本気で稼ぐ! これからの農業ビジネス (DO BOOKS)

著者 :
  • 同文館出版
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784495592110

作品紹介・あらすじ

儲ける農業は自分で作って自分で売る!500の農家に「稼ぎ力」をつけたコンサルタントによる新しい農業ビジネスのかたち。

感想・レビュー・書評

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  • 農業で所得1000万円を稼ぐためのビジネスノウハウを学べる…はずだった本。

    評者は、一章を読んだ際、非常にワクワクさせられた。「年収1000万円農家」、「一大輸出産業としての農業」、「小学生のなりたい職業ナンバーワン」、などといった、起業家らしい、非常に明瞭な将来ビジョンが、非常に強気な調子で掲げられる。第二章は、これらのビジョンがなぜ、現在実現されていないかが、小気味良くズバズバと説明されていく。趣味を兼ねているため採算度外視で、流通を他者に任せっきりで自分の客を知らない兼業農家と、その構造を維持したい農協の双依存体制が明確に批判される。では、この現状をどのように打破すれば良いのか。冒頭20ページの掴みはバッチリ。期待に血沸き肉踊った。

    が、その興奮は第三章以降、みるみるしぼんでいくことになる。著者が推奨するのは、「顔の見える相手に、自分自身で販売する、中規模流通」である。すなわち、各種小売店や、外食・中食事業者に、直接商品を届ける。これ自体は大変に結構なことであるが、問題はそれを実現するノウハウの部分である。まず、新規性が全くない。これは、本書の、節レベルの目次を見れば良く分かる。基本的に、各節とも、その内容に、節のタイトルに含まれる以上の情報はないため、本書評の読者が、本書のタイトルを見て特に新規性を見いだせなかった場合、内容を読んでも、やはり新規性はないと、判断されて差し支えない。少なくとも評者にとっては、新規性のあるものは何もなかった。

    さて、仮に、一部農業従事者が本書に記載されている「ノウハウ」を実施して、本当に稼いでいるのだとすれば、それは他の者達がこれらの「ノウハウ」を知らなかったり、あるいは実施を考えていなかったりするが故ではなく、単に実施するのが難しいからであろう。すなわち、Strategic positioningに妙味があるわけではなく、Operational Excellencyが高いのである。当たり前のことを愚直に積み上げていった結果、オペレーションの効率性が非常に高まったが故に、儲けているのだと思われる。

    それを理解した上で本書を振り返ると、なぜ、本書が実に薄っぺらく感じられるのか、よく分かる。本書の著者は、本書が勧める「中規模流通」を行う上でのアキレス腱となる、販売流通の代行・コンサルティングを生業としている。すなわち、自身の理論を、生産者として自身で用いて、稼いでいるわけではない。よって当然、生産者としてその理論を用いて成功するために必須となるOrganiational competencyを、語れるわけはない。結局のところ、著者は、自身の理論のKSFを、自ら語れず、実際、本書では何も語っていないのである。そのため、いくら言葉を並べ立てても、上滑りするばかりで、本質的なものは何も感じられない。

    尚、上記から、本書は、著者自身の事業の宣伝も兼ねていると言って良いだろう。ただ、それ自体は、自身の事業が意義深いものであると信じている限りにおいて、いかがわしいことだとは思わない。

    自ら実践しているわけではない営みを、概念的に説明すると、いくら言葉を尽くしても上滑りしてしまい、典型的なコンサル的言説になってしまう、という見本のような本。昔はコンサルであった評者の自戒の念も込めて、☆2つ。

  • 中規模、1000万、広報活動で自ら流通商談とイメージがついた。

  • 分かったような分からないような・・・期待してたのに!

