デザイン、アート、イノベーション -経営学から見たデザイン思考、デザイン・ドリブン・イノベーション、アート思考、デザイン態度-

著者 :
  • 同文舘出版
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784495390372

作品紹介・あらすじ

新たなイノベーションを起こすカギとされる、「デザイン」や「アート」をベースにした考え方とは? 主要な4つの概念の意義を明らかにし、経営学の視点から改めて整理・考察する。

感想・レビュー・書評

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  • デザイン思考、アート思考について詳細に書かれている本。薄い本にはなっているが、細かい引用なども多々あり、この本をトリガーに多くの知見に触れられるため、最初の1冊としても良いと感じます。
    デザイン思考について学んだ人にもおすすめかと思います。

  • 借りたもの。
    昨今話題の、MBAとは対概念?のような、感性に重きを置き理性・論理的思考で導き出せなかった潜在的な需要や新しい発想・イノベーションを導き出す思考法である、「デザイン思考」「デザイン・ドリブン・イノベーション(DDI)」「アート思考」「デザイン態度」という考え方について、それぞれのオリジナリティ(アプローチの違い)や方法論の違いをまとめた、比較検証論文のような一冊。
    ビジネス書、ハウツー本とは異なる。

    各々のアプローチについての批判につても紹介・検証している。その指摘は妥当か等を検証している。
    批判を見ると、著者はそれらが論点が異なっていたり、前提条件が間違っている(間違いやすい/誤解を招きやすい)ことにも気づく。
    4つのアプローチは似て非なるものであり、本書によると主義範囲が異なる。

    デザイン思考 … You(あなた視点) / ユーザーにとっての有用性の探求。有用性がないもの、課題すら存在しない未知のものは不得意。プロトタイプを活用した試行錯誤型の問題解決。「0→1」型のイノベーション。
    DDI … People(人々。三人称複数) / 社会で共有されてきた意味の革新。有用性の探求、未知のものに意味をあたえることは不得意。意味への注目、解釈者の活用。「0→1」型のイノベーション。
    アート思考 … I(私視点) / 未知なるもの(非有用なものや非現実的なものを含む)の創出。自分モードの問題提起。「1→10」や「1→100」型のイノベーション。
    デザイン態度 … デザインのプロフェッショナル集団が持つ組織文化。不確実性や曖昧性を積極的に受け入れる。深い共感に従う、五感を駆使する、遊び心を持って物事に取り組む、複雑なことにも意欲的に取り込む。

    一種の哲学ないし思考法の研究本のようだった。
    では、どういったケースでこれら4つのアプローチを使い分けるべきか……それについては一切かかれていない。
    4つのアプローチの違いを知る点でもまた面白いし、方法論としてまだ発展途上(そもそもロジックじゃないから画一的な紋切り型ができない)であることを意識させられる。

  • 2018年5月23日に経産省が「『デザイン経営』宣言」という報告書を発表して、企業の競争力の方向性としての「デザイン」が光が当たってきました。2002年のトム・ケリーの「発想する会社!」で「デザイン思考」という言葉に出会って以来、いよいよ、って気もするし、やっと、という気もします。長年のIDEOファンとしては、デザインから始まるイノベーションがなかなか日本の社会で広まらないのに、じりじりしてたのです。その流れの中での本書。経営学から見たデザイン思考、デザイン・ドリブン・イノベーション、アート思考、デザイン態度について分析をする、という全くの学術サイドからのアプローチです。IDEO派としては、その四つの違いも正直、わかっていなかったので、きっちり説明してもらってよかった、というスッキリ感と、その差違の指摘って意味あるんだっけ、というモヤモヤ感の双方が読了直後の感想です。でも、とても論理的にに「ポスト論理思考」を論じているので、そうなりますよね。シンプルな整理してある分、リアルで消化できない部分もあり、これから何回か繰り返して読まなくちゃいけない本、かも…

  • 「デザイン思考」「デザイン・ドリブン・イノベーション」「アート思考」および「デザイン態度」という各テーマについて解説。
    それぞれが本来どういう意図を持っているのか、どういう考慮をして適用していかないといけないのか等、かなり勉強になりました。

    体裁はお堅いですが、苦手な人も頑張って読んでみる価値はある本かなと思いました。

  • デザイン思考やデザインドリブンイノベーション、スペキュラティブデザインなどの概念が乱立し、それが曖昧模糊とする中、丹念に文献レビューを重ねて、既存の経営学の研究との橋渡しをしている本書はデザインをめぐる上記の課題を明瞭に解決してくれる

  • 読み始めたらおもしろくて止まらず一気読み。著者は京都産業大学経営学部 森永泰史 教授、神戸大学大学院博士課程修了、博士(経営学)、研究テーマは「デザインと企業経営」。
    (引用)「本書の目的は,文献レビューを通じて,デザイン思考,デザイン・ドリブン・イノベーション,アート思考,デザイン態度の4つの概念の経営学的意義と,概念間の関係性を明らかにすることである。」
    4つの概念を経営学の観点から学術的に吟味して(時に斬って)いく様がすばらしかった。ビジネス書ではないので読むには(経営学の)論文のリテラシーがある程度必要。あくまでも文献レビュー(論文や著書)に基づいた論考であることに注意。

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著者プロフィール

森永 泰史
京都産業大学教授 博士(経営学)

「2021年 『イノベーション入門 基礎から実践まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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