BANK4.0 未来の銀行

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492654866

作品紹介・あらすじ

アマゾン、アリババ、フェイスブック、アップル・・・・・・
2025年、世界最大の銀行はテクノロジー企業になる!?

急速に進化するテクノロジーで金融サービスの姿は全く変わる。
従来型の銀行が、いまだに支店、通帳、印鑑、本人窓口確認、プラスチックカードをもとにバンキングを提供している一方で、巨大IT企業やフィンテックスタートアップは、AIやブロックチェーン、SNSを駆使し、それらを一切必要としない、顧客のメリットのみを追求した新たなバンキングの世界を作り始めている。

未来の銀行は誰が制するのか?
ハイテク・プラットフォーマー VS 従来型銀行、サバイバルの行方は!
金融とテクノロジーの世界的ビジョナリストが、銀行の今と未来を解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 今後10年で変革を迎えるバンキング業界について、Bank4.0の予想図、急成長しているフィンテック&テックフィン企業、他業界ディスラプション事例を解説しつつ、既存金融機関が生き残りのためにどうすべきかを示しており、非常に興味深い。筆者の主張は何れも首肯できるものばかりで、顧客ニーズと銀行の常識の乖離、銀行業務・規制の非効率さ、レガシー変革の難しさ、革新的な既存銀行(DBS等)の挑戦等、10年前から日々抱いていた問題意識を再認識できた。
     一方、著者自体がチャンレジャーバンク(ムーブン)創業者のため、フィンテック企業とのパートナーシップ、規制緩和奨励等のセールスポジショントークは割り引いて読む必要がある。
     国内金融機関、規制当局のマネジメント層は必読の一冊と思う。是非とも筆者の主張に対する納得できる回答を聞いてみたい。

    【メモ】
    ・キング氏は、これから「口座開設を支店に依存する銀行が消滅する」までに要する時間は、iPhone発売の2007年から現在までと同じくらいの 10 年余であると予測

    ◆PART1 ー 2050年の銀行
    第一原理デザイン思考
    ・ほとんどの銀行は、旧式の従来型バンキングモデルの上にテクノロジーを付け加えているだけ。商品やプロセスは根本的には同じものを後からデジタルに仕立て直しただけ。
    テンプレートからスタートするために成果が派生物となってしまう。真に革命的なものをつくり出すためには、ゼロから始める覚悟が必要

    ・「第一原理」と呼ばれるエンジニアリングおよびデザインコンセプトである。「類推デザイン」や派生デザインとは異なり、第一原理では問題をその構成要素に落とし込む。デザインの物理性、つまりデザインが意図したものにまで立ち戻る

    ・人々が現実に使うことができてはじめて、テクノロジーがパワーを持つ。過度な作り込みではなく、シンプルで使いやすい機能性が、テクノロジーの力を引き出す

    ・銀行が伝統的に提供してきた3つの中核的利便性要素
    価値貯蔵:貨幣を安全に貯蔵する能力(投資もこのカテゴリーに入る)
    資金移動:おカネを安全に動かす能力
    信用アクセス:必要時におカネを貸す能力

    ・ケニア商業銀行(MーPESA)
    設立124年の銀行が200万顧客に達するまでには122年を要したものが、わずか2年でさらに600万が積み上がった

    ・アントフィナンシャルは、世界で最も成功する預金吸収チャネルは、支店ではなく携帯電話。これは第一原理思考を使ってのみ実現可能と示した。

    ・アント・フィナンシャルは、モバイルの利便性の上に築かれた真の第一原理金融機関としての先行者利益を有している。アント・フィナンシャルは銀行ではなく、フィンテック企業だ。より正確にはテックフィン企業、つまり金融サービスに重点を置くテクノロジー企業である。

    ・世界でより革新的な既存銀行、たとえばmBank、BBVA、キャピタル・ワン、DBSなどを見ても、iPhoneのような第一原理のプロダクトデザインの存在の証にはお目にかかれない。そのデザインは現在も原商品の派生形に大きく偏っている。

    ・預金に関する第一原理アプローチは、すべてフィンテックに由来。ディジット(Digit)とエイコーンズ(Acorns)は預金に対して行動ベースのアプローチを行った。フィドールは、ソーシャルメディアでの活動に基づいた金利を導入した世界最初の銀行だ。

    ・未来の銀行員はテクノロジストであり、顧客がデジタル世界でバンキングを利用できるようにする役割を担う。現在の銀行員、現在の銀行の形あるもの、現在の銀行の商品に終わりが訪れるのは時間の問題だ。

    ・Bank 4.0は顧客の世界へのバンキングの組み込みを意味する。コネクテッドな世界で、フリクションを排除して使い勝手の良さを実現しているか

    ・経済における従来型の行動や規制が古いシステムのフリクションを支える度合いが大きいほど、銀行がBank 4.0に備えることは難しくなる。ロンドンやシンガポールは、金融サービス規制改革を全力で推進している。それが2030年やその先の金融センターの死命を制することを理解している。

    ・銀行を完全に変革して、行動、位置、センサー、機械学習とAIによって機能する組込み型の使い勝手のよいバンキングの提供者とするためには、イノベーション部門、インキュベーター機能、モバイルアプリ、グーグルグラスのデモビデオといったものでは不十分だ。

    ・インターネットが作る:ネット起業家(Netrepreneurs)あらゆるものの何かがオンライン化している以上、こんにちビジネスをオフラインで行うことは不可能です。それがもっと多くのネット起業家が必要となる