  • 若き農業専門経営コンサルタントが,ビジネスとして農業に取り組む際の方向性について提案している。

    その方向性とは,JAや市場のような大規模流通でも,直売所やネット通販のような小規模流通でもない,「中規模流通」とのこと。
    具体的には,生協,ローカルスーパー,業務・加工用・・・くらいは知っていたが,通販業者との連携,全国の直売所,都会の直売所,ノベルティとしての活用etc も記載されていて,「なるほどー,工夫の余地はまだまだあるのだなー」と感心した。

    商品提案書を作れとか,スペシャリティーを目指せとか,ネーミングが大切とか具体的・実践的な提案が書かれているし,果樹農家は小規模経営向きとか,宅配業者利用はコストが合わないとか,随所に「なるほど」があったし,たいへん有益な本だった。

  • いかにして農業に付加価値をつけるか?という課題に対して
    「中規模流通」という提案をしている。

    1.地域の生産者が連携し、ノウハウ共有・原価管理を実施することで、生産性の向上、安定供給、ブランド構築を図る
    2.既存大型流通網と一線を画した販路を開拓し、高い価格で、強気に売る
    3.六次産業化による付加価値向上を図る

    「儲ける」ということに関して比較的疎く、
    さらにTPP解禁で戦々恐々としている国内第一次産業にあって、
    ビジネスチャンスは転がっている、、、はず。

    既得権益の存在と、閉鎖的な社会性、偏った年齢構成などなど、
    問題は多いが。。。

  •  著者は、農業コンサルタント(株)クロスエイジ社長の藤野直人氏。
     農業は「一次産業」であるが、二次・三次産業と異なり、「売れるものをつつくる」という視点が弱い。本書では、この状態から脱却し、どうすれば農家が儲かるのかという処方箋を示している。
     「儲かる農業の仕組みづくり」のキーワードは、「中規模流通」。これは、農協・生花市場を通じて全国に供給する「大規模流通」、農産物直売所やインターネットで販売する「小規模流通」の中間に位置するもので、顧客とのコミュニケーションを取りつつ、適量を出荷し、適切な対価を得るためのアプローチであるという。
     国では、「農商工連携」、「六次産業化」を進めている。これまで保護された農業から脱皮し、一つの産業となる「強い農業」が求められる。

  • 地域で組織化し、中規模農業として稼いでいこうというもの。どちらかというと組織化よりも、個人農家でどう折り合いつけながらうまく食っていくか知りたかった・・・。

  • 農業にビジネスチャンスはあるのか?農業がビジネスとして成立するには(稼げるようにするには)どうしたらよいのか?
    著者は、生産量にふさわしい量を出荷し、こだわりが正当に評価され、ふさわしい対価を得るとのできる「中規模流通」に挑戦し、これに対応するための商品作りや供給体制の確立を勧めている。
    ・採算度外視の農家(兼業農家など)と同じ土俵で戦ってはいけない。
    ・生産者情報等により「ものがたり(ストーリー)」を持たせ、ブランディングする。
    ・農産物を扱う側が求めていることは、取引ではなく、取り組みのできる相手。個人ではなく組織としてのノウハウの積み重ねや改善が可能あり出来ること。
    ・消費者が食費に使うお金のうち八割が調理済み品に費やされている。もはや食材を購入して料理して食べる行為は過去のものとなりつつある。
    ・商品=製品+コミュニケーション。ブランド力の源となっているのはコミュニケーションが生み出してる価値。
    など、興味深い項目も多々あったが、これらをどのように組み立てて「仕組み」として確立していくのか?の一番のポイントが「有能なコーディネーターが不可欠」の一言で終わり。何となく尻切れとんぼな感じでした。

  • 農業にも経営戦略が必要だということが良くわかった。
    実例も多くて読みやすかった。

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著者プロフィール

株式会社クロスエイジ代表取締役、農業総合プロデューサー
1981年生まれ、奈良県生まれ台湾育ち。大学在学中にインターンシップで農業分野と出会い、農業の多くの問題やさまざまな課題を知る。農業が産業として成立する仕組みを世の中に作るべく、九州大学卒業の翌年、社会起業家として2005年に起業。明確なビジョンで夢を実現する、タフでアツいマインドを持つ。

「2019年 『これからの農業は組織で勝つ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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