THE PIVOTアメリカのアジア・シフト

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532176136

作品紹介・あらすじ

○トランプ政権でもアジアの戦略的な重要性に変わりはない。今後のアメリカとアジアとの関係を経済・外交・安全保障など、多様な観点から展望するための必読書。

○世界の人口の半分を占め、世界の成長センターであるアジアこそ、21世紀の世界でもっとも重要な地域となる。だが、興隆するアジアはまた、覇権による支配と勢力均衡とのせめぎあい、北朝鮮問題、海洋領有権問題、通商問題など多様で深刻な問題が錯綜する地域でもある。アジアはアメリカの将来、世界の未来を左右する最大の要素となる。だからこそ、アジアへの戦略的なシフト、ピボット(旋回)は歴史的必然である。日本、中国、インドなど世界の経済大国が集中するアジアにどう関わるべきなのか、その旋回を成功させるには何が必要なのか――。

○ワシントンで有力な戦略・投資のアドバイザー会社、アジア・グループを主宰し、アメリカのアジア外交に影響力をもつ専門家が、アジアへの旋回政策の歴史的背景、外交・軍事・安全保障、通商、経済開発などの分野にわたり、アメリカが今後、どのような考え方、アプローチで日本をはじめとするアジアに関与していくのかを具体的に描き出す。

○伝統的なアジア軽視政策の刷新、アジアへのピボット(旋回)、覇権国による支配の排除、勢力均衡の実現、同盟全体の強化、興隆する中国の方向付け、域内協力関係の強化、開放的で自由な通商、多国間強調の重視、軍事能力の強化と多様化、人的なつながりの強化。ヨーロッパをアジア政策に巻き込むことなどを具体的に論じる。

感想・レビュー・書評

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  •  原書は2016年刊。500頁近いが、良い意味で突飛さや意外性がなく、すっと頭に入る。米国の対外政策でアジアは最重視されるべき、ピボットは正しく、関与を続けるべきだ、との本書のメッセージは明快だ。それも、伝統的な二国間に加えて多国間関係とルールに基づき。
     個別の国に関する記述では中国関係が最も多い。「中国の夢」のような思考や南シナ海での活動などを批判すると同時に、封じ込めではない協調の必要性も述べる。関与の姿勢と警戒の誇示との間の釣り合い、という表現もある。政治参加や航行の自由といった価値とそれらを中国に理解させることの重要性は記述されているが、本書全体としては価値観外交が全面に出ている感じは受けない。ただ刊行から4年、著者のみならず米国一般の対中観は変わっているのだろうか。
     19世紀以降の米のアジア政策の経緯、朝鮮半島などの紛争の種、なども含めアジア側にとっては今更の内容だが、本書の対象が必ずしもアジア専門家ではない米国の読者、ということを認識する必要があるだろう。本書でも、米国でのアジアへの理解やアジア人材の不足を指摘している。
     アジア政策では担当者の集団が小さく、また根幹的な課題は民主・共和両党の国際主義勢力に支持されているため、党派間の違いは小さいとある。ブッシュ政権時からの転換は述べられているが、それは党派性のためというより、ブッシュ政権が中東に忙殺されていたためだろうか。
     なお、漢字表記や丁寧な訳注(天安門事件の解説の注はさすがに不要だったと思うが)、読みやすい文章など、翻訳も良かったと思う。

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