ちいさな宇宙の扉のまえで: 続・糸子の体重計

著者 :
  • 童心社
4.18
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本棚登録 : 192
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784494020775

作品紹介・あらすじ

細川糸子と同級生の、町田良子、坂巻まみ、滝島径介。そして、転校生の日野恵。この5人の視点で語られる、5つの物語。

6年1組・細川糸子。がさつで粗雑と言われるが、そのまっすぐな言葉は、かかわる人に時に大きな影響を与えることを、当の本人は知るよしもない。おいしいものを食べることが生きがい。

糸子が盲腸で入院している間に転校してきた日野恵。糸子との距離をグイグイつめて親友であろうとするが、糸子にはその真意がはかりかね、消耗するばかり……。転校すればリセットできる。新しい自分になれる、そう思っていたけど、わたしはニセモノの仮面をかぶっていただけ。そんなわたしに本当の友だちなんてできるはずがない。

町田良子。才色兼備でクールな一面の裏で、糸子との出会いによって、他者とかかわる心地よさに気づき、あるべき自分を探し求める。思いはことばにしなきゃ伝わらない。わたしもいつかきっと。

坂巻まみ。町田良子に憧れる気持ちの真ん中にある、自分自身の感情に気づき、疑い、うろたえて、やはりそうなんだと自覚し向き合う。いまはまだこの思いを言葉にして伝えることはしない。でもいつか、自分自身を好きになれたらそのときは。

滝島径介。母は深夜までスナックで働いている。アパートでふたり暮らしの生活。思いがすれちがう日々。話をしよう。母さんの気持ちを聞いて。オレの思いを伝えて。母さんに大事なことをあきらめてほしくない。オレもオレが幸せになることをあきらめたりなんてしない。ちょっと図々しくなればいい。だいじょうぶ。

前作『糸子の体重計』では5年生だった子どもたちは、6年生になった。
相変わらず、小さなことでいじけて、羨んで、けんかして。
うじうじ悩んで、転んだりへたりこんだり、だれかのせいにしたり、逃げたり。
そして迎える、卒業式。

感想・レビュー・書評

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  • 『糸子の体重計』の続編。
    6年生になった彼らは少しずつ成長して、自分自身がどうあるべきか、本当の友達とはどういうものなのか、より複雑になった心のモヤモヤを抱えながら毎日を過ごしている。
    そんな中、細川糸子が変わらない明るさと食欲なのが微笑ましい

  • 糸子の体重計の続編。前回に引き続き魅力的な登場人物に加え、つきまとう新キャラ日野さんもよかった。子どもたちの日常ってドラマティックだったなと思い出させてくれる。

  • 変わらないメンバーに一人転入生が入る。糸子は変わらずストレートな良いキャラだった。転入生は傍目から見ると嫌な感じで糸子の親友になろうとしてくる。でも、章ごとに語り変わり、嫌なヤツからの目線が考えさせられるのがこのシリーズの良いところ。
    糸子の体重計が良かった人はぜひ読んで欲しい続刊です。小6卒業式までが書かれます。

  • 6年生になってすぐ、急性虫垂炎で入院した糸子
    十日ぶりに登校するとクラスに転校生がいた

    「めぐぽん」って呼んでという天真爛漫な不思議ちゃんキャラの日野恵
    恵につきまとわれるようになった糸子は……

      明日こそちゃんと断ろう。
      そうあたしは決意した。はずだったんだけど……。

    第46回日本児童文学者協会新人賞(2013年)を受賞したデビュー作『糸子の体重計』(2012年)から10年を経て刊行された待望の続編

     食べることが大好きな細川糸子
     クールビューティー 町田良子
     大柄な転校生 高峯理子
     町田良子にあこがれる坂巻まみ
     細川糸子とは給食の天敵 滝島径介

    『糸子の体重計』で5年生だった糸子たちの6年生の1年間をそれぞれの視点で描く友だちと成長の物語(理子の章は本作では恵の視点で描かれている)、2022年5月刊

    〈何年後、何十年後、あの頃よりいまが好きだといえる。そんな自分になっていたい。なれるように生きていきたいと思っています。〉

    こんな答辞が書ける子どもを育てたい

    [いとうみく情報]
    『あしたの幸福』(理論社/2021年)で第10回河合隼雄物語賞(2022年)を受賞、児童文学としては初めてとのこと

    童心社サイトの著者インタビューも一読の価値あり
    https://www.doshinsha.co.jp/news/detail.php?id=2685

  • 図書館本。「糸子の体重計」の続編。ダイエットを離れて、シングル家庭や同性愛、中学受験などより社会のなかに生きる小学6年生になってます。最後の町子の卒業式答辞が素晴らしい。子供であることを自覚しつつ、社会が持つ大きなものに吸い込まれそうになりながらも、それでも人生にイエスと言おう、言いたいというメッセージがあります。

  • 糸子の体重計の続編で、転校生の日野さんを新たに加えた6年生になった前作の面々が織りなす連作短編集。糸子の虫垂炎の入院のプロローグから、各人の4話が続き3月の卒業式のエピローグ、町田さん答辞で終わる。
    糸子は相変わらず食欲旺盛で素直に自分の気持ちを言い、本人は意図しないのに皆んなを良き方向に導いているようだ。

    前作では町田さんと滝島の母親に良い印象を持てなかったが、町田さんが自分の気持ちを素直に母親に伝えたことで変化したこと、滝島も自分も母親も幸せになる道を諦めず、母親と話す事で良い方向に行きそうだ。良かった良かったと胸を撫でおろした。

    自分の気持ちを伝えるのは本当に大事なる事だと改めて思うし、大人である自分もそうしていきたい。

  • 『糸子の体重計』続編

    「前作『糸子の体重計』では5年生だった子どもたちは、6年生になった。
    相変わらず、小さなことでいじけて、羨んで、けんかして。
    うじうじ悩んで、転んだりへたりこんだり、だれかのせいにしたり、逃げたり。
    そして迎える、卒業式。
    登場人物5人の視点で語られる5つの物語。」

  • 『糸子の体重計』の続編

    小学生ならでは(中学生ぐらいまで続くかもしれないけれど)の複雑な友達関係に加え、親子(母子)関係も書かれているので、親世代にも読めると思います。

    相変わらずうまいなあと思いつつ、他の作品に比べやや内容が軽い気がするので星は4つ。

    その分読書が苦手な子にも勧められる本です。

  • ああ、なんてみんな成長してるんだろう。径介くん、幸せにおなり。

  • 2022.09.04

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。『糸子の体重計』で日本児童文学者協会新人賞(2013年)、『空へ』で日本児童文芸家協会賞(2015年)、『羊の告解』でうつのみやこども賞(2019年)『朔と新』で野間児童文芸賞(2020年)、『きみひろくん』でひろすけ童話賞(2021年)、『あしたの幸福』で河合隼雄物語賞(2022年)、『つくしちゃんとおねえちゃん』で産経児童出版文化賞(2022年)を受賞。そのほか、『かあちゃん取扱説明書』『二日月』『チキン!』『カーネーション』『ぼくんちのねこのはなし』『よそんちの子』など、話題作を多数発表している。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

「2022年 『バンピー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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