- Amazon.co.jp ・本 (351ページ)
- / ISBN・EAN: 9784492534281
作品紹介・あらすじ
世界最大の顧客管理ソフトウェア企業「セールスフォース・ドットコム」創業者が語るビジョン。
感想・レビュー・書評
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Salesforceの創業者マーク・ベニオフによる自伝、およびSalesforceが重視するコアバリューに関する主張。GAFAMやその他のIT企業とSalesforceの違いはまさにこの本の主張にあると思う。社会の中にあって利益を追求することを重視し、利益至上主義にならないように行動している。カリフォルニア、サンフランシスコ出身という出自の影響が大きいのかもしれないけれど、Salesforceの利用者が増えるとともにこの会社の理念も一緒に広まってくれたら、それは真にSalesforceという会社のビジョンを実現したことになるだろう。
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パーパス経営のモデル。こういう経営者が大型のM&Aもしかけながら、GAFAMに楯突こうとしているのは面白い。
いつか同じ道をたどるのか、理念は残るのか、5年後に検証する価値はありそう。 -
セールスフォースは偉大な企業なのだろうが、この本はクソつまんない
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米国の巨大企業「セールスフォース」の創業者が、その企業理念について語った本。GAFAをはじめ、米国にはいくつもの新興巨大企業が存在するが、その創業者には型破りに個性的な人が多い。そのような人たちが、どのように会社を大きくしていったかの物語は、どれも興味深く勉強になる。失敗を繰り返しながらも、「社会貢献」を前面に出し、多くの人たちを納得させていくのがセールスフォース社の方針だが、大会社の創業者に共通するのは、へこたれない忍耐力と熱意だと思う。興味深い。
「「第4次産業革命」が始まった過去10年間で、人工知能(AI)、量子コンピューティング、遺伝子工学、ロボット工学、第5世代移動通信システム(5G)が、驚異的な進歩を遂げた。10年前には思いもしなかった速度と規模で大量のデジタル情報が流通する一方で、AIやロボット工学が人間と機械の間にある障壁を打破しつつある。地球上のあらゆる人やモノがつながり、複雑なビジネス課題と、誰にも予見できなかった破壊を生み出している」p3
「自分が何をしていようとも、どこで働いていようとも、誰もが成功するビジネスと、より良い世界を築き上げることの両方に貢献することができる。だから、この本の根幹となる前提を一言で表すならば、バリューに根差した企業文化が価値を生み出す、ということだ」p9
「母も父も、私が感じていたようには、コンピュータのどこがそれほど面白いのか十分に理解していなかった(しかし、好きなように勉強させてくれた)」p18
「見知らぬものに対する恐怖心を捨てて、自分の価値観を羅針盤として使い、新しい道を切り拓かなくてはならない。私たち全員が進歩への情熱とその実現に向けた想像力を育むべき時が来た。より良い未来になるかどうかは、私たちの肩にかかっている」p33
「(トヨタへのプレゼン)この野心的な提案とは別に、ゲストを歓迎する雰囲気づくりも欠かせない。日本文化ではプレゼントを贈ることが非常に大事たと知っていたので、豊田さんのために特製のサーフボードを用意することにした。また、ハワイのパンツ、Tシャツ、ビーチサンダルを花で飾り、トヨタの一行が到着する空港に届けるよう手配もした」p60
「私は豊田さんに、自分は日本が大好きなことや(愛車であった)黒のスープラにまつわる懐かしい思い出を話した。ご機嫌取りや、豊田さんの自尊心をくすぐるためではない。ビジネスは一時的だが、関係は永遠に続く。つまり、本物でなければならないし、共通基盤の上に構築しなければならないのだ」p62
