コーチング・バイブル(第4版): 人の潜在力を引き出す協働的コミュニケーション (BEST SOLUTION)
- 東洋経済新報社 (2020年6月26日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492557945
作品紹介・あらすじ
世界標準のコーチング・テキストの改訂版。
プロコーチとクライアントにとどまらず、会社組織、医療施設、教育現場、地域、家庭へと活用場面が拡大中。
コーチとクライアントの双方が、積極的に協力し合いながら関係を築き、
クライアントに本質的な変化を呼び起こす「コーアクティブ・コーチング」。
対話を通じて人の潜在力を引き出し、問題解決へと導くコーチングの手法は近年、
プロコーチをめざす人だけではなく、幅広い人々の関心を集めています。
「コーアクティブ・コーチング」の手法を対話例も交えてやさしく解説、
企業での導入が増えている1対1の面談にも役立ちます。
感想・レビュー・書評
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■コーアクティブモデルは4つの信念に基づく
・人はもともと創造力と才知にあふれ、欠けることのない存在である
・その人すべてに焦点を当てる
・今この瞬間から創る
・本質的な変化を呼び起こす
■モデルの心臓部
・フルフィルメント
・バランス
・プロセス
■5つの資質
・傾聴→レベル1:内的傾聴、レベル2:集中的傾聴、レベル3:全方位的傾聴
・直感
・好奇心
・行動と学習
・自己管理
■クライアントの本来の姿を呼び覚ます
コーチというのは、人の役に立ちたいという願いをもともと持っている人たちです。もちろん、コーチとして力を発揮し、成功したり世間から評価されたいという気持ちもあるでしょうが、心の奥底には人の役に立ちたいという強い想いを抱いているはずです。これは、プロのコーチだけでなく、コーチ的な役割を担っている人たちにも共通するでしょう。したがって、クライアントの問題解決を助ける機会に飛びついてしまうのも不思議ではありません。問題を発見し、それを解決して、綺麗さっぱりとなくすのは、役に立つためのわかりやすい方法です。メンバーに対する「コーチ的な関わり」を身につけようとしている企業の経営者や管理職によく見られるのは、コーチングとは従来の問題解決手法を優しく、柔らかくした婉曲的なものであると混同してしまうことです。これまでの問題解決的な習慣や期待があるのですから、この誤解は無理もありません。ただ、残念ながら、こういった姿勢では、コーチやコーチ的な役割を担っているマネージャーは、問題や課題の理解にあまりにも焦点が当たり、その注意はクライアント本人から離れ、問題にシフトしてしまいます。長い目で見れば、クライアントやメンバーが自分なりの方法を見つけ、自ら選択し、困難な問題を解決し、その努力から学ぶことを助けるほうが、コーチやマネージャーにとって役に立つはずです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・P38:第1章 コーアクティブ・モデル:モデルの心臓部
コーチがクライアントと結ぶ継続的なコーチングの関係は、ひとえにクライアントが目指すゴールに向かって共に取り組むために存在していると言えます。そのために、図1に示したコーアクティブ・モデル(フルフィルメント・バランス・プロセス)においては、クライアントの人生がその中心に置かれています。
フルフィルメント:私たちがより充実した人生を送るか否か
バランス:よりバランスの取れた人生を送るか否か
プロセス:人生というプロセスをより深く味わうか否か
・P67:第2章 コーアクティブ・コーチングの関係:ホメオスタシス
ホメオスタシスとは、変化に対する無意識の抵抗を意味します。「古い習慣ほど変えにくい」と言いますが、クライアントが変化を起こそうとして古いやり方を手放したものの、まだ新しいやり方を自分のものとしていないような時、つい慣れ親しんでいる古いやり方に引き戻されてしまうことがよくあります。
・P92:第3章 傾聴:コーチング・スキル
反映のスキル
明確化のスキル
俯瞰のスキル
比喩のスキル
認知のスキル
・P117:第4章 直感:コーチング・スキル
中断のスキル
感じたままを口にする
・P136:第5章 好奇心:コーチング・スキル
拡大質問(パワフル・クエスチョン)のスキル
設問のスキル
・P159:第6章 行動と学習:コーチング・スキル
目標設定のスキル
ブレインストーミングのスキル
要望のスキル
挑戦のスキル
構造化のスキル
・P187:第7章 自己管理:コーチング・スキル
立て直しのスキル
許可取りのスキル
核心のスキル
励ましのスキル
浄化のスキル
視点転換のスキル
区別のスキル
・P211:第8章 フルフィルメント:大きな主題と小さな主題
フルフィルメント・コーチングでは、「あなたのビジョンはどんなものですか?」「あなたは何者になろうとしていますか?」「人生が最も生き生きとしている時、何がそこに存在していますか?」といった質問をして、クライアントの大きな主題を探します。
