に迫られていて、うまくいかない経験を何度もした後で読むのがいいのではないかと思う。 -
具体的な場面での『コミュニケーション』について学べる。
しっかり読めば、相手のことをちゃんと考えられる知識がつくだろう。
ただし
人と気持ちを通わせるには『とても』努力が必要。 -
ケースわけとto doが多い。これだけの対処が臨機応変にできれば、苦労をするはずがありません。
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<目次>
第1章 人とわかりあうことの難しさ
第2章 会話に乗ってもらうために
第3章 人の考えを引き出す
第4章 人の感情にどうむきあうか
第5章 言葉に託されたメッセージを読む
第6章 思考を伝え、相手からフィードバックをもらう
第7章 話を聞いてもらうために
第8章 頭をはたらかせる
第9章 相手の抵抗にどう対処するか
第10章 発言の意図をつかむ
第11章 会話におけるギブ・アンド・テイク
第12章 複数の聞き手に意思を伝える
第13章 説得の技法
<内容>
日本では2015年に発行された本の文庫版。ただし、訳者のあとがきを読むと、アメリカでは1963年発行とのこと。内容に古さはないし、近年の似た本でも同じような対策法を書いてある。「話す」とあるが、会話や聴くことも視野に入れた、コミュニケーションの技法の本と考えてよい。良本である。 -
何かとても切れ味鋭いことが指摘されているでもない。当たり前だが、言われるまでなかなか気づかないような、コミュニケーションの落とし穴についてのハウツー。