50いまの経済をつくったモノ

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532176440

作品紹介・あらすじ

◆避妊用ピルと法学部の女子学生の間の意外な関係性
◆室温28度のオフィスは、生産性が低い
◆パスポートがなければ、世界経済はもっと豊かに発展する
◆犂(すき)の発明のせいで、人間の身長は15センチ低い
◆バーコードの誕生が、シャッター商店街を増やした
◆蓄音機が貧富の格差を拡大させた
◆輸送用コンテナの発明が、日本の高度経済成長を後押しした
◆市民社会と私有財産制は、有刺鉄線が生み出した
◆もうひとつの発明がなければ、グーテンベルグの印刷機はゴミだった

新しいアイデアの誕生は、私たちの生活に予期せぬ影響をおよぼします。
経済の力関係のみならず、男と女の関係性も変わり、新しい勝ち組と負け組が生まれます。
FT紙の著名コラムニストが「粉ミルク」「電池」「カミソリ」といった身近なモノから、「S字トラップ」といったちょっと意外なモノまで、「50」のモノを軸に現代経済を解説します。

感想・レビュー・書評

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  • 220312 イノベーションうんちく集、秀逸 超見識
    天声人語に通じるものがあるがレベルが違う
    町の床屋談義と世界の教養、この差異はなんだ 英国の見識
    外岡秀俊さんに尋ねたかったところ
    1.生産性のパラドックス=イノベーションは経営改革
    ロバート・ソロー「コンピュータは生産性を改善していない」(1987)→経営改革・社会改革が必要(138)
    2.貨幣とは債務 信頼と交換のシステム 「情報」
    3.複式簿記と管理会計
    ①業績を測定②ベンチマーク活用③目標を設定
    ④計画を策定⑤遂行状況の管理
    ⇒組織のVISIONを実現するための道具
     不正対策 透明性と説明責任
    →マッキンゼー戦略経営コンサルタント
    4.有限責任株式会社
    巨額の資本調達 大航海時代 鉄道・鉄鋼・電力
    直接責任のない経営者には「不正の誘惑」
    →国家が損失を埋める時代 
    exリーマンショック 日本のバブル崩壊
    資本主義経済の宿命 ダウンサイドリスクの負担
    5.所有権オーナーシップ
    1978鄧小平アップサイドリターンを許容=疑似所有権
    収穫量は大増産 モチベーション!
    資産 所有している有用なモノ
    資本 金融システムが認識している資産
    ex不動産登記システム→Digital化 透明性とスピード
    6.保険システム 賭博か科学かビジネスか
    人数 殺人 戦争の英雄 

  • マット・リグレーの「繁栄」の冒頭で50万年前のハンドアックスと現代のコードレスマウスの写真を並べていたことを思い出しました。そこで人類の進化は交易を通じて一人じゃ出来ないことを積み重ねて成し遂げられてきたことを語っていました。この本の50のテップス(?)も人と人の交わりを活性化させるモノが多かったような気がします。本書で語られるのはモノそのものじゃなくて、そのモノが作り出した暮らしとか社会システムとかについてです。そして、そのそれぞれはお互いに絡み合いながら、現在に至るイノベーションの歴史を作っていくのです。取り上げられているトピックを備忘的にメモすると、蓄音機、有刺鉄線、セラーフィードバック、グーグル検索、パスポート、ロボット、福祉国家、育児用粉ミルク、冷凍食品、ピル、ビデオゲーム、マーケットリサーチ、空調、デパート、発電機、輸送用コンテナ、バーコード、コールドチェーン、取引できる債務とタリースティック、ビリーブックケース、エレベーター、楔形文字、公開鍵暗号方式、複式簿記、有限責任株式会社、経営コンサルティング、知的財産、コンパイラ、iPhone、ディーゼルエンジン、時計、ハーバー=ボッシュ法、レーダー、電池、プラスティック、銀行、カミソリと替え刃、タックスヘイブン、有鉛ガソリン、農業用抗生物質、モバイル送金、不動産登記、紙、インデックス・ファンド、S字トラップ、紙幣、コンクリート、保険、そして電球。この50のありとあらゆる雑多な事象がいかに経済というものを作り上げてきたのか、経済史というのはイノベーション史であり、人類の生活史なんだな、と感じました。そして、いまグローバルに蔓延するポピュリズムと言われるものはグローバル時代、デジタル時代の「ラッダイト運動」なんだ、と思い知りました。だから、これは過去の話じゃなくて現在進行形の話なんですよね。作者のスパイスもキリリと効いていて気軽な読み物ですが、考えさせることは大。スティーブン・ジョンソンの「世界をつくった6つの革命の物語」の経済版でもあります。

  • 何かで見つけて借りて見た本。
    なかなか深い背景や意味合いを語ってくれていて興味深い。個人的には今の技術の革命性を裏付けてくれるファクトといった印象をもった。

    メモ
    ・技術によるルールの変化。蓄音機によるスーパースター経済など。、

  • 初めて耳にする発明家・考案者の名前がたくさん登場するので、ついつい調べたりしながら読んでいたら読了まで1週間近くかかっていました。

    その分読み応え・満足感はひとしお。

    何か画期的なモノが生まれる背景には、それで得する人がいれば損する人もいて、また大発明が必ずしもハッピーな結果をもたらして進歩を促すという訳ではなく、時間が経ってから思わぬ所でデメリットが起こって、またその問題を解決する新たなモノが生まれて……と、世の中は複雑怪奇に絡まり合って成り立っているのだなと、当たり前のことに気付く。