    ・アリババはeコマースを行っているのではありません。プラットフォームを提供しているだけです。ですから、パートナーが成功すればするほど、私たちも成功する。独占は製造業時代の考え方です。私たちは人々の手助けをしたいのであり、独占を望んではいません。私たちはあらゆる人がつながるようにしたいのです。

    ◆規制当局のジレンマ
    ・デジタル市場を規制し、規制プロセスにも新しいテクノロジーを配備するために、デジタル時代に向けた全く新しいモデルをつくり出す必要がある

    ・規制のイノベーションを阻害する障害は、数多く、大きく、そして複雑に絡み合っている。そのなかには、構造と領域(その多くは 19 世紀かもっと以前に作られた基礎の上に築かれている)、組織文化、インセンティブ・システム、対外・対内政策、スキルセット、法的枠組み、煩雑な手続き、スピードの遅さ、意思疎通や協業上の制約、前デジタル時代のリーダーたち、既存業界の防衛、現行法律が含まれる

    ・規制当局が現行プレーヤーの競争力を維持する方法は、対面とクラウド・プラットフォームの両方の制約を取り払うことだ。2025年には、ほとんどの銀行が、フェイスブックやアドハー・カードのようなアイデンティティ・ブローカーに身元確認をアウトソースしているかもしれない。

    ・現在クラウドを制限することは、最も進歩的な金融市場と自国市場とのギャップを拡大してしまうことになる。

    ・テクノロジー中心のイシューに対応した組織再編と、チーフ・イノベーション・オフィサーやチーフ・データ・オフィサーのような新しい役割のリーダーシップを創設が必要。組織文化についても、イノベーションのアップサイドに開かれるよりも保守的でリスク回避に重点を置く文化を改革する必要がある。

    ◆PART2 ー リアルタイム世界におけるバンキング再構築
    組み込み型バンキング
    ・チャレンジャー/フィンテック銀行と既存銀行との違いの中心にあるのは、そのミッションである。チャレンジャー/フィンテック銀行は、バンキング経験を徹底的に簡素化したいとしているが、現行プレーヤーは、競合に対して自行の商品を選んで欲しいという意図がはるかに強い

    ・現在私たちが得ているアドバイスは、ほとんど「アドバイス」ではないのだ。それは、商品販売かアドバイスと名づけられた仕事である

    商品チャネルから顧客体験へ
    ・支店に依存する銀行は行き場を失い、支店の優位性を主張しながらも勢いを失っていく。小売企業が人々は今でも商店に行きたがるものだと主張していた一方で、何千もの小売店がシャッターを閉ざしていったのと全く同じ構図

    ・モバイルアプリで口座を開設してカードを顧客に郵送するのが銀行の最新イノベーションだとすれば、中国だとそれでもかなりまずい状況

    ・こうした行動変化に対応する銀行の組織図には本格的に大きな変化が起こっていない。現在は、モバイルのトップ、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)とテクノロジー出身者が組織図の階段を上ってきてはいるが、銀行のその他の部分は構造的には大きく変化していない。

    ・ビジネス・アナリスト、フィンテック投資を行うベンチャー・キャピタルのチーム、テクノロジー・パートナーシップ、ハッカソン、インキュベーション・ラボを管理し発展させる人々等が含まれる。それらは基本的には、銀行のテクノロジー能力を銀行内ではないところで急速に育成する能力

    ・外部企業が有しているようなテクノロジー専門性をもはや持ちえないことと、それを自前で築き上げることが、同じことにより優れるフィンテックやテクノロジー企業と提携するよりもはるかに多くのコストと、さらにそれより長い時間を要することに銀行が気づくにつれて、銀行外の企業とのテクノロジー・パートナーシップは次第に当たり前のことになっていくだろう

    分散台帳技術、ブロックチェーン、仮想通貨、分散型エコシステム
    ・トークンベース企業がつぶれるのは、上場企業がつぶれるよりも確かに可能性が高い。そうした状況にもかかわらず、トークンによってスタートアップ企業が上場せずに、そしてエクイティを手放さずに資金を集められることが可能になるという事実は、多くの起業家たちにとってあまりに魅力的なアイディア

    ・クラウドファンディングはアーリーステージのファイナンスにおける世界の民主化として最初の大きな飛躍でした。私はファンディングのトークナイゼーション、つまり私たちがやっていることが次の、そしてもっと大きな飛躍

    ・分散台帳技術(Distributed Ledger Technology:DLT)はいまや、世界中の銀行で実装されている。

    ・ブロックチェーンへ銀行を駆り立てているのは、新しいブロックチェーン技術が、既存の銀行データベースと決済ネットワークが持っていないセキュリティと監査可能性をもたらしてくれるから

    ・ブロックチェーンが暗号通貨のことだと考えているなら、それは誤りだ。ブロックチェーンが金融関係のものだと考えているなら、それも誤りだ。分散配置と強力な監査性、あるいは自律的な管理が必要なデータベースが世界のどこかにあれば、今後 20 年間はブロックチェーンがそうしたデータセットの基盤となるのが見られる可能性が大きい。

    ・支店アナロジーの商品を支えるコアシステムはより使われなくなり、モバイル、音声、拡張現実(AR)メガネといったものを通じてバンキング経験を表出させるミドルウェアはより使われるように