一方、クライアントが人生の中で「何をするか」という行動についても話をしていきます。これがなければ、コーチングはとても興味深いけれども内省的な会話に過ぎません。行動はクライアントの充実した人生を現実にするものであり、コーアクティブの「アクティブ(行動的)」の部分です。これを小さな主題と呼びます。大きな主題との比較や、重要性が低いから「小さな」というわけではありません。これを小さなものとして位置付けるのはとんでもないことです。
フルフィルメントに存在する両方の側面を語るために便宜上このように分けて表現しています。この方がわかりやすく、両方とも絶対に欠かせないものだからです。
〜中略〜
コーアクティブ・モデルでは、小さな主題は大きな主題を満たし、現実にすることにつながっています。
・P224:フルフィルメントとコーチの役割
コーチであるあなたの役割は、たとえクライアントを取り巻く状況がどうであれ、クライアントが自分のフルフィルメントを追求し続けるよう挑戦することです。
・P230:第9章 バランス:バランス・コーチングの流れ
(1)視点
(2)選択
(3)コーアクティブ・ストラテジー
(4)決意
(5)実行
・P242:バランスを見つける
バランス・コーチングをする目的は、クライアントの人生に動きをもたらすことです。
〜中略〜
とはいえ、コーチはクライアントに行動であればなんでも勧めるわけではありません。ただ単に行動を増やすことはクライアントのためになりません。フルフィルメント・コーチングでは、クライアントの価値観に沿った行動は何かを見極めようとします。一方、バランス・コーチングでは、クライアントの人生に流れをもたらす行動は何かを見極めようとします。
・P230:第10章 プロセス
プロセス・コーチングの目的は、クライアントがその瞬間瞬間に内側で起きていることに気づき、それを言葉にできるようにすることです。
・P255:感情は自己表現であって、症状ではない
感情は、人間にとって正常な機能であり、病気の症状ではありません。
・P275:第11章 すべてを統合する:コンサルティング、コーチング、メンタリングの違い
コンサルティング:特定の成果を達成することに焦点が当たる
コーチング:成果に対してクライアントが自走化することに焦点が当たる
メンタリング:問題解決や目標達成よりも、より個人の育成に焦点が当たる -
特定組織の本なので期待してなかったけど、ひとつ深いレベルの解説があり初心者だけでなく中級者でも楽しめる内容に感じた。
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特に前半はわかりやすく、共鳴するところがある。後半になればなるほど、わかりづらい。コーチングの深さ、有効性はよくわかる。コーチングに関する書籍の中では最も網羅性が高いことは間違いないが、本だけで理解することは到底難しい。それだけ難しい(簡単に体得できるものではない)ということなのだろう。プロコーチを目指す私にとっては、まさにバイブルではある。(習うと、「そういうことだったのか!」と時間差で理解できるところがある)
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5月新着
東京大学医学図書館の所蔵情報
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2003598174 -
尤もなことが書かれている。コーチングを実践しながら本の内容を実践しないと、コーチング時の言い回しや意識の置き方が会得できないと感じた。
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『#コーチング・バイブル(第4版)』
ほぼ日書評 Day571
この手の本で4版を重ねているということ自体、驚くべきことだ。初版がいつだったのか明記がないが、主著者達が本書の活動母体であるCoaches Training Instituteを立ち上げたのが1992年とのことで、おそらくは30年近く前のことなのだろう。
本書の趣旨とはやや離れるが、コーチングの例文が、ネットもメールも無い時代のものもあり、テクノロジーの進化によって我々のビジネス、そして自分の時間の使い方が随分と効率化されたことが、よくわかる。
その上で本書であるが、翻訳タイトルにもある通り、かなり専門的にコーチングを行う人が、行き詰まったり、新たな展開が欲しくなったりしたときに、立ち戻り、よって立つ類の内容である。
逆に、短期的にコーチングのノウハウを学ぶ類の書ではない。特に、評者のようにセールスコーチングといった極めて限られた領域で活動する者にとっては、若干、冗長に感ずるところも正直あった。
そういう意味では読者を選ぶ本であるが、それが本書の価値を損なうものではないことを最後に付け加えておきたい。
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