イノベーションの競争戦略: 優れたイノベーターは0→1か? 横取りか?

著者 :
制作 : 内田 和成 
  • 東洋経済新報社
3.94
  • (24)
  • (36)
  • (20)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 383
感想 : 41
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492534496

作品紹介・あらすじ

イノベーションを横取りする企業、
取り逃す企業、連続して起こす企業、
どこが違うのか?

世の中に存在しなかった画期的な発明やサービスを生み出すことは、企業におけるイノベーションの必要条件ではない。それよりも新しい製品サービスを消費者や企業の日々の活動や行動の中に浸透させることこそがイノベーションの本質である。
筆者たちはこれを行動変容と呼ぶが、これこそが企業がイノベーションを起こすためのカギとなる。そのことをみんなに知ってもらいたいという想いが『イノベーションの競争戦略』の執筆の動機となっている。

イノベーションを世の中になかった商品・サービスを生み出すことと考えると、「イノベーションの競争戦略」は奇異に感じるかもしれない。
しかし、イノベーションとはいかに顧客の行動変容に至るかの競争なのだ。顧客の価値観や行動を変え、次世代の社会の常識を創ることで、自らがゲームチェンジャーとして新しい市場やビジネスモデルを創造することができる。競合他社に対する圧倒的な優位性を築くことができるわけだ。
さらに重要なことは、競争戦略の視点をもつことで、イノベーションに対する企業の取り組みが変わることだ。技術革新ではなく顧客の行動を変化させることをゴールとして取り組むのであれば、そのプロセスは一変することになる。イノベーションの競争戦略とは、顧客の行動を引き起こし、市場における優位性を築くことである。本書では、そのメカニズムを明らかにすることにフォーカスを当てる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 元BCG内田氏の本。
    イノベーションに関する本。
    あとは、整理としては確かにフレームで説明はできるが、やや強引さを感じる事例も少なくなかった。
    イノベーションの解像度を高めるという意味では良質な一冊。

    メモ
    ・新しい製品サービスを消費者や企業の日々の活動や行動の中に浸透させることこそがイノベーションの本質。

    ・イノベーショントライアングル
      社会構造、心理変化、技術革新をイノベーションのドライバー、その組み合わせがトライアングル

    ・イノベーションストリーム
      トライアングルによりドライバーを捉える
      ドライバーを梯子に新たな価値創造
      顧客の態度変容
      顧客の行動変容

    ・空飛ぶクルマ、過去は法制度や離着陸の土地や設備といった社会構造に課題があった。今回はクリアできるか。

    ・zenlyの習慣は斬新だった。

    ・イノベーションを阻むトラップ
      態度変容に繋がらない
       技術革新以外のドライバー無視
       ドライバーの過大評価
      行動変容に繋がらない
       新しいが小さな価値
       新しい価値だが土俵、要因が違っていた

    ・後発者が油揚げを攫うパターン
       同一市場で先に価値を磨き上げる
       別市場に価値を転用する

    ☆顧客にどのような行動変容を起こしていきたいか

    ・行動変容から新たなドライバーを見立てて次の価値創造へ

    ・イノベーションの四つの提言
     行動変容にコミットする
     イノベーションを見るレンズを変える
     事業継続に強くこだわる
     自前主義を放棄する

  • 人々の行動変容を起こさないものは忘れ去られる。
    技術が大事な訳ではなくその技術によって人々の生活を変えられるか。

    イノベーションとは「自社による革新的な技術の開発」 昔のソニー

    イノベーションとは「これまでにない価値の創造により、顧客の行動が変わること。」apple

    イノベーションのトライアングル
    ①社会構造=人口動態や法規制等
    ②心理変化=常識や嗜好の変化
    ③技術革新=業界や社会インフラの技術

    他社に遅れてイノベーションを起こすポイント
    ①他社が起こしたイノベーションを徹底的にベンチマークする

    ②先行するイノベーションで顧客が潜在的に満足していない点を自社の資源で埋められないか考える

    ③第一のイノベーションで完全に満足している顧客は狙わず、少しずらした顧客を狙う

  • イノベーションは日本語で技術革新と訳されることから、どうしても最先端のテクノロジーありきのようなイメージを持たれてしまっているが、イノベーションの本質は行動変革であると筆者は主張する。