「私が個人的に最も満足しているのは、豊田さんと生涯の友人になった事実だ。長年にわたって、私が日本に行くときには一緒に過ごし、豊田さんは快くセールスフォースのイベントで何度か講演をしてくれた。絆ができたのは、製品や技術だけの力ではない。信頼関係が私たち、そして両社を結びつけたのだ」p63
「リーダーにとって最も難しいのは、周囲の誰からも賛同が得られない場合でも、自分の判断を信頼すべき時を知ることだ」p80
「どんなリーダーもあるタイミングで、周囲の賢い人々の判断を割り引いて考える立場にあることに気づくだろう。たとえ自分がここまで来るのを支えてくれた人々の信頼を失うことになっても、自分の直感が正しいと告げることに従い続けるのか、という」p81
「バリューをお金に換算する方法はない。確かにバリュー、特に信頼を優先させれば、利益が犠牲になる場合がある。しかし、短絡的にはそうだとしても、四半期に稼ぎ出す収益が、時間とともに失ったかもしれない信頼よりも値打ちがあることは絶対にない」p87
「ある問題を解決するのに1時間あるとすれば、私はその問題について考えることに55分、解決策を考えることに5分かける」p98
「私たちは目の前の問題の背後にある問題に取り組むことにより、顧客が想像もしなかった形で、より効率的に作業できるソフトウェアを設計できたのである。これ以降、私たちはチェックリストにマークを入れることに注力するのをやめて、ブレークスルーをもたらすやり方を探し求めることが大事だと思うようになった」p99
「最新の製品を売り込んで売上を最大化するのではなく、顧客が実際に何を必要としているかの理解に努めることが、セールスフォースの全従業員の役割だと私たちは信じていた。これを的確に行うためには、自分の机を離れて、顧客の立場で考える必要に迫られることが多い。それはCEOも例外ではない」p110
「顧客が新しい目的地を見つけるのを支援することや、そこに到達するための新しい道を切り拓くことに、どの企業も投資したほうがよい」p123
「私たちは最も優秀な人材を採用し、社内で創造性を活用しながら育成してきた」p129
「(スティーブ・ジョブズ)24か月で10倍に成長するんだ。そうでないと、つぶれるよ」p136
「今やアインシュタイン(ビジネス・アプリ)は私の手のひらの上で、わが社の状況を理解し、会議に参加し、話し合いに関するメモや記録を更新するために関連データを収集し、コメントまでする音声対応デジタルアシスタントとなっている」p149
「革新的な製品を開発するためには研究開発予算だけが重要でないことに、彼は気づいていなかった。私はセールスフォース流のイノベーションをリチャードに説明した。「イノベーションを探求するのが私たちのやり方なんだよ」」p151
「子どもたちは私たちの未来だ。子どもたちに投資をしよう」p247
「将来的に企業を引っ張っていく唯一の方法、もっと言うと、企業で働く唯一の方法は、パソコン作業から顔を上げて、より広い視野を持つことだ。ただし、毎日の雑音やカオス状態から自分の心を守る術を学ばない限り、世の中を認識し直すことはできない。今日では、単純に電源を切って考える時間をつくるだけでは足りない。じっくりと考える時間を取る必要がある。初心を磨き、新しい考え方を受け入れることは、心に良いだけではなく、サバイバル戦術と言える。初心に返って人生と向き合うことは広い意味で、好奇心、感謝の気持ち、学習を自ら進んで取り入れる方法となる。つまり、白い紙を引っ張り出すことであり、自分は専門家だという考えを手放すということだ。「(鈴木俊隆)初心者の心には多くの可能性があるが、専門家の心にはほとんどない」のだ」p255
「政府などの権限を持つ機関が、党派の論理、瀬戸際政策、果てしない手詰まり状態によってますます身動きが取れないため、企業の参加が一層求められている」p321
「私たちは熱狂的なイノベーションと創造性の時代を生きてきた。第5次産業革命では、このすべての「進歩」を、公益のために活用する方法を見つけることが重要になる。今後の成功は、人々や地球のウェルビーイングを第一に優先させて、イノベーションと創造性の成果を活用できるかどうかにかかっている」p344 -
