異業種に学ぶビジネスモデル

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532197476

作品紹介・あらすじ

ゴールドマン・サックスから不動産業に転じた社長のハイブリッドな戦略、ブリヂストンのリトレッド事業の知られざる狙い、高収益をあげるコマツが築いた競争優位…。成功企業のビジネスモデルをわかりやすく説明するだけでなく、異業種の儲けの仕組みから何を学び、自社に活かせばよいのか、数多くの事例をとおして解説する。

感想・レビュー・書評

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  • ビジネスモデル構築には3つの方法がある。それは0からの構築、同業他社の模倣、異業種を参考にすることである。
    本書では異業種のビジネスモデルを参考にしてイノベーションを起こすための方法や考え方を解説している。
    参考になる事例の紹介だけではなく、そのエッセンスを抽出し、自社のビジネスモデルに移植するまでを解説しているので、新しいビジネスモデルを構築したい人には非常に参考になると思う。


    一章
    本書の目的と進め方を紹介

    二章
    ビジネスモデルにイノベーションを起こした7つの事例を紹介
    ある事例は異業種のビジネスモデルを参考にして自社に取り入れたもの、また別の事例は異業種を参考にしたわけではないが、新たに構築したビジネスモデルが後方視的に分析したところ他の業界で見られるものであったものだ。

    三章
    異業種のビジネスモデルのポイントを理解するために必要な7つの視点を紹介している。
    そしてそれらの視点で事例を分析することで、ビジネスモデルのエキスを抽出する。更にそのエキスを異業種に移植した事例を紹介することで、ビジネスモデルにイノベーションを起こすための方法を解説している。

    視点:顧客の再定義。
    事例:ある病院は顧客を患者ではなく、患者とその家族と定義した。それにより、24時間面会可能、家族への丁寧な説明など家族へのサービスに力を入れた。
    エキス:意思決定者(家族)と利用者(患者)が違う事業のモデル
    移植例:介護用ベッドのフランスベッド。購入からレンタルにすることで、使用期間が短い利用者が亡くなった後でも意思決定者である家族が困らないようにした。

    四章
    異業種のビジネスモデルを移植する際に起きる下記7つの課題を紹介
    収益モデルの変更による一時的な売上減少
    旧モデルへの固執
    一見似ているが間違えた視点により効果を発揮しない
    組織の壁
    評価の壁
    サプライチェーン、競合企業の反発
    ビジネスモデルクリエーターの配属

  • 335.21||Ya

  • 外国企業を事例に出してもピンと来ないだろうから、日本企業を事例の中心に、というのはよいスタンス。

  • 他業界のビジネスモデルを広くカバーしている。広く見渡すには良いが、深度を求める人には不向き。

  • ケースの紹介をかなり網羅的にやっている。新しいビジネスモデルを抽出するならこれをみても良いかも。

  • 付加価値をつけたサービスは、競合他社に追随されやすい。逆に、サービスの中から必要なものだけに絞る、マイナスの差別化を行うと、ビジネスモデルを転換せざるをえなくなるケースが多い。QBハウスなど。

    レベニューマネジメントの核となっているツールが、ダイナミックプライシングである。変動価格設定と訳され、需給のバランスをみる。Jリーグの試合など定員が決まっていても可能。

  • 「なぜあの会社は儲かるのか」との内容面の被りが多いが、より多くのケースをこなしたいなら追加で読んでもよい。

  • 本業に直結するので読みました。
    ビジネスモデルを意識しながら仕事し、フレームを使って新ビジネスの視点を養いたい。

    ■1章 ビジネスモデル構築の方法

    ビジネスモデル=儲けを出す仕組み
    異業種から学ぶ(多くの企業は同じ業界のみ)

    ■2章 事例
    ・スター・マイカ
     他がやりたくないことを統計を活用し、ビジネスモデルを構築した
     売却益と家賃収入で安定。
     競合になりがちなステークホルダーをうまく巻き込んだ
     金融の妻帯取引ロジックを不動産に。
     ビジネスモデルが成立する前提のエリアで実施
     
    ・楽天バス
     プルとプッシュ 
     レベニューマネジメント

    ・ゴア、インテル
     エンドユーザーへのプロモーション

    ・スルガ銀行
     生涯を通して金融の相談に乗れる存在。銀行からコンシェルジュへ。
     個人リテール
     頭取・行員の名称変更。
     他サービスとの連携
     データに基づく

    ・コマツ
     無償化の判断
     盗難防止、中国での代金回収、ユーザーのコスト削減、サービス水準の向上、予防保全
     競争優位(詳細なデータ、データの蓄積量、代理店との力関係)
     フリート管理
     トータルでのコストメリット

    ・星野リゾート
     所有と運営の分離
     セントラルキッチン(8割、2割はホテル)
     見えない部分の効率化、見える部分の差別化
     パーク24、三井のリパークの違い

    ・ブリジストン
     リトレッド
     GE 遠隔データ。情報の蓄積。エンジンは稼働分だけ費用発生


    ■3章 ビジネスモデルを見る7つの視点

    1、顧客の再定義
     ・真の顧客は誰か。誰を定義するか。
      L青梅慶優病院、T&G、フランスベッド
      サービスを受ける人だけが顧客ではない
     ・CとBの転換
      BからCへの転換
       Lベネッセ、エルメッドエーザイ、ライクラ
      CからBへの転換
       Lガリバー、トランスファーカー(ムリョウレンタカー)

