イノベーションの競争戦略: 優れたイノベーターは0→1か? 横取りか?
- 東洋経済新報社 (2022年4月8日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492534496
作品紹介・あらすじ
イノベーションを横取りする企業、
取り逃す企業、連続して起こす企業、
どこが違うのか?
世の中に存在しなかった画期的な発明やサービスを生み出すことは、企業におけるイノベーションの必要条件ではない。それよりも新しい製品サービスを消費者や企業の日々の活動や行動の中に浸透させることこそがイノベーションの本質である。
筆者たちはこれを行動変容と呼ぶが、これこそが企業がイノベーションを起こすためのカギとなる。そのことをみんなに知ってもらいたいという想いが『イノベーションの競争戦略』の執筆の動機となっている。
イノベーションを世の中になかった商品・サービスを生み出すことと考えると、「イノベーションの競争戦略」は奇異に感じるかもしれない。
しかし、イノベーションとはいかに顧客の行動変容に至るかの競争なのだ。顧客の価値観や行動を変え、次世代の社会の常識を創ることで、自らがゲームチェンジャーとして新しい市場やビジネスモデルを創造することができる。競合他社に対する圧倒的な優位性を築くことができるわけだ。
さらに重要なことは、競争戦略の視点をもつことで、イノベーションに対する企業の取り組みが変わることだ。技術革新ではなく顧客の行動を変化させることをゴールとして取り組むのであれば、そのプロセスは一変することになる。イノベーションの競争戦略とは、顧客の行動を引き起こし、市場における優位性を築くことである。本書では、そのメカニズムを明らかにすることにフォーカスを当てる。
感想・レビュー・書評
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人々の行動変容を起こさないものは忘れ去られる。
技術が大事な訳ではなくその技術によって人々の生活を変えられるか。
イノベーションとは「自社による革新的な技術の開発」 昔のソニー
イノベーションとは「これまでにない価値の創造により、顧客の行動が変わること。」apple
イノベーションのトライアングル
①社会構造=人口動態や法規制等
②心理変化=常識や嗜好の変化
③技術革新=業界や社会インフラの技術
他社に遅れてイノベーションを起こすポイント
①他社が起こしたイノベーションを徹底的にベンチマークする
②先行するイノベーションで顧客が潜在的に満足していない点を自社の資源で埋められないか考える
③第一のイノベーションで完全に満足している顧客は狙わず、少しずらした顧客を狙う -
まさに今直面している課題を構造化できた。イノベーションは技術革新だけではなく、社会構造と心理変化のトライアングル、そしてそれを態度変容と行動変容につなげてはじめて実現する
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イノベーションとは、発明ではなく、ユーザーの行動変容を伴うかどうかであると。『商品はつくるな 市場をつくれ キリン「伝説のヒットメーカー」商品づくり24の技法』では、「新製品をつくり、それが市場になり、人々の行動を変える」とあったが、まさに同じことだと思う。わかりやすい事例も豊富で、成功例の他に失敗例もあり、勉強になる。良書。
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切り口がなかなか面白かった。ゼロから生み出すだけじゃない、のは類書でもあるけど、「顧客の行動変容まで達成して初めてイノベーションとなる」というのは類書とは異なる主張だけど、すごく納得感がある。説明も丁寧だし、事例も多く紹介されているのでわかりやすいし、読みやすい。
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・参考図書指定科目:「プロダクトマネジメント」
<OPAC>
https://opac.jp.net/Opac/NZ07RHV2FVFkRq0-73eaBwfieml/LfRxtVfZZQV1FOdUGyLGxqnvlqn/description.html -
内田和成さんと、教え子である早稲田のイノベーション研究会メンバーによる共著。成功事例、失敗事例ともに多く紹介されていてわかりやすかった。
イノベーションは行動変容をもたらすこと。
価値を生み出し、日常を変えること。
この本で取り上げられた事例は大企業ばかりだが、顧客の行動変容をイメージしながら価値創造を行ったり、世の中に態度変容が起こるきっかけ(ドライバー)をうまくつかめるようアンテナを張ったり…というのは企業規模にかかわらずトレーニングが必要だと思った。無から何かを生み出さなくてもイノベーターになれる、というのは肝に銘じたい。儲けの仕組みを作るために頭を使わなくては。 -
内田先生の本は事例が多くて本当にわかりやすい。本書では、イノベーションは技術革新ではなく、顧客行動の変容であると定義し、その事例を列挙し分類・分析してくれている。個人的にも「技術のイノベーション」ではなく「意味のイノベーション」を目指すように考えていることもあり、納得することが多かった。ウォークマンを世に出したソニーが、iPodでアップルの後塵を拝した事例はよく知られているが、リポDの事例がレッドブルに使われたことは知らなかった。一方、セカンドライフの事例を研究し、「あつ森」が生まれるという事例もあったわけで、やはり意識の問題なのだろう。本題とは関係ないが、いいねやリツイートの数が多い投稿ほど真実と評価されやすいという事例。ポストトルース時代の象徴であり、不気味でもある。