MMT現代貨幣理論入門

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492654880

作品紹介・あらすじ

「財政は赤字が正常で黒字のほうが異常、むしろ、どんどん財政拡大すべき」という、これまでの常識を覆すような「現代貨幣理論」(MMT)。MMTでは「就業保証プログラム」により、完全雇用も可能とされている。
アメリカでは、次の次の大統領とも言われるオカシオコルテス下院議員やサンダース大統領候補のブレーンを務めたステファニー・ケルトン教授たち「MMT賛成派」と、ノーベル経済学賞受賞の経済学者クルーグマン、元財務長官のサマーズ、FRBのパウエル議長、著名投資家のバフェットたち「MMT批判派」との間で大論争が起こっている。日本でもNHKや新聞などマスコミ報道も増えるなか、日銀の黒田総裁も否定的なコメントを出し、国会では議論が白熱している。
はたして、この理論はいったいどういうものなのか。
MMT研究の第一人者、L・ランダル・レイによる「バイブル」、待望の邦訳。
巻頭と巻末では著書『富国と強兵 地政経済学序説』でMMTをいち早く日本に紹介した中野剛志氏と、「反緊縮」の旗手で「日本のバルファキス」とも言われる松尾匡氏が、理論のポイントやMMTを取り巻く現状や経緯ととともに解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 理論として現実味を除けば、就業保証プログラムなど、画期的であり面白いと感じた。
    しかし、あまり現実味はないような気もする。また、キーストロークの部分であったり、恒等式に関しては、わざわざMMTという学派を打ち立ててまで取り上げるものでもないような気がする。ただ、やはり画期的であるという点で評価できる。
    あと、文体が非常に読みづらい。カギカッコが多すぎる。そこをどうにかして欲しかった。

  • 変動為替相場制を採用していて不換の自国通貨を発行している政府にはいくらでも支出能力がある。ただし、支出能力があることと、政府がいくらでも支出していいこととは別問題だという。財政赤字は問題ではないとするMMTでもインフレや為替レートへの影響の観点から政府支出を制約する必要があるみたい。

    財政赤字が問題ではないとすると、租税はなくても良さそうだが、「租税が貨幣を動かす」から租税は必要らしい。政府が税を徴収するから、人々は貨幣を受け取る、租税が貨幣に対する需要を創出するという。税を徴収して支出するという考え方ではなく、税を支払うために先に支出が必要という考え方。

    政府と中央銀行を一体として見ていたり、貨幣を政府債務と捉えていたりで、独特な考え方があって、まだまだ理解できてへん。特に後者。

    インフレの箇所の説明が分かりにくかった。他のところも所々わかりにくい箇所あり。マクロ経済学をおさらいして再チャレンジしたい。加えて会計の基礎とか学ぶ必要あり。

    あと、実際は政府が発行した国債を金融機関等がいったん購入して、それを中央銀行が公開市場操作で買い入れてるけど、国債が金融機関等に買われないリスクをどう考えているのかが気になった。

  • MMTが主張するところによると、「通貨発行権のある政府にデフォルトリスクはまったくない」。通貨が作れる以上、財源の制約はなく、インフレが悪化しすぎないようにしさえすれば、財政赤字を気にする必要はないという。

    さてここで気をつけたいのは、本書にも指摘があるように、政府がデフォルトを選択することはありうるということだ。特に対外債務に頼っている場合は、自らデフォルトすることで借金をチャラにするという誘いが常に存在し、実際にそのような事例は歴史上たくさんある(『国家は破綻する』参照)。したがって、国債所有者から見たデフォルトリスクは存在するわけで、そのリスクを踏まえた金利設定がされるはずだ。政府はこの金利負担に耐えられるのだろうか。

    MMTの主張を読んでいると、政府への無限の信頼(これは行き着くところ警察権力や軍事力といった国の強制力の話になると思う)が前提になっているように思える。しかし、今の時代、その気になれば国外逃亡できるし、資金も簡単に移動できる。この前提がどこまで現実的か、という話のような気がする。

  • 【本学OPACへのリンク☟】
    https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/661674

  • MMTを誤解していたところがあったと自覚。
    貨幣の存在は租税徴収権
    →租税を徴収できる限り政府はいくらでもファイナンスは可能

    ここからは感覚的な話になるが、日本ではMMTのいいところ取りをしていくらでも政府によるファイナンスができるという議論があると思うけど、租税徴収権(能力)の持続可能性が疑われるようになると財政破綻の可能性が高まると思う。

  • 39
    MMTは、政府の財政は家計や企業のそれとはまったくの別物だと主張している。

    「我が家の家計が連邦政府予算と同じ状態だったら破産してしまう」というアナロジーは誤りであると主張する

    41
    政府は支出をするために自らの通過を借りる必要がないことである。政府による国債の売却は借り入れとはまったく異なるものであると位置づけている。

    MMTは、主権を有する政府による国債の売却を、金融政策オペレーションと機能上同等のものだと認識している。

    42
    主要なポイントは
    政府は支出のために自らの通過を借りる必要がない、ということである。

    45
    この貨幣創造のビジネスは、多くの人にとって理解し難いものであり、錬金術や詐欺のようにすら感じられる。
    政府が支出する(貸す)だけで、現金通過や中央銀行の準備預金は創造されるのか?
    無から貨幣を創造するとでも言うのか?
    答えはもちろんイエスである。

    437
    8.7
    MMTに対する最も激しい批判者はリバタリアンとオーストリア学派。
    MMT派もインフレを懸念している。



    うううーーーん、難しくて分かんなかった。

  • MMT何それ?状態で読んだので全てが新しい観点で楽しめました。わかりやすい。

  • ケインズからラーナーへの流れを60年代で時間を止めた理論。当時の標準的ケインズ経済学とそれほど違うところはないのになぜか新しい理論なんだそうだ。ケルトンのクルグマンに対する回答の需要の金利弾力性の話はまさしくその頃のマクロ経済学の教科書に書いてあることと同じ。馬は水飲み場まで連れて行くことはできるが無理矢理飲ませることはできない、とか紐は引っ張れるけど押せない、とかそういう比喩で教えてたらしいけど。

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著者プロフィール

1953年生まれ。米パシフィック大学卒業後、ワシントン大学セントルイス校で修士号と博士号を取得。同校時代、ハイマン・P・ミンスキーに師事。現在、ニューヨークのバード大学教授兼レヴィ経済研究所上級研究員。現代貨幣理論(MMT)の旗手として知られる。邦訳に、『MMT現代貨幣理論入門』(島倉原監訳、鈴木正徳訳、東洋経済新報社)がある。

「2021年 『ミンスキーと〈不安定性〉の経済学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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