    ◆PART3 ー フィンテックで銀行が不要となる理由
    ・テクノロジーが発展し成熟するにつれて(中略)、これまでとは全く異なったバンキングや金融サービスが生み出されるようになる。今われわれが目にしているのは『コダック・モーメント』、すなわち銀行がどんどん顧客にとって過去のものになっていく可能性だ(間違いなくそうなるとは必ずしも言い切れないが)」  ──アントニー・ジェンキンス、バークレイズ元CEO、フィンテック・スタートアップ 10 xフューチャー・テクノロジーズ創業

    ・もしもアント・フィナンシャルやアリババ、ルファックス(陸金所)、シンプル、スクエア、トランスファーワイズ、ベターメント、ストライプ、ヴェンモ、ゼル、ソーファイ、クレジットカルマ、コインベースその他もろもろが存在しなかったとしたら、銀行は現在のようなペースでテクノロジー投資を行っていただろうか?

    ・ジャック・マーは、物理的なインフラを構築してもデジタル時代におけるブランド育成には何のメリットももたらさないと以前から明言している。

    ・現在の金融サービスにまつわるフリクションを葬り去るのだ。 ミッションの核となるこの行為を、フィンテック企業は積極的に実行している。一方、銀行の場合は、改革プロジェクトに着手すらしないうちから、レガシーシステムの制約、コンプライアンスを理由とする無関心や抵抗、幹部クラスからの支持の欠如、既存「チャネル」とのカニバリゼーションの恐怖などと戦わなくてはならないことが多い。

    ・過去250年間に世界で起きたイノベーションのうち、特に破壊的なものである蒸気機関や電話、コンピューター等は、第一原理に基づくデザイン思考が、最速のイノベーション、最大の飛躍、最も破壊的な市場変化をもたらすことを明確に示している

    ・中国ではネットワーク効果に対する抵抗が少ないため、より迅速な変化が可能なはずだ。もしもあなたが、イギリス人とアメリカ人は 30 年後も決済手段として小切手を使うだろうと主張するバンカーの一人だとすれば、あなたの国の経済は、日々の資金移動の面でも、そしておそらく一流の金融センターとしても、中国・インド・ケニア・欧州の大部分に対して自ら進んで後れを取りますと主張していることになる。

    ・上海、香港、シンガポール、ロンドンの規制当局を見てみるがいい(これはほんの数例だ)。これらの当局は、規制のサンドボックスを実行し、オープンバンキングへの移行を進め、ICOのルールを策定し、フィンテックと連携している。

    ・スタートアップ企業にはアドバンテージがあり、既存の金融サービス企業のデジタル開発を制限しているレガシー・テクノロジー・システムや厳しい規制とは無縁である。この結果スタートアップ企業は、モバイルにフォーカスしたサービスや商品をより効率的に生み出すことが可能であり、このことが既存の金融企業を脅かしている

    ・チャレンジャーバンクが支店ベースの販売戦略を仕掛けない理由
     ・時間と資金の制約。多くのチャレンジャーバンクは、 12 ~ 18 カ月の間に成果を示して追加資金を獲得しなければ持続成長できない
     ・フィンテックが盛んな都市で影響力の大きい立地に出店するコストは、フィンテックの基本アプリや基本技術の総開発コストを上回る可能性がある一方、支店への顧客来店動向は明らかに減少傾向にある。
     ・すべてのフィンテックはリアルタイムの顧客対応を競い合っている。『手書き』の署名や対面でのやり取りが必要な状況は有害で、収益や成長を鈍らせるものであり、排除しなければならない。
     ・支店経由の顧客獲得コストは、デジタル経由の5~ 10 倍に当たる。

    ・いまやデジタル・オンボーディングが重要な差別化要因になっている。英国では、口座開設にかかる時間が長いと口座乗り換えの大きな障壁になるというデータもある

    ・英国ではすべてのチャレンジャーバンクでデジタル口座開設が可能だが、同じ主張ができる既存銀行は1行だけなのである。米国の銀行とクレジットユニオンのうち、スマートフォン経由の口座開設が可能なのはわずか18% そのうち口座開設プロセスを最初から最後までモバイルで行えるのは 24% にすぎない。2017年時点で口座開設をモバイルのみで完了できるのは、米国の銀行およびクレジットユニオンのうち5% に満たなかったということ。ムーブン、シンプル、バンクモバイル、ゴーバンクにはもう何年も前からその機能がある

    ・現在も今後もフィンテックと競い合いたいのであれば、絶対にしなければならないことがある。手書きの署名が必要な申し込み用紙を一掃することだ。以上。

    ・英国市場における銀行の自己資本利益率(ROE)は、大型チャレンジャーバンクで平均9・5%、中小チャレンジャーバンクで 17% なのに対し、大銀行では4・6%。主な理由は、レガシーITへの対応コストが低いことに加え、商品ポートフォリオが簡素化されているため、既存銀行では 80% に達する経費率(CTI)が、チャレンジャーバンクの場合は 50% 以下に抑えられているから

    ・ある時点から(おそらく今後5年以内に)、証券アナリストたちはリテール銀行の支店網に注目するようになり、最も業績がいい支店以外はすべて、顧客獲得の面でもサービスの面でも、銀行運営における非効率なメカニズムと見なすようになる。勝ち組のチャレンジャーバンクと比較すると、こうした支店網は単に時代遅れで高コストなレガシーインフラと映る

    ・フィンテック企業は市場シェアを一気に支配することをめざしているのだろうか? アマゾンは1995年にインターネットサービスを開始した時点で小売販売を支配していただろうか?  10 年後の2005年には? 2001年にiPodが登場したときは?