ベニオフ氏のバリューがどのようにして出来たのか、そしてそれを実行するために彼が何をしてきたのかがよく分かった。地球が全企業共通の最重要ステークホルダーだと言っていたのが印象的だった。世界のCEOやリーダーはもちろんのこと、雇われる側の人たちにとっても、自分がこれから所属したい、またはすべき、と思う企業を選んでいく時に役立つ本だと思う。
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企業は自己実現の場であると、私は信じてきた。
いまセールスフォースを含む責任を伴う企業は、社会への関わり方や信念まで明らかにすることを求められている。
誰もがある面では正しく、
誰もがある面で間違っている、そんな中で最後に残るのは、むきだしの企業文化なのかもしれない。 -
一言で感想を言うならば、「意外」。
セールスフォースの創業者マーク・ベニオフの著書なのだから、相当な武勇伝が書かれているのかと思いきや、様々な問題に直面し、苦慮し、少しずつ前進する姿が描かれている。
「企業は善行を行うべし」
というようなことが一貫したテーマなのだが、最近のHBRの記事に通底していて、スッと入ってきた。
世界のトップクラスの企業のリーダーは、こういう世界観で生きているのだ、と恐れ入った。
恐れ入るだけではなく、こういった視座を持つことがリーダーになる人間の責任なのだ、ということも理解できた。
いい意味で「意外」な一冊だった。 -
書名のTRAILBLAZERとは、顧客としてセールスフォースのソフトウェアを駆使し、所属企業の業務を改革するエンジニアの集団に付けた名前であるという。コミュニティの精神である『開拓者』という意味を、その集団の呼称とすることに、ビジネスの最前線で働きながら偉大なイノベーターかつエバンジェリストである彼らへのリスペクトを感じた。
トヨタがリコール問題に苛まれたときのエピソードでは、豊田社長が自身の名前が書かれた自動車に起きた問題に対し「個人的に信頼を回復する」と述べたという。『個人的に』という言葉は、一般的には責任範囲を限定する意図で使われる場合が多いが、この発言からは、社長という立場だけではなく、創業者一族としての責任も含めて信頼を回復させるという信念が感じられた。
V2MOMの考え方は、メンバーの力を集約するときにブレやすいポイントが予め整理されており、プロジェクトの最初にこれに関する合意形成を行うことで、現場でも応用できるかもしれないと感じた。 -
セールスフォース創業者の自伝。全体として、様々な知見、示唆を与えてくれる本であった。
「信頼に価値(バリュー)を置く」ことを中心に、顧客、従業員といったステークスホルダーとの関係性や、発生した問題解決のエピソードを中心に話は進められる。
自らが信じる価値にそった行動をとりたいと思うのは誰でも同じだが、順調なときのみならず、困難にぶつかったときでも、ぶれずに価値を信じて行動することができるのか? おそらくその点が、ビジネスパーソンとしての価値を高める上で問われているのであろうと感じた。
正しいと思う価値に従って行動することの重要性と有用性を反芻したくなったときに有用な一冊である。
また、仕事を進める上でも色々とヒントになることが多く描かれている。特に「V2MOM」というフレームワークは非常にわかりやすく、明日からでも使ってみたいと思ったスキルである。
今後も様々な問題解決を行っていきたいと考えている人にとっても、読んでおいて損はない。 -
タイトルで読み始めたら、セールスフォースのCEOが書いた本だった。
ビジネスにおいても信頼がバリューだというのは私が実感していることに近く、納得した。
企業のリーダーが差別などの問題にも積極的に関わっていくべきかは、そうなのかもしれないが、なかなか難しいと思った。発言に力があるゆえに適切な対応が必要だが、何を良しとすべきかは難しい。むしろ中立を保つほうがいいのでは?と思ってしまう。ちょっと違うが芸能人が様々なことに発言して炎上したり、炎上することで存在感を示そうとしているようなこともあり、それが正しいのかはわからない
なかで紹介されていたフレームワークは使えそう
v2mom
ビジョン 何をやりたいのか
バリュー 何が重要か
手法 どうやり遂げる
障害物 妨げはなにか
評価基準 やり遂げたことがどうわかるか