ミステリ国の人々

著者 :
  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532176174

作品紹介・あらすじ

ミステリ小説という「国」には作家が造形した様々な「人々」が住んでいる。誰もが知る名探偵、事件の鍵を握る意外な人物、憎めない脇役、不可解だけれど目が離せない人……そんな人たちを通して、ミステリを読むおもしろさが何倍にも膨らむ「ツボ」を刺激してくれる、ミステリファン垂涎、読まず嫌いの小説ファンには目からウロコのエッセイ集。

ホームズ、ルパン、エラリー、金田一耕助という直球もあれば、明智小五郎の妻・文代といった変化球も織り交ぜつつ、本格ミステリの古典とされる『グリーン家殺人事件』やジョン・ディクスン・カーの密室モノ、ハードボイルドではロス・マクドナルド、ミステリの日本三大奇書とされる『ドグラ・マグラ』『黒死館殺人事件』『虚無への供物』まで目配りをきかせた人選は、格好のミステリ国へのパスポートになっている。

本書の最大の魅力は、古今東西の名編に、「有栖川有栖」がどのような読書体験を得られたかという個人的な経験が色濃く反映されていること。当然そこには作家だからこそ影響を受けた人物造形やトリックといった"栄養分"も含まれており、著者のファンはもとよりミステリファンにはたまらないエピソードばかりである。エッセイ集とはいえ1話読み切りスタイルでは必ずしもなく、取り上げたそれぞれの作品と登場人物が相互に響き合う連関性を保ち、読み進めていくうちにいつの間にか読者は、作品や登場人物を離れた「ミステリ国」そのものの奥深さに引き込まれていくだろう。作家ならではの読みが冴える待望のミステリガイド!

感想・レビュー・書評

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  • 古今東西のミステリーに出てくる探偵、怪人、刑事、ワトソン役、犯人について語ることを切り口に、ミステリーの面白さやあれこれを、著者の思うがままに述べたもの。結構古い作品が多いので、知らない人物がたくさん出てくるが、それでもその人物像が生き生きと伝わって来る。有栖川有栖さん、小説よりエッセイの方が上手じゃないの、と思うくらい。52人が紹介されている。泡坂妻夫の探偵亜愛一郎が出てきたので、ほほう有栖川さん、ちゃんと分かってるじゃないの、と偉そうにもつぶやいてしまいました。

  • ミステリ小説の住んでいる人々を有栖川先生が紹介してくれるエッセイ。この有名人は知ってるぞ!って人から誰だこれ初めて聞くが興味湧くな?って人から盛り沢山。そして読みたいリストが更に更新されていく……。にしても古今東西あらゆるミステリ読んでるんやなすご

  • 新聞に連載されていた、有栖川先生のミステリへのいざない。それも、(探偵役に限らず)登場人物を紹介するという手法がまたぐっとくる。
    これがどれも滅法面白くて、紹介されている未読作品はどれも読みたくなってしまうし、既読作品はにやにやしながらその通りと頷きたくなってしまう。

  • 全く、作品も探偵も作家も知らないのがあったのが収穫〜
    (41)ロバート・ファン・ヒューリックのディー判事。なんと、唐代の判事で、中国の公案小説を、オランダの外交官が仕立て直したシリーズだそう。長編14冊と短編集2冊。最近すべてポケミスに入ったらしい。やったー。
    ジーヴズシリーズを「ミステリではない」と言い切ってて気持ちよかった。
    あと、グリコ森永事件の〈かい人21面相〉について、「怪人二十面相は地方遠征しない」との噛みつきが、何だかズレてて可笑しい。

  • 有栖川有栖によるミステリのガイドブック。日経に連載されたものを再編集。敢えて、シャーロックホームズを二番目に、最後にアガサクリスティーをもってきているのが印象的。有栖川有栖が、小さい頃からミステリに傾倒していく過程が少し見えて、自身もハマった推理小説の昔が蘇る。そんな構成になっている。ポワロ、ホームズはもちろん、名作そして誰もいなくなったの衝撃。明智小五郎などなど愛すべき孤高のキャラクター。
    今となっては、人生の娯楽の一つだよなと思う。ストーリーとプロッティング、文章でミスリードしていく技法は、小説の中でももっとも構えた読者との戦いのよう。有栖川作品のファンでもあるので、ルーツが名探偵にあったりするのも始めてわかった。
    忙しいと、つい本から離れてしまいそうだけど、またコーヒーと一緒にミステリを、なんて気持ちになるね。

  • 表紙のデザインが目を引いたので、手に取った。
    やっぱり、ミステリを書く人は、古今東西、様々なミステリを読んでるなー……。

  • エッセイ仕立てになっているミステリ・ガイドブック。
    日本経済新聞に連載されていた為に、ミステリファン以外の読者にも理解して貰える様な掘り下げ方になっていて、ミステリ好きの当方としては「そこまで説明するのか」という歯痒さもあったが、有栖川さんファンなので書かれた物は全部認めたい。亜愛一郎シリーズの隠れキャラの話など、実に面白かった。
    欲を言えば本格ミステリの作家と作品だけに絞って貰いたかったが、新聞連載だと偏れないのだろうな。ミステリ雑誌の連載とはやはり違うね。

  • 別にそうしようと決めている訳ではないのだけれど、僕は物故作家の本はほとんど読まない。特にミステリだとよほど名作とされているもの以外にはなかなか手を伸ばせないで来た(現代のを読むのでいっぱいいっぱいなのだ)。しかしこの本で紹介される「ミステリ国の人々」は皆物故作家によるものばかり。読んだことのある人もいたし、名前を聞いたこともないような人もいた。ミステリは伝統芸能なので、やっぱり過去の作品もしっかり抑えておかないとなんだよなあ……と感じた。

  • 有栖川有栖が日経新聞に連載していたミステリーのコラム。古今東西のミステリーのに登場する主役たちと、そのミステリーについて語る。
    私自身は、日本のミステリー、特に時代物の謎解きは読まないが、書名や登場人物くらいは知っているものばかり。翻訳物は、高校から大学にかけて読み漁っていた頃の作品が多数取り上げられていて、楽しかった。

  • 全部が分かる訳ではないが、ほとんどが昔読んだものばっかし。懐かしい~ そして、改めて読み直したくなった。切りがなさそう・・・

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。同志社大学法学部卒業。89年「月光ゲーム」でデビュー。「マレー鉄道の謎」で日本推理作家協会賞を受賞。「本格ミステリ作家クラブ」初代会長。著書に「暗い宿」「ジュリエットの悲鳴」「朱色の研究」「絶叫城殺人事件」など多数。

「2023年 『濱地健三郎の幽たる事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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