    ・ローン専業のフィンテックであれば、連邦預金保険公社(FDIC)の認可を受けた当座預金口座運営機関に課せられる規制のハードルがないため、この分野ではマーケットシェアの変化がより顕著になっている。

    ・ソーファイ、コモンボンド、プロスパー、レンディングクラブといった融資関連ベンチャーがより複雑な販売提携を通じてリーチを広げるにつれて、こうしたシェアの変化は既存銀行にとってさらに深刻な問題になる

    ・ここ数年の米国における無担保個人融資ポートフォリオの変化のデータを見てみよう。2012~2015年という短期間に、フィンテック企業のマーケットシェアはわずか3% から 30% 以上へと拡大した

    ・既存銀行が行き着く2シナリオ
    第1のシナリオ: デジタルによるディスラプション
    第2のシナリオ: デジタルによる再創造 ──銀行は次第にイノベーションをビジネスモデルのレベルまで統合していく。顧客の資産を独占することよりも、金融サービス経験の組み込みによって顧客の生活を改善することを重視するようになる。

    ・アグリゲーション・サービスを提供することによって銀行と顧客の関係を絶ち、極端なケースでは、銀行をインフラとコモディティ商品を提供するだけの存在へと追いやる。

    ・ほとんどのバンカーのDNAにはイノベーションが組み込まれていない。彼らはキャリアを通じてリスクを特定し回避するよう教え込まれるが、イノベーションで大事なのは、小さなリスクを取り、金をかけすぎずに早目に失敗し、間違いから学ぶことによって素早く正解にたどり着くことなのだ」  ──JPニコルズ、FinTech Forge

    ・2012年以降、米国の資産トップ 10 の銀行は、フィンテック・スタートアップだけで 56 社、計 72 回、総額 36 億ドルの投資を行っている。これら 10 行はいずれもブロックチェーンとAIに投資している。

    ・既存銀行が採れる選択肢は、統計データによれば2つある。内製にこだわってテクノロジー・プレーヤーより長い時間と大金をかけて対応するか、あるいはフィンテックと手を組んでより早く安価に同じことを実現する

    ・技術的ケイパビリティのこととなれば、フィンテックは既存銀行のために 時空を捻じ曲げてくれる。

    ・フィンテックも既存銀行を必要としている。銀行との提携がもたらす規模と収益が必要なのだ。フィンテックの成長は、自社技術がこうした提携を通じて使われるかどうかに左右される。理想的な結婚のようだが、そのためには両者の主な強みと弱みを理解している必要がある

    ・既存銀行はほぼすべての場合において、フィンテックがすでに実現したことを繰り返すことしかできない。ウェルズ・ファーゴのグリーンハウス、JPモルガン・チェースのフィン(Finn)、エミレーツNBDのリヴ(Liv.)を見てみればいい。ムーブンやモンゾ、ディジット、エイコーンズのクローン以外の何物でもない。模倣とは究極のお追従だが、バンキングに関して言えば、技術開発は最も金のかかるお追従

    ・銀行内に「ハッカソンを開催して一番いいアイディアを頂戴して、自力で導入しよう」などと言う人がいる場合は、すぐに止めるべき。こうしたプログラムを成功させるには、フィンテック企業との長期的なパートナーシップが必要。

    『フィンテック企業とのパートナーシップの障害』
    「私たちは、システムを再構築する機会を得ました。金融トランザクションはただの数字、単なる情報です。オンライン決済ができるようにするために、 10 万人のスタッフ、マンハッタンの一等地、1970年代から使われているメインフレーム・コンピュータが詰まった巨大なデータセンターが必要なはずはありません」  ──マーク・アンドリーセン、アンドリーセン・ホロウィッツ創業者、2014年

    ・内製思考
    ・カルチャーの違い
    ・調達部門(外部契約部署)への負荷
     ー 30 ~ 40 人体制で回っているフィンテック企業は、既存銀行の内部ステークホルダーの尻拭いをするために大量の法的書類に何カ月も費やすべきではない。フィンテック企業のリソースのバカげた無駄遣いだ。契約を簡素化してチェックポイントを増やすことが非常に重要
     ー データストレージとデータレジデンシー(データの保存場所)などは、クラウドパートナーの領域になるということだ。フィンテック企業との契約では、銀行に代わってクラウド事業者(たとえばアマゾン・ウェブ・サービス)との仲介役を務めることを義務付ける条項を忘れてはならない。
    ・テクノロジー格差
    ・短期的ROIの偏重
    ・規制上の健全性維持
     あきらめる前に、新技術のプロトタイプを実際に試して顧客の反応を見させてもらえないかどうか、必ず規制当局に確認してみる

    ・Money 20/20、Finovate、FinTech Stage、Next Moneyといったイベントは、急速にフィンテック企業と既存銀行とのお見合いプラットフォームになりつつある

    ・銀行がアクセラレーター、インキュベーション、イノベーション、ハッカソンといった施策を実行しても、革新性の向上という期待された効果は得られない。理由はたいていの場合、革新的なアイディアをフィンテック企業と同じスピードで採用することを銀行のカルチャーが許容しないためだ。しかし、こうした施策を、フィンテック企業のオファーに対する洞察力や、提携あるいは買収すべきフィンテック企業を見極める力を養う場とすることは可能

