禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン

  • 東洋経済新報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492654170

作品紹介・あらすじ

フラクタル幾何学によって、私たちの自然を見る目を変え、「雲は丸くなく、海岸線は滑らかではないこと」を数学的に説明した科学の世界の巨人=マンデルブロが示す「金融市場の本当の姿」。

感想・レビュー・書評

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  • 1339夜

    本書は、20世紀でもっとも偉大な経済学者の業績を、数式なしで一般向けにまとめたものだ。原著は2004年なので、最近の市場の動きを分析する役には立たないが、30年前にここまで高度な研究を完成していたのは驚くべきことだ。

  • 覚えてない
    フラクタルと金融の話?ブラックスワン的にリスクを予想する本だっけ??

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=31081

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA86241015

  • 天才、ブノワマンデルブロの本。



    金融業界って正規分布という砂上の楼閣、「月並みの国」の統計をベースに頭の良い人たちによる攻略法の研究が勧められた。
    しかし、この正規分布という土台が現実に即していないという悲しい事実を考えると、金融業界のこの取り組みって結局お遊びじゃん...となるな

    地動説を示す証拠がバンバン出てるのに、天動説を信奉する感じ。

    現代は知らないけどコンピュータを一番使うのは金融業界らしい。どこに投資したら儲かるかというシミュレーションをやりまくるから。

    マンデルブロの登場、フラクタルという概念の誕生が金融業界に与えた衝撃は計り知れない。

    統計における尖度:料理における辛さ。正規分布からどれだけ離れてるか(正規分布は3 )


    フラクタル→単純な規則の再起的な繰り返しで自然物のような複雑な造形が作れる。雪の結晶、海岸線のギザギザ、鳥の羽、銀河の分布。
    ・複雑性は単純なもの繰り返しで発生する
    ・初期値の違いが最終結界大きな影響を与える→未来は予測できない。

    フラクタルの次元→N回目とN+1回目の規則の繰り返しにより発生する面積や体積の増加割合の比率。4

    ・過去の価格は未来にも影響する。独立ではない。
    ・対数グラフをとると直線→冪乗則

    バブル→真の価格との乖離、時間の経過とともに期待が膨らむ。そしてそれは突然弾ける。いつ弾けるかは全くわからない

    ・タイミングはとても重要。巨額の利益と損失は短期間に集中して起こる。
    ・市場は正規分布で測られるリスクよりもハイリスク
    ・価格は不連続にジャンプする
    ・市場での時間は人によって進み方が違う(取引量とボラ )
    ・価格の予想は無理だがボラの予想は可能

    1980年、S&Pインデックスは40%の利益が10日間に集中

  • 市場の時間は相対的である。
    運が3つのランダムに支配されている。マイルド型、ワイルド型、その中間のスロー型。
    今までの金融工学は、マイルド型の世界と考えられてきたが、実際はそうではない。

    資本資産価格モデル(CAPM)、現代ポートフォリオ理論(MPT)、ブラックショールズの公式、の3つは正統派の金融理論。しかし、砂上の楼閣である可能性もある。

    変動幅と価格は正規分布にならない。中央は高く、肩は低く、裾は太い。

    べき乗則に従う。対数グラフでは直線になる。

    物理学では大きなスケールと小さなスケールには大きなギャップがある。
    宇宙は相対性理論、日常的なスケールはニュートン力学、電子は量子力学。
    相場は、正常なときと異常な時で分布が違う。

    価格の予想は無理。しかしボラティリティなら予測可能。ボラが大きいときは大きい、小さい時期は小さい。上がるか下がるかはわからない。

  • 結構難しいかな

  • 金融工学の理論の系譜について解説している。
    理論よりもそれを作った人やその経緯についてが詳しい。
    1市場は乱高下するもの
    2市場とは、極めてリスクが高いものである。既存の金融理論では決して起こるはずのないリスクが現実には起こる。
    3市場のタイミングは極めて重要。巨額の利益と損失は短期間に集中して起こる。
    4価格はしばしば不連続にジャンプする。そして、それがリスクを高くする。
    5市場での時間は、人によって進み方が違う。
    6いつでもどこでも市場は同じようにふるまう。
    7市場は本来不確実であり、バブルは避けることができない。
    8市場は人をだます
    9価格の予想は無理。しかし、ボラティリティの予測は可能。
    10市場における価値は、限定された価値。

