5年後、メディアは稼げるか――Monetize or Die?
- 東洋経済新報社 (2013年7月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492762127
作品紹介・あらすじ
米国の新聞社・出版社が繰り広げている
「血みどろの生存競争」が日本にやってくる!
4カ月でビジネス誌系サイトNo.1に導いた
東洋経済オンライン編集長が予見するメディア・サバイバル
今、日本と世界のメディア界は、大きな岐路を迎えている。今後5年、メディア業界は100年に一度といってもいい激震を経験するはずだ。では、ウェブのさらなる進化などによって、メディアの形はどう変わっていくのか。ネットメディアを運営するプレーヤーの目と、業界を分析するジャーナリストの目から、「メディア新世界」の姿を予測する。
・8~9割のメディア人はデフレに
・テクノロジー音痴のメディア人は2流
・日経以外の一般紙はウェブで全滅する
・有料課金できるメディアの条件
・起業家ジャーナリストの時代がくる
・最後のガラパゴス業界が激変する
・欧米メディアの”血みどろ”の戦い
・これからはコンテンツとデータが王様
・5年でデジタルは端役から主役に
・一番偉いのは、新しい”稼ぎ”を創る人
・新時代のカギを握るのは、30代
・“のっぺらぼうメディア”の終わり
・ウェブと紙の6つの違い
・紙の本はそのまま残る?
・雑誌が紙である必要はあるか?
・次世代ジャーナリストの10の生き方
・記者は没落、編集者は引く手あまた
・ウェブメディアの8つの稼ぎ方
・どうすればネット広告は儲かるか?
・サラリーマン記者・編集者の終わり
感想・レビュー・書評
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自分にとっては、発展し続けているウェブメディアについての考え方が参考になった。自分もなんとなく紙よりも自由に表現できるというイメージはあったけど、よりウェブメディアの可能性について考えさせられた。
•ウェブメディアにおいてもっとも大事なのは、文章力よりも経験や知見の面白さ。
•二流の記者が書くIT分野の記事よりも、IT分野で活躍するビジネスパーソンに書いてもらった記事のほうが、コンテンツ力が高く読者のニーズにも合致しうる。
•ウェブメディアにとって大事なのは、ひとつの方向性に読者を誘うことではなく、さまざまな意見を読者に提供し、読者の頭の中を刺激することだと思っている。
メディアはどうなるのかというよりもウェブメディアについてより興味を持った。 -
どの媒体か?よりも誰が書いたか?どんなテーマか?
建前よりも本ん江で、客観よりも主観で書く。
ビジネスを徹底して学ぶ。
読者を向いた協創。誰がもっとも読者思考を徹底できるか。 -
メディアの位置付け、これからの方向性が垣間見える一冊。
著者の言うとおり、メディアのこういう分析をした本は少ない。 -
メディア業界の全体観(ビジネルモデル)が勉強できました。
ウェブの市場が拡大し、業界全体としてこれまでの戦い方では通用しなくなったことと、アメリカ企業の成功事例を元にこれからの戦い方を上手く説明してくれています。
広告と有料課金が大きな収益元。メディアの属性にも寄るが、個人的には有料課金を取りに行く戦略が重要で、オリジナルコンテンツが勝負の鍵だと思う。メディア業界は面白い。 -
171012 5年後、メディアは稼げるか 佐々木紀彦 ☆☆☆ 2013年の本ながら秀逸のIT出版論
ITで多くの業界が激変するのは必至だが、大事なのは「稼ぎ方」=「新しいビジネスモデル」
→良いコンテンツが、それに見合った対価を得られるようなビジネスモデルを創る
*世の中みなさん簡単に「新しいビジネスモデルを」と仰るが、それこそ最高の企業秘密!