    ・ディープラーニングには、単純パーセプトロンと多層パーセプトロン、バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)ネットワーク、代替階段関数、線形ベクトルなどさまざまなテクニックが使われている

    ・スマートアシスタント:フリクションがなく対話型というこのテクノロジーの性質は、各種サービスプロバイダに対し、音声ベースのテクノロジー経由でサービスを提供しなければならない世界への適応を強いることになる

    ・音声やモバイルでアクセスできるデジタル銀行口座を検討して、顧客に日々のアクセスとアドバイスを提供するメインのチャネルにしようとしない銀行は、インターネットやモバイルアプリが初めて登場したときと同じように不意打ちを食らうことになる

    ・銀行には音声ベースおよび行動ベースのデザインチームが必要だ。音声サービスのような機能が日常的にどのように使われているか、テクノロジーが人々の生活のどういった部分にフィットするかを熟知するチームである

    ・AI金融アドバイザー:新興のテクノロジーに基づいてこうしたシステムやマシンベースのインタラクションをデザインし、顧客の行動を理解し、新たな体験を生み出すことは、未来の金融機関にとって最重要の創造的スキルになる。こうした分野では、少なくともあと 20 年は人間が差別化要因になれる

    ・AI時代のマネジメント(アルゴリズム社員をどう率いるか):この 50 年の間に、好奇心、外向性、情緒安定性といった性格的な特徴がますます決定的な意味を持つようになって

    ・AI時代に生き残るために必要なマネジメントスキルとは何か? HBRはアジャイルなリーダーシップにおける4つの主要スキルをまとめている
    1.謙虚さ:積極的に学び、知ろうとする姿勢。組織外にも情報を求め、他者を信じて仕事をさせ、データサイエンティストや機械学習の専門家が自分には太刀打ちできない重大な貢献をする可能性があるのを理解している
    2.適応力:AI組織では、素早く変化する能力と、主要なステークホルダーが持つ考え方や地位やエゴを弱める力がカギとなる
    3.先見力(ビジョン):銀行業界はレガシーと戦う機会が多い。テックリーダーは50年超のタイムフレームで思考する
    4.エンゲージメント(信頼に基づいて貢献しあう関係):常時デジタルを活用して、チームのかかわりを強める

    ・スマートな対人スキルは、スマートなマシンで影が薄くなる。強いリーダーとは、ビジョンを持ち、急速な変化に適応し続けることができ、変化を恐れず、自分の知識や過去の実績にこだわらず、他者にビジョンの受け入れを促すことができる

    ・何よりも、今日の銀行のリーダーに必要なのは、何もかもを内製しようとする銀行は業界のリーダーではいられなくなるという認識

    ・顧客リレーションシップに関するバンキングシステムの進化
    インフォーマル・バンキング
    コミュニティ・バンキング(1400~1950)
    ユニバーサル・バンキング(1950~2000)
    オムニチャネル・バンキング(2000~2025)
    ユビキタス・バンキング(2025~)

    ・私たちは、メイン金融機関というよりも、 メイン金融マネージャー を求めるようになる

    ・私たちが金融サービスを購入する方法は現在と大きく異なるものになるだろう。小売、レストラン、ホテルといったものはすべてレコメンデーション・エンジン、ソーシャルメディアとフィードバック・システムを有しているため、それで市場におけるブランド信用力が劇的に変化してしまう。バンキングでは、ブランドレベルではソーシャルメディアから圧力がかかっているが、同じことを個別の銀行の場所、商品・サービスに対して直接行うことは難しかった。次世代のテクノロジー・レイヤーは、次第にこれを行うようになる

    ・ミレニアルという大きなセグメントの台頭と、彼らのデジタルへの親和性に触発された私たちは、2017年にLiv.というUAE初のミレニアル世代をターゲットとしたデジタル・ライフスタイル銀行をスタートさせた。Liv.はミレニアル世代のチームがゼロから作り上げたもので、ライフスタイルを中心に据えたユニークなデジタルバンキング経験を顧客に提供する(エミレーツNBD/スヴォ・サーカー)

    ◆PART4 ー 生き残る銀行、そうでない銀行
    ・コダック、ブロックバスター、ボーダーズ、イエローキャブ、レコード・レーベルそしてケーブルテレビ等を見て、彼らがディスラプトされると確信を持って知ったのはいつだっただろうか? 警告の兆候がどんなもので、現在の銀行や金融機関にとっても同じ兆候が存在しているのだろうか?

    ・ディスラプションの兆候
    1.勢力の集中
    2.業界を旧式テクノロジーが席巻
    3.信頼が依然として重要
    4.顧客印象がマイナスでもすぐに変わらない商慣習
    5.業界メディアと古株プレーヤーがディスラプションの話で持ち切り
    6.銀行経営層の対応
    7.銀行取引の在り方の根本変化

    ・指標として受け入れるかどうかはともかく、ネット・プロモーター・スコア(NPS)は、ポジティブな顧客が平均的な銀行をどう捉えているかに関する洞察を示す。一般的には50点超が目標で、顧客からその企業が推奨されるか「宣伝される」可能性から非常によい~すばらしいとされる。バンキングについて言うと、NPSの平均レンジは世界的にマイナス 17 ~ 34 である(地域による)。しかし、ほとんどの大銀行は 20 を下回っている。

