それでも金融はすばらしい: 人類最強の発明で世界の難問を解く。

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (523ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492654583

作品紹介・あらすじ

金融にもいろいろ問題はあることは間違いない。

でも私たちがこれほど豊かな生活を送ることができているのは、
金融という仕組みのおかげだ。

経済危機が起きたからといって、金融が成し遂げてきた成果を
忘れてはいけない。

金融の民主化――より多くの人が金融という仕組みを
利用できるようにすること――を適切に進めることで、私たちは
もっと良い社会を構築することができる。

その際に、大きな役割を果たすことが期待されるのが、金融関係者だ。

金融で良い社会を作るかどうかは、かれらの働きにかかっている。

本書では、かれらが果たすべき責任と役割を示し、世の中に充満している
金融への不安に対する対処を述べる。

ノーベル賞経済学者が金融のすばらしさを高らかに謳った、関係者の必読書。

感想・レビュー・書評

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  • ノーベル賞

  • 広く、薄く。あまり印象に残っていなくて、読み終わったこと忘れてた。

  • 速読ベースの読み。金融全般の関係者やコンセプトをかなり広めにいろいろ(雑学的に)書かれている本。
    あまり、タイトルにふさわしい内容はなかったような。。。
    個人的には、「信託」についての記述が印象的だった。「信託が可能にする財務的な仕組みは、人生の目標や狙いを永続させるために社会が考案した、これまでで最高の装置だ」「完璧な制度ではない。だがわれわれが個人的に、長期にわたる個人的な目標を実現させてくれるという意味で、ほかの制度をはるかに超えるものとなっている」。もともと信託って英米法の制度で、どうも感覚的に理解できなかったんだけど、こういう風に思ってるんだなぁ、って納得した。

  • 著者が考えた最強のファイナンス論。著者によると、金融は倫理観のない人がほんのちょっといるだけでほとんどの人は使命感を持って働いており、金融の進化こそ人類の未来のカギを握っている、らしい。色々と言葉足らずも多いと思うが、例えば行動経済学を認めているなら、ファイナンスの数式に組み込んだ例を示して欲しい。
    内容としては星5つ中1つだけど、訳者あとがきで言いたいこと全部言ってくれているので星2つ。

  • 金融の責任転嫁論。

  • 原題:Finance and the Good Society
    著者:Robert J. Shiller
    版元:Princeton Univ Pr (2012/02/29)
    感想:金融の意義を示す以外では、敢えて極論(徹底的な金融化)も提言しているのが見どころ。

    ・東洋経済新報社の商品ページ
    http://store.toyokeizai.net/books/9784492654583/

    ・シラー『それでも金融はすばらしい』サポートページ
    http://cruel.org/books/goodsociety/


    【目次】
    目次 [003-009]
    ペーパーバック版へのはしがき [011-020]
    はしがき [021-031]

    序章 金融、財産管理、そしてわれわれの目標 033
    用語の重要性――金融資本主義/金融資本主義のとどめがたい広がり/金融資本主義とマルクス共産主義/金融資本主義の成熟/金融資本主義の作業理論によせて/金融の働き/金融と良い社会の出会い/明日の機会――情報時代の金融資本主義/経済における金融活動/金融資本主義と金融イノベーションの挑戦/本書の内容

    第1部 役割と責任
    第01章 最高経営責任者(CEO) 062
    CEOの代替わり/報酬の水準を決める/モラルハザードと繰延報酬/取締役会のなれ合い/CEOの動機付け問題の普遍性

    第02章 投資マネージャー 075
    市場に勝つ/投資マネージャーの実績の持続性/投資マネージャー報酬のバブル/投資マネージャーの欺きのゲーム/投資マネージメントの誠実さ

    第03章 銀行 094
    銀行の起源/流動性のある安全な収益の提供者としての銀行家/銀行業の進化と将来/銀行業の民主化

    第04章 投資銀行 108
    投資銀行の民主化/投資銀行業がいかにインセンティブを新鮮に保つか

    第05章 住宅ローン業者と証券化業者 117
    住宅ローンの融資実行/住宅ローンの証券化

    第06章 トレーダーとマーケットメーカー 129
    金融報酬システムを仕切るトレーダー/高頻度取引/広範囲取引

    第07章 保険業者 142
    保険の民主化/長期リスクへの対応/保険改善のプロセス

    第08章 マーケットデザイナーと金融エンジニア 150
    マーケットデザインの多様な目的/きわめて個人的な問題もマーケットデザインが解決

    第09章 デリバティブ業 160
    デリバティブの起源/デリバティブ市場の正当化/オプションの規制

    第10章 弁護士とファイナンシャルアドバイザー 172
    弁護士/弁護士の数/低所得者・中間所得者にとっての弁護士/ファイナンシャルアドバイザー/金融資本主義の重要要素たる法的アドバイザー・金融アドバイザー

