あきらめない 働く女性に贈る愛と勇気のメッセージ

著者 :
  • 日本経済新聞出版
4.35
  • (36)
  • (35)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 354
感想 : 38
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532197490

作品紹介・あらすじ

霞ケ関を上り詰めた「働く女性の希望の星」が、虚偽公文書作成の容疑で逮捕。164日間の勾留の後、無罪を獲得。彼女が決してくじけなかったのはなぜか。すべての働く女性にエールを贈る感動作を文庫化。勾留生活を支えた149冊の本リスト付き。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 育児と仕事の両立で悩む女性に読んでもらいたい一冊。働く女性が少なかった時代、キャリアを積み重ねてきた著者の努力と苦労などを読み、今は恵まれているなと感じた。まだまだ、働く女性には厳しい時代ではあるが、人知れず制度や法律を整えている方々に感謝しないといけない。
    冤罪事件を通して、ご家族との繋がりや愛情の深さには、思わず涙しそうになった。娘さんからのコメントも掲載されており、東京地検特捜部の家宅捜査の対応について、面白くまとめられていたので思わずクスッと笑ってしまった。

  • 大阪地検特捜部の冤罪事件の被害者・村木厚子さんの書いた仕事人の自伝+冤罪被害者としての手記、のような本。
    村木さんは地方国立大出身で、キャリア官僚として労働省から厚労省の局長、のちに事務次官まで務めた人。
    その途中で、大阪地検特捜部のでっち上げ事件の被疑者として逮捕された人でもある。

    本の前半は、女性がバリバリ働くことがまだ普通ではなかった時代に、官僚としてキャリアを重ねた自伝的エッセイのような内容。
    これがおもしろかった。
    女性差別のある中で、少しずつ活躍の場を広げていった先人の仕事人生をなぞることができる。
    働く子育て世代のロールモデルとして今でも参考になることがいっぱいあるように感じた。

    後半は、冤罪事件の疑いから逮捕・無罪までを描いた手記。
    これがまたおもしろかった。
    何を支えてとして取調べに耐えたのか、裁判を闘えたのか。
    その辺りの一部に触れることができた。

    前半、後半ともおもしろい。
    おすすめ。

    ——以下、Twitterの内容(公開は、2023/12/16以降)

    読了本。村木厚子「あきらめない 働く女性に贈る愛と勇気のメッセージ」 https://amzn.to/3uRwLaK 女性が働くことが普通でなかった時代の女性キャリア官僚の仕事人生を振り返った前半と、冤罪事件で逮捕されてえらい目にあった軌跡を書いた後半からなる。両方おもしろい。 #hrp #book #2023b

  • 官僚の方々と働くことがある。皆さん、とても頭が良いけど一方で普通の人でもある。そんな人が突然逮捕されるなんて本当に怖い。

  • 郵便不正事件で逮捕され、無罪判決となり、最終的には事務次官までいった女性官僚が書く本は、誇り高きプライドを胸に、エリート精神に溢れているのではないかと思っていましたが、いい意味で裏切られた感じです。
    普通の人間でもできるというロールモデルになることを目指していたとのことですが、まさにこの人の感覚は庶民的な感覚で、いわゆるキャリア官僚ぽくないところに親しみが湧きますし、崇高な理念なども持ち合わせてなくとも、世の中で活躍できる人間になれるのかなと思わせてしまいます。(でも、官僚としてかなり優秀な方だと思いますが。)
    この本は逮捕の箇所がなくとも、働くキャリアの女性が家庭と仕事の両立をどうやってやってきたのか、キャリアウーマンへのエールともいえる本として成り立つと思いますが、逮捕の箇所があることで、壮絶な人生をくぐり抜けてきたすごい手記になっていると思います。逮捕・勾留の箇所は、今までの内容と違う本になったような気分がしました。
    働く女性に送るメッセージという副題がありますが男性が読んでも十分に参考になります。

  • 郵便不正事件で、逮捕され勾留・起訴され、無罪確定した後、職場復帰。
    落ち着いた文章で読みやすい文章でした。
    働く女性の先駆者。見習いたいです。

