探求-エネルギーの世紀 上 普及版

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (508ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784532169534

作品紹介・あらすじ

エネルギー問題の世界的権威で、ピュリツァー賞受賞作の大ベストセラー『石油の世紀』で知られるダニエル・ヤーギンが、福島第一原発事故後の「エネルギーの未来」を描いた超話題作!現代のエネルギー・システムは、どう発展してきたのだろうか?そして未来はどうなるのか?私たちが完全に依存して生活する「エネルギー」の探求についての物語であり、現代人の必読書である。

感想・レビュー・書評

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  • エネルギーから歴史や外交、軍事を切る。アメリカの天然ガスの4分の1がシェールガス、世界の石油の3分の1が海洋採掘。先ずは基本知識を頭に入れる。例えば、中国政府の一部戦略家は、中国が世界の石油市場に依存している事を不安視。石油市場は中国に不利に作られていて、アメリカの影響力が過度に大きい。台湾問題が加熱すれば、アメリカは中国の石油海上輸送を遮断。生命線を断ち切る。アメリカと中国の事情も見えて来る。

    中国には膨大な石炭。石油と水力を含めると80パーセントを自給自足。しかし、今は世界最大の石炭輸入国。対して、日本は世界最大のLNG輸入国で総生産の3分の1を消費。LNG価格はほとんど原油価格に連動。アメリカはシェールガスもオイルもあり、中国の見立て通り、エネルギー覇権を得ている以上、カーボンニュートラルには乗って来ないのだろう。

    電気や軍事に燃料を用いる以前には、最早、不可逆的に戻り得ない。行き着き所まで、衝突せぬように。願わくばこのレースの終着点が、消耗戦ではなく、計測不要なユートピアである事を。

  • 石油、天然ガス等のエネルギーをめぐる世界各国の動向を綴った歴史書的な内容。
    正直あまり興味がないので読みたいところだけさっさと読んで終わりました

  • ケインズに代表される国家による経済統制とハイエクに代表される自由市場によるガバナンスという2つの経済思想の相克として20世紀の世界史のパースペクティブを華麗に描き出したダニエル・ヤーギンの「市場対国家」は、自身の読書体験の中でも色あせない記憶として強く印象に残っている。

    さて、本書はもともとエネルギー問題の世界的権威であるダニエル・ヤーギンによるエネルギーを軸とした近現代史の傑作である。

    本書では、
    ・新興国を中心に成長する世界の需要を満たすエネルギーが今後もまかなわれるのか?まかなわれるとしたら、どのようなコスト・テクノロジーが用いられるか?
    ・世界が依存する石油、天然ガス等のエネルギー源調達の安全保障はどのように護られるのか?
    ・気候変動などの環境問題への懸念は、エネルギーの未来にどのような影響を及ぼし、エネルギー開発は環境にどのように影響するのか?
    という3つの主要論点に対する明快なパースペクティブを得ることができる。
    上下巻1,000ページの大著でありながら、これだけの内容が3,000円で知ることができるという点に、驚きを禁じ得ない。何よりも面白いのは、我々が既知のものとしてきた近現代史が、エネルギーという補助線を引くことで、よりシャープなものとして深い理解をすることができるからである。その点で、「市場対国家」同様にヤーギンは優れた歴史家である、と断言できる。

    エネルギー問題に直接の関心があろうとなかろうと、これ1冊でたいていのエネルギー問題に関する論点や歴史を押さえることができる名作。

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著者プロフィール

ダニエル・ヤーギン
IHSマークイット副会長
「米国で最も影響力のあるエネルギー問題の専門家」(『ニューヨーク・タイムズ』紙)、「エネルギーとその影響に関する研究の第一人者」(『フォーチュン』誌)と評される。ピューリッツァー賞受賞者。ベストセラー著者。著書に『石油の世紀――支配者たちの興亡』、『探求――エネルギーの世紀』、『砕かれた平和――冷戦の起源(Shattered Peace: The Origins of the Cold War)』、共著に『市場対国家――世界を作り変える歴史的攻防』がある。世界的な情報調査会社、IHSマークイットの副会長を務める。


「2022年 『新しい世界の資源地図』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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