    第11章 ロビイスト 183
    ロビイストの力の不均衡/それでもロビイストは社会に役立つ/ロビー活動とロビイストの改革

    第12章 規制当局 195
    自主規制機関/政府規制当局

    第13章 会計士と会計監査 205
    秩序と一貫性の象徴/会計士業の自主規制機関

    第14章 教育者 210
    ビジネス教育の歴史的使命/経済教育と道徳

    第15章 公共財ファイナンス 217
    公共財の特徴/公共財供給のための戦略

    第16章 経済安定化の責任を負う政策立案者 224
    金融政策立案者/財政政策立案者/金融制度を発展させて経済変動を減らす/将来の安定化

    第17章 信託業と非営利団体 237
    信託による長期目標の実現/非営利組織/制度組織的な集積装置/信託業と非営利組織の未来

    第18章 慈善家 247
    慈善の根本的な経済的役割/エゴイズムと慈善

    第2部 金融への不安
    第19章 ファイナンス、数学、美 258
    対称性/ファイナンスで支援される経済活動の美しさ

    第20章 ビジネスマンと理想主義者はちがうのか 264
    芸術家たちの金融財務史/革命家たちと金融の関わり

    第21章 リスクを取ろうとする衝動 271
    リスク負担が天職に/不安と格差

    第22章 因習性と馴染み深さへの衝動 277
    言葉をモノとして扱う/権利

    第23章 負債とレバレッジ 291
    負債に関する人的なまちがい/2007年アメリカ金融危機におけるレバレッジ/レバレッジとヨーロッパ債務危機/レバレッジの周期/不健全な負債、健全な負債

    第24章 金融に内在するいかがわしさへの不幸なインセンティブ 306
    カジノでのギャンブルとの対比/認知的不協和と偽善/道徳的な狙い/いかがわしさの誤解/人々はいかがわしさに確実に気づく/いかがわしいふるまいに対する過剰反応を避ける

    第25章 金融投機の意義 323
    投機は市場効率に貢献/アニマルスピリット/選択と投機行動/有限責任/パートナーシップ制から、有限責任公開企業への移行/金融投機の良い部分を奨励する

    第26章 投機バブルと社会へのコスト 343
    そもそも投機バブルって何?/社会病理/金融以外の投機バブル/戦争とバブル/良い社会/バブルの意義

    第27章 格差と不公正 359
    ファイナンスと不公正/富と金融の結びつき/金融の報酬バブル?/家族王朝/地位による消費/相続税/格差連動税または格差保険/体系的に考えファイナンス理論を適用する

    第28章 慈善の問題 377
    慈善インセンティブの改善/寄付を優遇する税法/今日では税制を単純化するニーズは減っている/もっと細かく定めた寄付控除と免税/個人間の贈答に対する税制インセンティブ/参加型非営利企業/慈善の有効性を高める他の方法/目標と人生

    第29章 金融民主化の成果:資本所有の分散 399
    土地改革/持ち家/投資ポートフォリオの所有/企業の従業員保有を奨励する政策/所有の集中に上限を/資本分散政策の全体的な効果

    第30章 大いなる幻影、今昔 417
    1910年の大いなる幻影/第一次世界大戦の究極原因たる大いなる幻影/今日のビジネスにおける大いなる幻影/人生の満足感/人生とビジネスにおける攻撃性/金融と紛争管理

    終章 金融、権力、人間的価値観 438
    金持ち権力者への敵意の激しさ/金持ちは特別なのか?/金融の民主化は独立した個人の自由な取引を助ける/金融資本主義の中心に来るべき金持ちの贈り物/権力追求は人間の本性か?/賞賛への欲望――人間の衝動/暴力なき権力闘争の場としての金融資本主義

    謝辞 [456-458]
    訳者あとがき(2013年11月 プノンペン/ビエンチャン/ハノイにて 山形浩生) [459-473]
    注 [31-50]
    参考文献 [9-30]
    事項索引 [1-8]

  • 途中で断念。大学院の教科書のような印象。

  • 金融ファイナンスは金を貯めこむことや莫大な金を儲けることが目的なのではなく、個人のニーズや社会のために存在する仕組みでありシステムなのです。生まれたときからそうだったし、これからもそうで、金融イノベーションがより良い社会のためになにより必要で発展することが重要。金融ファイナンス関係者は世間の批判非難を受けるけど萎縮してはダメで、初心に帰って頑張ろう、って励ましている内容。

    金融業に就いているわけではないが、「より良い社会」のために金融ファイナンスはあるんだよ、という考えは分かる。金融イノベーションが金融の民主化を促し、多くの人のためになる。だから金融の技術革新の流れを止めてはダメだし、もっと発展させなければいけないということも理解できる。

    でも、そんな多くの人のためになる社会にも有用な金融の仕組みがなぜ08年の世界的金融危機を生んだのだろう?とか、なんでもかんでも金融市場にすればいいのか?そもそも「より良い社会」ってなに?・・・、などなど、いろいろ疑問に思うことがあり、それがためになかなか本書の内容が頭に入ってこなかった。


    もちろんそういう短期で簡単な答えを見つけるために書かれた本ではないし、長期的視点からみた未来志向の内容だからそんな疑問を抱いても仕方がないけれども・・・、どうもねえ。

  • 140913 中央図書館
    『アニマル・スピリット』の著者でもあり、ノーベル賞受賞者でもあるイェール教授シラーによる、ファイナンス理論の讃歌である。
    リーマン・ショック以来、金融関係者とフィアンス理論への信頼は大きく失われた。彼らとその理論は、貧富の差を拡大し、世界の富を毀損して勝ち抜ける悪辣な存在であると指弾されることが多くなり、広く金融に対して感情的な否定論が横行することに、シラーは危機感を持つ。
    そこで第1部では、CEO、投資マネジャー、金融機関、保険などが社会に対して果たす役割をそれぞれ詳しく再定義し、第2部では、<span style='color:#ff0000;'>世界を前に進めるためには、リスクテイクする人、集団を適切に支える仕組みとしての金融が必要であって、その技術のさらなる発展が望まれることを力説する。</span>

  • 金融危機を起こしたのは、金融システムそのものではなく、バブルの空気によるものである。金融システムそのものは悪くない。
    そもそもニーズがあったものだから発達した。更にニーズを掘り起こすべき。

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