    iPhoneはイノベーティブな製品ではあるが、技術的にはそれほど目新しいものがなかったのは有名な話。

    イノベーションは、社会構造、心理変化、技術革新という3つの影響により、新たな価値創造を行い、それによって顧客の態度変容、行動変容へと繋がることを指す。

    このうまく時流を捕まえて、実際に顧客の行動変動が起こせるのであれば、必ずしもインベンダーである必要はない。

    ただ、日本人はどうしても自らが開発し、それを普及させることを是としている空気感が強く、模倣して後追いすることが苦手。

    実際に顧客の行動変容を果たしたものがイノベーターであるということから、インベンダーにこだわらず、イノベーションを起こしていきたい。

  • イノベーション、イノベーションとよく聞くけども、イノベーションって何なのよ?というのが多数の事例とともに明快に分かる一冊。私自身は誤解していたし、捉え方が浅かった。
    ただ単に良い物凄いもの新しいものを作り出すことではなく、新しく無くてもすごく無くても人々の行動を変えてしまうものを世の中に浸透させること、それがイノベーションなんだそうだ。
    納得。イノベーション成功例として出てくる事例、どれと自分の人生の途中で、ある時から自分の人生に欠かせなくなったものばかり。これこそが、イノベーションなのだと理解できました。

  • まさに今直面している課題を構造化できた。イノベーションは技術革新だけではなく、社会構造と心理変化のトライアングル、そしてそれを態度変容と行動変容につなげてはじめて実現する

  • イノベーションとは、発明ではなく、ユーザーの行動変容を伴うかどうかであると。『商品はつくるな 市場をつくれ キリン「伝説のヒットメーカー」商品づくり24の技法』では、「新製品をつくり、それが市場になり、人々の行動を変える」とあったが、まさに同じことだと思う。わかりやすい事例も豊富で、成功例の他に失敗例もあり、勉強になる。良書。

  • 切り口がなかなか面白かった。ゼロから生み出すだけじゃない、のは類書でもあるけど、「顧客の行動変容まで達成して初めてイノベーションとなる」というのは類書とは異なる主張だけど、すごく納得感がある。説明も丁寧だし、事例も多く紹介されているのでわかりやすいし、読みやすい。

  • ・参考図書指定科目:「プロダクトマネジメント」

    <OPAC>
    https://opac.jp.net/Opac/NZ07RHV2FVFkRq0-73eaBwfieml/LfRxtVfZZQV1FOdUGyLGxqnvlqn/description.html

  • 内田和成さんと、教え子である早稲田のイノベーション研究会メンバーによる共著。成功事例、失敗事例ともに多く紹介されていてわかりやすかった。
    イノベーションは行動変容をもたらすこと。
    価値を生み出し、日常を変えること。
    この本で取り上げられた事例は大企業ばかりだが、顧客の行動変容をイメージしながら価値創造を行ったり、世の中に態度変容が起こるきっかけ(ドライバー)をうまくつかめるようアンテナを張ったり…というのは企業規模にかかわらずトレーニングが必要だと思った。無から何かを生み出さなくてもイノベーターになれる、というのは肝に銘じたい。儲けの仕組みを作るために頭を使わなくては。

  • 内田先生の本は事例が多くて本当にわかりやすい。本書では、イノベーションは技術革新ではなく、顧客行動の変容であると定義し、その事例を列挙し分類・分析してくれている。個人的にも「技術のイノベーション」ではなく「意味のイノベーション」を目指すように考えていることもあり、納得することが多かった。ウォークマンを世に出したソニーが、iPodでアップルの後塵を拝した事例はよく知られているが、リポDの事例がレッドブルに使われたことは知らなかった。一方、セカンドライフの事例を研究し、「あつ森」が生まれるという事例もあったわけで、やはり意識の問題なのだろう。本題とは関係ないが、いいねやリツイートの数が多い投稿ほど真実と評価されやすいという事例。ポストトルース時代の象徴であり、不気味でもある。

全41件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

早稲田大学名誉教授。東京大学工学部卒業後、日本航空入社。在職中に慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。その後、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)入社。同社のパートナー、シニア・ヴァイス・プレジデントを経て、2000 年から2004年までBCG日本代表を務める。
この間ハイテク、情報通信サービス、自動車業界を中心にマーケティング戦略、新規事業戦略、グローバル戦略の策定、実行支援を数多く経験。2006年度には「世界の有力コンサルタント、トップ25人」に選出。
2006年、早稲田大学教授に就任。早稲田大学ビジネススクールでは競争戦略やリーダーシップを教えるかたわら、エグゼクティブプログラムに力を入れる。早稲田会議創設。早稲田大学ビジネススクールと日本経済新聞のコラボレーション企画『MBAエッセンシャルズ』創設。
著書に『仮説思考』『論点思考』『右脳思考』『イノベーションの競争戦略』(以上、東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』『ゲームチェンジャーの競争戦略』『リーダーの戦い方』(日本経済新聞出版)、『意思決定入門』(日経BP)など多数。

「2023年 『アウトプット思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

内田和成の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×