    2、顧客価値の再定義
     ・サービスドミナントロジック
      使用する時点での価値が重要
      Lヒルティ(工具の売り切り→リース)、アシックスストア、クラウド

    3、顧客価値の再定義
     ・マイナスの差別化(必要なものだけに絞る)
      Lキュービー、スタバ、サウスウェスト(安全は絶対)、カーブス、西松屋(接客しない)

    4、顧客の経済性
     ・トータルコストの低減、
     Lコマツ、カーシェアリン、ソニー損保(移動分のみ)、リブセンス(成約時に費用発生。お祝い金)、GE(固定費の変動費化) 
     
    5、バリューチェーンのバンドリング、アンバンドリング
     ・バンドリング
     Lコマツ、楽天バス、電通(広告制作)、wowow、スカパー、
     ・アンバンドリング
     L星野リゾート、セブン銀行(個人のみ)、チャールズシュワブ(仕入れ専門の証券会社)、IMS(医療データの提供とコンサルテーション)

    6、経営資源の持ち方(ヒト、モノ)
     ・ヒト
      属人性の排除
      Lブックオフ(買取の目利きを仕組み化)、劇団四季、スタジオアリス、スターマイカ、ガリバー
     ・モノ
      見える差別化、見えない差別化
      Lヤマハ、スーパーホテル、アマゾン(見える差別化:商品数、見えない差別化:クリスマス用サーバー、マーケットプレイスの活用)


    7、定番の収益モデル
    ①裁定取引
     価値が下がっているものを仕入れて、売る
     Lスターマイカ、ジープラン

    ②ポートフォリオ
     L映画の製作委員会
    ③リベニューマネジメント
     ダイナミックプライシング(変動価格設定)
     L楽天バス、FC東京
    ④ジレットモデル
     Lキャノン、エネレ、オフィスグリコ、
    ⑤ネットワーク効果
     Lフェイスブック、キンドル
    ⑥フリミアム
     Lスカイプ、エバーノート、ドロップボックス、ソフトバンクの無料通話、

    ■4章 ビジネスモデル変革の課題
    ①売上の一時的現象
     売り切らないモデルの特徴 メリデメ
    ②旧モデルへの固執
    ③静止画では似ていても・・
     電力と通信(電力会社が通信に参入したが失敗。スピードの違い。)
    ④組織の壁
     どの部門でどうやるか
    ⑤評価の壁
     ビジネスモデルに合わせた評価にできるか
    ⑥サプライチェーン、競合企業の反発
     Lエアドゥ
     ウィンウィン:スターマイカ、アップル(規模が小さくリスクが低いと判断された)
    ⑦ビジネスモデルクリエイタ
     どこに配置するか、専任or兼任、

    ■終わりに
    ・気づき→抽象化→移植
     
     旬を過ぎたサービス・製品を仕入れ、高回転で売り切る
     L青山フラワーマーケット、マタニティウェディング

    ・日本企業のビジネスモデルイノベーションの道
     1、サービスをテコに純正品を売る(コマツ、ブリジストン)
     2、ステークホルダーとのウィンウィン(スターマイカ、ガリバー)
     3、顧客価値と経済性の両立 トータルでのメリット(コマツ、ブリジストン)

  • それなりのリソースを持つ中堅企業や大企業の新規事業開発に役立つもので、全く新規の起業には参考になるかも、という内容。文字通り異業種で成功(収益化を達成)した事例を、別の事業に移植し成功した事例を調査したもの。異業種とはいえ金融と不動産、大型装置とオフィス機器などやはり類似点はある。そこに気付くかどうか。やはり移植が可能で儲かると気づいたヒトは大したものである。

  • ・ コマツでないと困る度合いを高めること
    ・ ブリヂストンとトータルパッケージプランを契約すれば、バスやトラック会社にとっては、
    「タイヤのことを考える必要がなくなる」という大きなメリットがある。
    ・ GEのサービス事業の発展ステップ
    ① 自社製品向けにサービスを提供。自社製ハードウェアの長期メンテナンス契約
    ② 周辺の基本サービスを製品に束ねた。ハードウェアのメンテナンスとスペアパーツ・メンテナンスをバンドルした
    ③ 競合企業のハードウェアに関してもメンテナンスサービスを始めた
    ④ GEが生産していないハードウェアに関してもサポートサービスを開始した
    ・ オフィスグリコのような考え方をすれば、消耗品で儲けるジレットモデルだけでなく、最初に廉価で製品や設備を導入し、その後本命の商品で利益を回収するというビジネスは、まだ無限に考えられるといえよう。
    ・ 無料版・廉価版の条件として①時間制限(利用可能時間が限られる)、②機能制限(廉価版は機能が限られる)③人数制限(一定数の人は無料)④顧客のタイプによる制限(例えば学生は無料)などを挙げている
    ・ 売り切らないモデル①景気の影響を受けにくい②顧客により近づける③顧客リストをアクティブに維持④ソフト・サービス事業の拡張⑤製品改良ノウハウの蓄積⑥バージョンアップが容易⑦中古市場のコントロールが可能

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著者プロフィール

早稲田大学教授

「2016年 『経営戦略[第3版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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