    その絡まり合いの中でも皺が寄っていたりきちんと編めていない部分を敏感に察知してほどく行動に移せるかどうか。

    何となく日々に活かせそうな気がする。


    1刷
    2021.5.12

  • あたり前のように僕らの世界を作っている、モノの最初ころの物語です。エレベーター、コンサルティング会社、保険などはどのようにできたのか、興味深く、また面白く描写されています。私たちの世界はこのような人たちの努力によって日々進歩して、その組み合わせで進化してきました。私が知っていることはほとんどありませんでした。とても勉強になる一冊でした。

  • タイトル通り、今の経済を作った50のモノに焦点を当てて説明した本。
    50のモノの挙げ方が絶妙で、しかも、プラスの面だけでなく、マイナスの面にも触れており、興味深く読むことができました。

    著者は経済学者だそうですが、他にも面白そうな本を出しているようなので、そちらも読んでみたいと思います。

  • 銃、病原菌、鉄やコンテナなど地味なものが歴史上重要だったらしいがそれの総まとめ的な本
    派手じゃないけど人類に影響が強かったもの50を解き明かす本
    イノベーションで目新しい技術にばかり目が行く、技術を知らない経営層(笑)の人に読んでほしいけど読まないだろうから若い奴ら読もうぜ

  • 図書館がおくる、「クラブ・サークル向けおすすめ図書」

    クラブ・サークル名 地域活性化団体Mingel

    請求記号:507.1/Ha
    所蔵館 2号館図書館

  • 原題は、"Fifty Things that Made the Modern Economy"。
    いまの経済をつくったモノを、著者Tim Harfordの判断で50個取り上げて論じている。

    「第1章 プラウ」p.8に註の形で「この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた (河出文庫)、ルイス・ダートネル、河出書房新社、2018/09/06」への言及がある。なお、プラウ(plough)とは、「牛馬・トラクターなどに引かせて用いる犂・鋤(すき)」のこと。

    「この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた」が現代文明再興の手順書であるのに対し、「50(フィフティ)」は「いまの経済をつくったモノ」を50個(具体的には下記の目次を参照)取り上げている。

    [目次]
    1 プラウ
    はじめに

    I 勝者と敗者
    2 蓄音機
    3 有刺鉄線
    4 セラーフィードバック
    5 グーグル検索
    6 パスポート
    7 ロボット
    8 福祉国家

    II 暮らし方を一変させる
    9 育児用粉ミルク
    10 冷凍食品
    11 ピル
    12 ビデオゲーム
    13 マーケットリサーチ
    14 空調
    15 デパート

    III 新しいシステムを発明する
    16 発電機
    17 輸送用コンテナ
    18 バーコード
    19 コールドチェーン
    20 取引できる債務とタリースティック
    21 ビリーブックケース
    22 エレベーター

    IV アイデアに関するアイデア
    23 楔形文字
    24 公開鍵暗号方式
    25 複式簿記
    26 有限責任株式会社
    27 経営コンサルティング
    28 知的財産
    29 コンパイラ

    V 発明はどこからやってくるのか
    30 iPhone
    31 ディーゼルエンジン
    32 時計
    33 ハーバー=ボッシュ法
    34 レーダー
    35 電池
    36 プラスチック

    VI 見える手
    37 銀行
    38 カミソリと替え刃
    39 タックスヘイブン
    40 有鉛ガソリン
    41 農業用抗生物質
    42 モバイル送金
    43 不動産登記

    VII 「車輪」を発明する
    44 紙
    45 インデックス・ファンド
    46 S字トラップ
    47 紙幣
    48 コンクリート
    49 保険

    結び 経済の未来
    エピローグ
    50 電球
    --目次はここまで--

    「II 暮らし方を一変させる - 11 ピル」が、日本ではそれほど普及していない点が、(女性の活躍という点で)残念。

    9 育児用粉ミルク、10 冷凍食品、11 ピル、14 空調、15 デパート、17 輸送用コンテナ、19 コールドチェーン、21 (IKEAの)ビリーブックケースなど、広い意味で女性の社会進出に繋がるものが、意外に多い。

  • 一気読み。
    著者の「はじめに」にもあるが、グーテンベルクだの車輪だのの「お約束」は排し(といって、それらを軽視しているわけでないことにもきちんと言及)、独自の、かつたいへん面白い観点からのチョイスを実現している。
    さらに特筆すべきが、文章のすばらしさ。おまけに訳文も良い。かの傑作「アシモフの雑学コレクション」(訳:星新一)の新世紀版とも呼ぶべき良著である。

    そして何より声を大にして言いたい、女性差別を許さない著者の姿勢が光る。
    「日本は先進国で最も男女格差が大きい国として知られる」と明言され、すっかり麻痺させられた私たちには当たり前のあれこれが、(きっと欧米先進諸氏には)「信じがたい光景」として白日のもとに晒される。女性が半世紀もピルから遠ざけられてきた一方、バイアグラは光速認可されたことなども、きっちり暴露されている。
    あまりに恥ずかしく情けない現実だが、外圧によってしか改善されない「後進国」だから、それもいたしかたないのだろう。
    男のせいで、自国に誇りを持つこともできない。日本女性は何重にも加害されているのである。

    2019/4/15読了

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著者プロフィール

フィナンシャル・タイムズ紙シニアコラムニスト。
フィナンシャル・タイムズ紙で長年にわたりコラム「The Undercover Economist」を連載。2006年~2009年にはフィナンシャル・タイムズ紙にて編集委員を務めた。シェルや世界銀行での勤務経験もある。2011年~2017年、英国王立経済学会評議員。英国王立統計学会の名誉フェロー。オックスフォード大学ナフィールド・カレッジの客員フェロー。現在はオックスフォード在住。

「2022年 『統計で騙されない10の方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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