みすみすアップサイドのリターンを放棄するのは、善人ではなく、ただの阿呆
1.ウェブメディア体験で痛感 「東洋経済オンライン」
速報より分析 クオリティの高い第2報 cf 速報は通信社(欧米)
クローズよりオープン
2.米国メディア
一足早く、変革の洗礼
広告料激減の法則 「1:10:100」紙 オンライン モバイル →広告枠の制約がない(無限)
FTの改革 メーター制 法人比率高める(BtoB)
読者データの分析 宝の山 Amazonになる
経営サイドの革新力 現場のモチベーションを高め 高いクオリティのコンテンツを実現する
それが希薄な日本では、メディアの劣化・マンネリ化が進んでいるように思える(100)
→全く同感 残存者利益なんて行ってるから、モチベーションがどんどん崩れていく
3.ウェブメディアでどう稼ぐか
メディア企業の基本機能
(1)調達・生産 コンテンツを創る
(2)編集・統合 コンテンツをパッケージ
(3)流通・販売 コンテンツを読者に
日本の新聞は「宅配」の強みを持つ 18千店 特落ちリスクを避ける官僚制
雑誌は正念場 パッケージ解体 コンテンツのバラ売り
8つの稼ぎ方
(1) 広告 バナー広告→スマホでは成立しにくい
(2)有料課金
(3)イベント
(4)ゲーム
(5)物販
(6)データ販売
(7)教育
(8)マーケティング支援
4.5年後に食えるメディア人 食えないメディア人
組合せが大事 ①テクノロジー人材②コンテンツ人材③ビジネス人材
*ウィリアム・デレズウィッツ「優秀なる羊たち」
「リーダーシップの本質、それは『孤独』である」
リーデーシップにとって、真に重要なのは想像力であり、新規かつ逆張り的な物の見方を考え出し、それを表現する勇気です。
よきリーダーであるためには、いかにして一人の時間を作るか、一人で思考に集中できるか、大多数の一致した意見に左右されないか、を判っていなければなりません。
「孤独」とは、一人で静かな時を過ごすことへの自信と心地よさです。
「デジタルは電子のコカインである」
脳を壊してしまう危険がある 読書、古典の読書によって充電が不可欠
自分の思考を深める
⇔SNS メール
5.福沢諭吉「時事新報」チャレンジ精神とアイデアの豊富さ
時代は経ても、新しいメディアの登場にどう取組むかの姿勢は同じ
「新聞人 福沢諭吉に学ぶ」(鈴木隆敏) -
タイトルを見て、「これは買わねば」と即座にポチってしまった本。
著者は「東洋経済オンライン」の編集長。
短期間で同サイトをビジネス誌系サイト№1に成長させた経験をふまえ、出版社や新聞社、ライターや編集者がこれからの時代に生き残っていく方途を探った本なのである。
この手の本ではふつう、「ネット時代のジャーナリズムはどうあるべきか?」などというお堅いテーマが前面に出るものだ。
それに対して本書は、“そんなキレイゴトはどうでもいい。問題はオレらが5年後、10年後に食っていけるかどうかだよ”と(実際にそういう文章があるわけではない)、「マネタイズ」の可能性に的を絞っているところがよい。副題のとおり、「Monetize or Die?」――「カネになるか、しからずんば死か」なのである。
我々ライターとしては、そこがいちばん知りたいわけだし……。 -
この本が書かれたのが2013年、まさに署名にあるように「5年後、メディアは稼げるか」を問う年である2018年にやっと手に取り読みました。既存メディアの実際の経営状態はどうなのかはわかりませんが、書籍では「新聞社崩壊」とか「躍進するコンテンツ、淘汰されるメディア」とか曲がり角に警鐘を鳴らす本がいっぱいです。5年の変化で一番象徴的だな、と思うのは著者が、この本を上程した後、2014年に「東洋経済オンライン」の編集長から「NewsPicks」の編集長になったこと。まさに本書で書かれている、会社よりも個人、というテーマの実践ですね。5年前のメディア界の見取り図ですが、現在でもメディアに関わる人にとっての教科書としてはわかりやすいです。著者の最近の講演を聞いて本書を手にしたのですが、その時に話されていて、本書に書かれていないのは5Gという通信環境と動画というコンテンツの可能性についてです。いつもメディアはテクノロジーが引っ張るのだと思います。