    ・2030年になると、Z世代顧客が街中の目抜き通りを歩いていって銀行の支店を訪れ、口座を開設するとはほとんど考えられない。10年間は、iPhoneが発売されてから現在までとだいたい同じだ。その同じ時間内に私たちは、口座開設を支店に依存する銀行が消滅するのを目にすることだろう

    ・対応のために何ができるだろうか? カギとなる回答の1つは、銀行のミッションの中核部分ですばらしい顧客経験を追求し続けることだ。このことは、フリクションを取り除き、新しい経験を通じて顧客とつながるために革新的な対応策を推進して、現行の方針やプロセスの砦を打ち破る方向へ企業を進ませる。
    究極的にはテクノロジー自体よりも顧客のほうがはるかにディスラプティブとなり、全く新しい業種が形成される。

    ・変革を始めるために、戦術レベルでできること
    ① テクノロジー人材を経営層に加える
    現在では、地域の小売業者や農業者の関心が何かとか、中央銀行が金利を上げるかどうかといったことを理解するよりも、テクノロジーの提供のほうがはるかに顧客ニーズへの対応に適っている。
    テクノロジストとして必要となるのは、新しいテクノロジーに十分網を張っていて、その領域で自らスタートアップ企業を保有しているか、あるいは銀行と同じような企業でデジタルトランスフォーメーションに取り組んだ経験があるといった人種。

    ② ミレニアル世代(1980~1995生まれ)とZ世代(1995年~)を多く雇用する
     ミレニアル世代を雇用して惹きつける可能性として、バンキングのキャリアを現在のテラーとしてスタートさせるべきか考えてみよう。上記の視点を考慮すれば、これはとんでもない施策だ。
     最も重要なのは、ポジティブなことが言えるカルチャーの必要性だ。金融包摂、再生可能社会の推進、犯罪低減、平等社会の推進といった、組織が後ろ盾となれる大義を見出すこと。株主利益ではこうした次世代の候補たちを動機づけられない。

    ③ 俊敏(アジャイル)化
    アジャイルな銀行の特徴
     顧客ファーストのミッション
     幅広い収益生成能力
     迅速な商品とディストリビューション
     プロトタイピングと学習の文化
     オプティチャネルとデジタル・オムニチャネル

    ④ 銀行員の雇用をやめ、異なるタレントを惹きつける
     企業文化がバンカーやバンキングファーストで顧客経験やテクノロジー変革中心でないなら、組織思考に新風を吹き込むようなプログラマー、デザイナー、データサイエンティスト、そしてディープ・ラーニングの専門家を雇い入れることは困難だ
     銀行で働くソフトウェア開発者の3分の2は、彼らの上司が自分たちの執務環境や自分たち個人のことを気にかけていないと考えている
     長年にわたって何百もの銀行がイノベーション部門を設けてきたものの、イノベーション部門の長がもっといい仕事を求めて離職したり、銀行の文化に合わないために部門を閉鎖する等で実を結ばずに終わっている
     銀行の免疫システムが強く働いて、変化という脅威をもたらす新しいものを拒絶することだ。変化はリスクと捉えられ、リスクは銀行が最もとりたくないものだ

    ⑤ 最も影響の大きいデジタル変革工程に優先して取り組む
     変革の取り組みにつながるようなカスタマー・ジャーニーへ優先順位付けする。収益にプラス影響があり、エンゲージメントを改善し、離反を削減し、顧客あたり収益を増加させるようなジャーニー。
     カスタマー・ジャーニーに取り組む際、ブランド・ディストリビューション向けにデザインされた商品を単に新しいデジタルチャネルに適合させるのではなく、最大の影響力を及ぼすようなカスタマー・ジャーニーあるいはシナリオを取り込むべき。

    ・多数の大企業は自社のトランスフォーメーションの成功を測定する有効な指標さえ持っていない。
     活動指標と影響指標の双方が、変革施策の成功を測定するために重要。
     活動指標は変革のインプットである。イノベーションにかかわる社員数、捻出アイディア数、新規開始プロジェクト数、特許申請数等々だ。
     影響指標はイノベーションの具体的な成果だ。売上高成長、新市場シェアと新市場参入、新商品あるいはサービス収益などだ。

    ・イノベーション・リーダーのトップ5指標
    ① 商品別収益
    ② パイプラインにあるプロジェクト数
    ③ ステージゲート・プロセス(例:概念検証から導入へと移行するプロジェクト数)
    ④ P/Lまたは金融面の影響
    ⑤ 四半期当たりの生成アイディア

    ・求められるのは組織文化の変革であり、それはトップから始まる。求められるのはビジネスの変革を望み、それを実現するスキルを持つリーダー

    ・Bank 2.0で問いかけた「支店部門の長が、インターネット(あるいはデジタル)部門の長よりも組織で上の地位に就いていませんか?」。この質問はほぼ 10 年前にしたものだが、それは現在でも適応力のまさに中心にあるものだ。

    ・優秀な人材を惹き付ける力とは、組織文化であり、テクノロジー活用力である。将来のビジネスの中核である人工知能を作るのは、支店のテラーとしてキャリアを始めた人たちではない

    ・第一原理思考とは、ゼロから始めて根本的に異なる方法で問題にアプローチすることだ。過去 30 年間維持してきた同じ基本的なバンキングのモデルの焼き直しをするなら、変革に至る十分なスピードは得られない。

    ・Bank X 時系列の定義
    Bank 1.0:歴史的、伝統的なバンキングで、主要アクセスポイントである支店を中心に形成される。 12 世紀のメディチ家に源を発する。