  • そろそろ資産運用をマジメに考えないといけないと思いつつ、実学おざなりにして理論ばっかり読んでるが、むしろこれを読まずに迂闊に金融市場に手を出さなくて良かったと安心した。

    いくら詳細に計画しても、予想外の出来事に遭遇する。その構造については『<a href="http://mediamarker.net/u/akasen/?stg=auth&word=%E3%83%8A%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%A0&st=regdate" target="_blank">ブラック・スワン</a>』で。世界が正規分布だけでなく、べき乗則で成り立っていることは『<a href="http://mediamarker.net/u/akasen/?asin=4150503583" target="_blank">歴史は「べき乗則」で動く</a>』で語られたが、本書はそれらの要素と密接に関わるフラクタル幾何学の考案者であるマンデルブロ自身が、それを金融市場に限定し、語った一冊。

    本論に辿り着くまでのステップは3つ。まずは1つめ。横目でしか金融市場を見ていないと、金融商品の価格の上下には当然の理由が付けられているように見える。中東情勢の安定不安により石油価格が、ノーベル賞の受賞により特定の化学分野の関連企業の株価が、円高円安の影響で日経平均株価が。具体的な資金の流れは知らずとも、納得できる理由のように思える。だからまず、金融市場に手を出すには情報に通じてないといけないと考えるのが第1段階。そして第2段階は確率。情報にはどうしたって不確実性が伴い、それが無数に存在する。市場の、世界の全てを把握することはできないから、価格変動は確率の問題になる。よって、分散投資やらインデックス投資やらポートフォリオでリスクを分散して確率の安定化をはからなくちゃと考える。そうして至る3段階目が、その確率が正規分布で見積もられている限り、失敗する確率は極めて高いということ。本書発行の2008年から金融工学がどのように発展したかは寡聞にして知らないが、少なくとも当時においては、そうした古い数式によるリスク計算が随所に見られ、そのせいで2000万分の1、10万年に1度発生すると見積もられていた大変動にいとも簡単に遭遇するハメになった。

    こうした内容と煽り味が強い邦題が相まって、投資に対する恐怖心が煽られるが、原題は[THE (MIS)BEHAVIOR OF MARKETS]。本論は学問としての金融市場の解明。現代の魑魅魍魎が跋扈する、複雑怪奇に見える金融市場の中に潜む法則の探求。カオスからパターンを見出す例外の科学。金融工学の発展により、市場経済は博打の域を脱したかに見えたが、その計算の不確かさによってどれだけの人が運で死に、また、逆に運で救われたのか。運を克服するための一歩は踏み出されたばかり。

  • The (mis)behavior of markets:
    A Fractal View of Risk, Ruin, and Reward ―
    http://www.toyokeizai.net/shop/books/detail/BI/615e4307485bbf1689076525fc0e5702/

  • 正方形の土地の面積は一辺の長さの二乗に比例して増加します。一辺が2倍になると面積は4倍になり、一辺の長さを3倍すると面積は9倍になる。もう一つは万有引力です。宇宙船から地球までの距離が2倍になると地球の引力は1/4になる。

    資本資産価格モデル(CAPM)、現代ポートフォリオ理論(MPT)、ブラック=ショールズの公式の3つは、正統派の金融理論において最も重要な要素です。

    シェイクスピアの「ヴェニスの商人」にみる分散の妙
    「ありがたいことに、荷は一つの船だけに運ばせているわけではないし、一つのものにだけ投資しているわけでもない。ぼくの全財産のすべて今年の運にかかっているわけでもないんだ。だから船荷のことで心配することはないのさ。」

    CAPMを使うと、投資家が期待するだけのリターンを生み出すためには向上が最低限どれだけの利益を生み出さなければいけないか、という「ハードル値」をも設定できるようになる。

    ブラックショールズの公式はリスクに値段を付けているのです。

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