  • 優しい文章で、メッセージがしっかり伝わってくる一冊。

    無理だ、前例がないと言われる事にチャレンジした人の話は、学びも多いし、考えさせられる。

    私は特別という自慢話ではない内容で、本当の意味でリーダーシップのある方なんだなと感じた。

    食べて寝れば何とかなるという帯の通り、書かれている内容はシンプル。
    だからこそ、どんな立場のどんな女性にも当てはまるメッセージばかり。

    もし、一つだけ本作のマイナス点をあげるとしたら…村木さんには素敵な旦那様がいて、子宝にも恵まれて、仕事があって…圧倒的に何もかも"持っている人"の余裕が端々に感じられるので…。
    めちゃくちゃ強者じゃん!と、羨ましくなる。
    全部持っている人っていいなと妬んでも仕方ないので、私は私と割り切れないといけませんね。

  • 「ロールモデルになりたい」と思ってくれていた女性がいたということに勇気づけられた。私が働いていた職場は全国数か所に支社があるにも関わらず、女性管理職は1%程度で、自分が昇進したときにロールモデルとなる人もおらず、困惑したからだ。その時に、「自分が後輩たちのロールモデルとなる」と思えなかったのは、やはり仕事がそれほど好きではなかったからかもしれない。
    ぼやき回想はこの辺にして、この本を読んで、また働きたいなあと思ったし、働く上での部下や上司との人間関係について、こういう風にすればあの時もう少しうまくやれたかもしれない。と思うことがたくさんあった。
    子育てや家事より仕事を優先することに対する罪悪感がほとんど書かれていないことに好感を持った。問題が発生したときにすぐできることを書き出して対処し、それ以外の想像に関しては起こってないことで悩みすぎないというのがいいなと思った。真似してみたい。

  • 虚偽有印公文書作成・行使の冤罪に巻き込まれた村木さんの本。そのときのことが書いてあるのを期待して読んでみたら、それだけではなくキャリアウーマンとしての村木さんが歩いてきた道がけっこうしっかり順を追って書いてあり、そこがとてもよかった。思っていたのとは違う、それ以上の本だった。
    なぜいい本だと思うのかといえば、村木さんが仕事と家庭に誠実に向き合い、試行錯誤しながら前向きに両立してきた人だからだ。自分にとっては事件を機に知った名前だが、それ以前から人々がより働きやすく生きやすくなるようにと仕事に向き合い、内外の仲間との自主的な勉強会などにも加わり、家族とも助け合いながら、自然体で無理なく生きてきたことが書かれている。
    村木さんはとりたててすごいところのない自分だからこそ、厚労省での仕事などでも後輩たちにとって、普通の人でもやれるんだと思えるロールモデルを担うつもりでいたという。そういう面がこの本のなかにもけっこう感じられ、自分にとっても仕事をしたり社会人として生きていくうえで金言と感じられる箇所がいくつかあった。
    そんなこんなでいい本だったんだけど、ちょっと教訓めいた書きぶりが散見されて……。たぶんこれって、編集者が「日経ウーマン」っぽく手を入れたんだろうな。あと、今までのところ文庫本が出ていないのなぜだろう、いい本なのに。

  • 検察はなんてことをやらかしたのだろう。公務員は全体の奉仕者であり、憲法遵守の義務があることを忘れてはいけないよな。それにしても村木さん、素晴らしい方。バリバリのキャリアでありながらあんまり力が入ってない感じが素敵だと思う。

  • うつ病で読書を休んでました。今日からまた本が読める。それが嬉しい。回復してきたら必ずこれを読もうと決めていた。

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

村木厚子(むらき・あつこ)
1955年高知県生まれ。土佐高校、高知大学卒業。78年労働省(現厚生労働省)入省。女性政策、障がい者政策、働き方改革や子ども政策などに携わる。郵便不正事件で有印公文書偽造等の罪に問われ、逮捕・起訴されるも、2010年無罪が確定、復職。2013年から15年まで厚生労働事務次官を務め退官。現在は、津田塾大学や社会事業大学専門職大学院で客員教授を務めるほか、伊藤忠商事(株)、SOMPOホールディングス(株)および住友化学(株)の社外取締役を務める。また、累犯障がい者を支援する「共生社会を創る愛の基金」の顧問や、生きづらさを抱える少女・若年女性を支援する「若草プロジェクト」の代表呼びかけ人として、NPO活動に携わるとともに、住宅確保に困難を抱える者のための居住支援や農福連携の普及に携わっている。著書に、『日本型組織の病を考える』(角川新書)『あきらめない』(日経BP)などがある。

「2019年 『かっこいい福祉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

村木厚子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×