    Bank 2.0:セルフサービス・バンキングの出現であり、銀行が営業時間外のアクセスを提供する最初の試みとなった。ATM機に始まり、1995年には商用インターネットとともに加速した。

    Bank 3.0:2007年のスマートフォンの登場とともに、バンキングは必要なときに必要な場所で行うものへと再定義された。そしてモバイル決済、P2P、モバイル上に作られたチャレンジャーバンクへのシフトによって加速した。非チャネル依存的である。

    Bank 4.0:組込み型のユビキタスなバンキングであり、テクノロジー・レイヤーを通じてリアルタイムで提供される。リアルタイム、コンテキスト型経験、フリクションレスのエンゲージメント、スマートなAIベースのアドバイスレイヤーが主役となる。大半はデジタルのオムニチャネルであり、物理的なディストリビューションは全く不要となる。

    ・モバイルアプリを持たず、インターネット機能も限定されている銀行がある。そうした銀行はBank 2.0のカテゴリーに入る

    ・あなたの銀行が、今後 10 年かそこらの変化を生き抜きたいと考えているなら、それが可能な唯一の方法は、組織を再定義し、中核的なデリバリー機能を再構築し、職員を進化させ、全く新しい組織図に沿って再編を行い、これまで可能と考えていたよりも速いスピードで変革を進めることだ。

    ・現在の銀行は、コダック、ボーダーズ、ノキア、モトローラ、タワーレコード、ブロックバスター、JCペニーやシアーズ、ディジタルイクイップメント、ポラロイド、コンパック、ボーランドといった存在になってしまう可能性がある。

    ・1・0時代のバンキングの根幹は、バンキングで秀でていることだった。つまり、高いROE、適切な信用リスク方針、良好なディストリビューションとネットワーク等々だ。しかし、4・0時代のバンキングの根幹は、テクノロジーに秀でていることにつきる。

    ・DBS銀行のグプタは、バンキングは、テクノロジーを通じて私たちの周囲の環境に組み込まれて「インビジブル(不可視)」にならねばならないと述べている。

    ・Bank 4.0程度の採点ポイント
    ①第一原理がスローガンである
     新しいデジタル施策から予算をむしり取って四半期収益を作ろうとしているなら、それはデジタル銀行とは言えない
    ②CEOがデジタルである
     「デジタルのトップ」を別に置いて経営層に対してレポートさせるとしたら、それはデジタル銀行ではない
    ③レガシーのテクノロジーやアーキテクチャーは制約ではない
    ④クラウドは接近中の嵐ではない
    ⑤顧客経験デザインは中核的能力である
     社内にデザインチームを持たないなら、それはデジタルバンクではない
     CTOがホワイトボードや紙の上にワイヤーフレーム(HP設計図)でスケッチを描いて業務のめざすべき方向性を説明するようでなければ、それはデジタルバンクでは
    ⑥データサイエンスと機械学習は新しい中核能力である
    ⑦規制の存在は言い訳にならない
     行内のコンプライアンス部署が、新しい顧客経験施策、新しいリアルタイム機能、あるいは顧客フリクション低減施策を差し止めることができるなら、それはデジタルバンクではない
    ⑧フィンテックとの提携、投資、買収を行うこと
    ⑨自前でやる必要はない
    ⑩銀行をオープンにする
    ⑪取締役会と経営層全体がテクノロジー対応力を持つ
     銀行出身でないテクノロジー人材を取締役会に配して、取締役の考えを一定レベルに揃えることがまさに重要だ
    ⑫支店、収益、リレーションシップにこだわらない
    ⑬どんな仕事もデジタルである
     人員の少なくとも 30% が基本的なプログラミング方法を知らないなら、それはデジタルバンクではない
    ⑭テクノロジー=チャネルではない
     Bank 4.0のCEOは銀行の使い勝手の本質を見て、その機能に必要な時と場所で最もつなぎ目とフリクションのない方法で顧客に提供する方法を見つけ出す。
     マルチチャネルで何ができるか話しているようではデジタルバンクではない。デジタルのエンゲージメントに対抗して、支店で行員に合うことの利点を語っているようでは、デジタルバンクとは言えない。

    ・テクノロジー自体が最終ゴールではない。最終ゴールは、高い魅力を持つ組込み型バンキング経験である

    ・Bank 4.0革命の成功要素
    - 商品ではなく顧客経験
    - 銀行経験者の雇用をやめる
     音声、機械学習、ブロックチェーン、クラウド統合、バイオメトリクス、顧客経験デザインといったディープなテクノロジーを理解しているイノベーティブな人材を惹き込むことが必要
    - データは新時代の石油である
    - レガシーシステムは言い訳にならない
    - AIは必須
    - 自分でやろうとしないこと
    - 情報を公開し、ブロックチェーンをブロックしない

    ・トップクラスのチャレンジャーバンク
    N 26、モンゾ、タンデム、ウィーバンク、シンプル、ムーブン等

    ・銀行組織の4つのコア・コンピテンシー
    ①顧客経験またはデリバリー実行力
    ②業務処理オペレーション
    ③テクノロジー・オペレーション
    ④バンキング能力

    ・商品はリレーションシップや信頼を生み出さない、デリバリー能力がそれを生み出すのだ

    ・「どの産業もディスラプションからは逃れられないが、会社更生法の適用申請を行うそのときまで、自分がディスラプトされてしまったということを誰も認めようとしない」

    ◆あとがき:NTTデータ オープンイノベーション事業創発室
    オープンイノベーションを活用し、ベンチャー企業×大企業×NTTデータによるWin‐Win‐Winとなるビジネス創発を目指す

    ・日本という国は成熟しており規制も大変な国であるが、真面目で信頼感が厚く安心安全な国なので、一度サービスが入るとそれを一緒に成長させてくれる国

    ・オープンイノベーション・コンテストの評価項目では、国連が定めた世界を救う 17 のゴールであるSDGsを重要視

  • 多くの示唆があり考えさせられました。
    個人としては、第一原理を自分の頭で考えて、共感を得ることができる能力が必要。
    また、組織としては、新時代にどう適応していくか。フットワーク軽く、柔軟な思考で、規制にも負けず、技術力を持った組織。

  • こういう世界が来るのかもしれないなあと思いながら読みました。
    ここに書いてあることを真に受けすぎないほうが良いのかな、と。

    とはいえ、こういう世界が来ないとも限らない。
    そうなったときに、地域金融機関が世の中に提供できる価値はなにか?
    それを考える切っ掛けになった。

    機械が人間の行動を分析してフリクションをゼロにする世界が来るか否かはわかりませんが、フィンテック企業と協働していくことは、今後の金融機関には避けられないでしょう。

    本筋とは逸れるが、第一原理の思考というものをこの本で初めて知った。
    自社の方向性を考えるときに、積極的に使っていきたい考え方。
    「うちの会社をイチから立ち上げるとしたら、どのような姿で立ち上げる?」

  • 2024年1月23日読了。「銀行」がさらされる環境と、どう生き残りをはかるべきか?を語る本。2019年刊、時代の変化に応じて「BANK1.0/2.0/3.0」と著者の思考も進化していったよう。銀行の本なのに、アリババやイーロン・マスクのビジネスと思想、AIの解説について多くのページが割かれているのが著者のスタンスを明確に表している。「銀行」のビジネス形態があろうがなかろうが顧客・世界には正直どうでもいい、「どのような体験・経験を作り出す企業なのか」が銀行には問われており、「支店に来て申込書を書かせる」発想をデジタルに置き換えるだけの銀行はすでに存在価値を失っている…のは消費者側からすると当たり前の話なのだが、メディチ家の昔より長きにわたる歴史を持ち、多くの資産と雇用を抱え「自らが世界そのもの」と考える銀行にとってはまさにイノベーションのジレンマ、「変化すること」は並大抵のことではない・むしろ最初から負け戦確定ということなのか…。

  • テクノロジーが銀行に与える影響が網羅的に書かれている。かなりのボリュームで、読みごたえあり。
    テクノロジー企業に対抗するには、中核業務での顧客体験の変革しかないということで、カスタマーエクスペリエンスの重要性を再認識した。

  • こういう分野の本って、普段ほとんど読まないから、興味深かったー!
    自分じゃ手に取ってないかもだけど、家族が持ってて面白そうだったから借りて読んでみました。

    なんか、慣れない分野であるうえに専門用語ではないと思われる箇所も英語そのものだったりして、英語を解する私でもちょっと読みにくい感じは受けたけど、まぁ内容は面白かった。それで間を取って☆3つな感じ?(笑)

    こういう本あるあるで、全部読まなくても言いたいことは大体分かるんだけど。一応完読したよ(笑)。

  • かつて、銀行は支店網が競争力の最大の源泉になっていた。ユーザーへのタッチポイント(ディストリビューション/デリバリ)が支店(bank1.0)からATM(bank2.0)、そしてモバイル(bank3.0)へ。現在は4.0への移行期にある。4.0はユビキタスで組み込み型。インビジブルな銀行を意識させないサービスとなる。ゼロフリクションでリアルタイム。最適な人に最適な場面で適切なアドバイスをする為にビッグデータとAIによるレコメンドが大事になる。4.0は日本だとこれからになる分、具体的なサービスイメージがまだわかなかった。。。銀行業のこれまでとこれからがよく理解できた。が、難解で長編なので読み切るのにガッツがいった。

  • 本屋で気になって、図書館で予約してた本がようやく借りれました。
    去年読んだLIFE SHIFTと同じくらいのインパクト。
    銀行だけではなく、クレジットカードなどの金融商品にも関係が大あり。
    最近のフィンテック企業は、1から仕組みを考えるので、既存の会社が当たり前に顧客に課している障壁をいとも簡単に超えてくる。アリババやテンセントは金融機能を持っていて銀行の取引量を凌駕している。
    既存の銀行は、これまで作り上げてきた金融サービスをもとに、改善を加えようとしているが、そんなことをしている間に、あっという間に時代遅れになる。
    テクノロジーとデザインを中心に考えなければ衰退しかない。
    色々なことを示唆している本で、勉強になりました。

  • テクノロジーやFintechが変える銀行の未来予想図。無駄な行為・価値を生まない行為をテクノロジーを使ってなくしていくことがDX(デジタルトランスフォーメーション)なのだと思うのです。2019年度暫定トップ5!
    続きはこちら↓
    https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2019/10/bank40.html
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    https://amzn.to/2VVQyjE

  • 銀行業の未来について記した本。
    かなり面白いです。

    この先ディスラプトされていくのでしょうが、消費者にとって使いやすい金融サービスを作って欲しいと思いました。

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